日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS06] 惑星科学

2025年5月26日(月) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:冨永 遼佑(東京科学大学 理学院地球惑星科学系)、田畑 陽久(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所)、小林 真輝人(東京大学)、辰馬 未沙子(理化学研究所)

17:15 〜 19:15

[PPS06-P05] ピリカ望遠鏡を用いたイオ近傍の硫黄イオン・ナトリウム輝線の輝度変動観測

*金野 敦1佐藤 光輝1高橋 幸弘1高木 聖子1 (1.北海道大学)

木星衛星のイオでは活発な火山活動が起こっており、その火山活動によってイオの大気に硫⻩酸化物、塩化カリウム、塩化ナトリウムが噴出している(Redwing et al. 2022)。また、イオ大気への硫⻩酸化物の流入には火山噴火のほかに地表面からの昇華も考えられている。イオの大気に存在する物質はその後、宇宙空間へ散乱していくが、この散乱した物質が電離、中性化することでイオの公転軌道周辺にプラズマトーラスや中性雲ができる。イオ大気から流出し、拡散した物質の観測は数多く行われてきたが(Yoneda et al. 2025, Morgenthaler et al. 2024)、流出直後の火山起源・昇華起源の物質の時間変動の違いは明らかにされてい ない。
本研究は地上望遠鏡を用いた光学観測に基づき、イオ大気から脱出した火山起源、昇華起源の違いによる物質の化学変化の挙動の違いを解明することを目的とする。北海道大学が所有するピリカ望遠鏡のマルチスペクトル撮像装置(Watanabe et al. 2012)を用いて、2024 年9 月から 11 月にわたりナトリウムの輝線である 589 nm および硫⻩イオンの輝線である672.5 nm の撮像を行った。得られたデータから木星の散乱光を削減したうえで、宇宙空間へ流出直後の物質の変動を確かめるため、イオを中心とした 1 木星半径の領域で開口測光を行った。また、先行研究の火山由来による増光の時間変化と比較するため、木星をはさんでイオと反対側にあたる領域での開口測光も行い、時間変動の検証も行った。観測を行った期間のうち、9 月 29 日から 10 月 17 日を期間 1 とし、10 月 17 日から 11 月 25 日を期間 2 と定義する。イオの近傍の開口測光において 589 nm のデータでは 9 月 29 日の輝度を基準にすると、期間 1 の間に約 0.3 倍まで減少し、期間 2 の間には約 0.75 倍ほどまで増加傾向を示した。672.5 nm のデータも同様に 9 月 29 日の輝度を基準にすると、期間 1 の間は約 0.8 倍になり、期間 2 の間は約 1.3 倍となった。また、木星をはさんでイオと反対側にある領域の開口測光での結果は、 589 nm のデータから、期間 1 では強度に大きな変動は見られなかったが、期間 2 では 約 1.7 倍になった。しかし、672.5 nm のデータでは、期間 1 では約 0.3 倍になり、期間 2 では 約 1.2 倍になった。講演では観測期間に得られた輝度に基づき、その起源と変動について議論する。