日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS06] 惑星科学

2025年5月26日(月) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:冨永 遼佑(東京科学大学 理学院地球惑星科学系)、田畑 陽久(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所)、小林 真輝人(東京大学)、辰馬 未沙子(理化学研究所)

17:15 〜 19:15

[PPS06-P08] M 型星を公転する惑星に適用する大気大循環モデル用放射スキームの構築

*吉川 颯真1石渡 正樹1高橋 芳幸2 (1.北海道大学大学院理学院宇宙理学専攻、2.神戸大学大学院理学研究科)

キーワード:地球型系外惑星、M型星系、大気大循環モデル、相関 k 分布法

近年の観測により,地球型系外惑星の大気成分の推定が行われている (Greene et al., 2023, Zieba et al., 2023).これに伴い,系外惑星の気候の多様性を理解し,ハビタブル条件を検討するために,数値モデリングの重要性も高まっている.
これまでに,大気大循環モデル (GCM) を用いた系外惑星を想定した気候の研究が行われている.THAI プロジェクト (Fauchez et al., 2020) では,複数の GCM を用いてM 型星系に属する TRAPPIST-1e の気候計算が行われ,観測される大気特性の解釈やハビタビリティの議論がなされている.実在する惑星のハビタビリティの検討が行われている一方で,系外惑星の気候の多様性を理解するために仮想的な惑星の気候計算も行われている.Noda et al. (2017) は,潮汐固定された仮想的な水惑星の自転角速度変更実験を行い,循環パターンや温度場の違いを考察している.彼らは G 型星スペクトルを想定した放射スキームを用いて気候状態を計算しており,G 型星スペクトル以外の場合については考察されていない.
そこで本研究では,M 型星を主星に持ち地球と同じ大気組成を持つ惑星用の放射スキームを開発し,GCM で主星のスペクトルを考慮した系外惑星の気候計算を行うことを目的とする.それにより,系外惑星の循環パターンや温度場が,主星のスペクトル型によってどのように異なるのかを明らかにすることを目指す.
現在までに,組成としてH2O,CO2,O3を持ち,TRAPPIST-1 の恒星放射 (Fauchez et al., 2020) が与えられた大気に対して,相関 k 分布法で放射伝達方程式を解くためのパラメタセットを得ることができた.H2O,CO2,O3 の吸収線パラメタとして HITRAN2012 (Rothman et al., 2013) のデータを与えた.一次元放射伝達モデル (Takahashi et al., 2023) を用いて,まず最適なバンド設定を決定した.10-50000 cm-1 の波数範囲で,バンド数が 6-60 の 10 通り,バンド内積分点数が 4-36 の 15 通りの計 150 通りのバンド設定を比較した.その結果,30 バンド 10 積分点のとき,放射計算の高い精度と低い計算コストを両立できるバンド設定であることが分かった.次に,吸収係数などの光学特性の補間に用いる温度,圧力のグリッドの間隔をそれぞれ決定した.今後は,そのパラメタセットをもとに放射対流平衡解を求めた後,地球流体電脳倶楽部が開発した DCPAM (Takahashi et al., 2018) を用いて系外惑星の気候多様性を探ることを目指す.