日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS06] 惑星科学

2025年5月26日(月) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:冨永 遼佑(東京科学大学 理学院地球惑星科学系)、田畑 陽久(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所)、小林 真輝人(東京大学)、辰馬 未沙子(理化学研究所)

17:15 〜 19:15

[PPS06-P12] 小惑星リュウグウのLIDARアルベドの再計算

*竝木 則行1 (1.国立天文台 RISE月惑星探査プロジェクト)

キーワード:反射率、小惑星、リュウグウ、レーザ高度計

小惑星リュウグウのnormal albedoはHayabusa2 ONCデータを用いてYokota et al. [2021]が、LIDARデータを用いてYamada et al. [2022, 2024]が計算しており、後者についてはレベル4のマッププロダクトが近日中に公表される予定である [cf., Matsumoto et al., under review]。LIDARのデータ処理では、約400秒周期のレーザダイオード(LD)の温度変動に呼応するアルベド計算値の周期変動が見つかっている。この周期は観測期間中に必ずしも一定ではないため、Yamada et al. [2022]はバンドパスフィルタにより、0.002 ~ 0.0032 Hz [Yamada et al., 2024]のアルベド変動成分を削除している。この手法は有効ではあるが、左記の周波数成分を全て篩にかけているため、本来残すべきであったリュウグウ表面のアルベド変化も削除してしまっている可能性がある。本研究では、LDの温度変動そのものをフィルタとして、この定数倍のアルベド変動を抽出・削除することとした。
データ処理では、まずアルベド計算に適切な観測高度条件を明らかにする目的で、受光レベルと送光レベルの比を高度別に計算した。高度19 kmから1 km binで受光レベル/送光レベルの標準偏差を計算した。Yamada et al. [2022]によれば受光エネルギーの誤差見積もりは9.7 %である。受光レベル/送光レベルの標準偏差は高度とともに減少し、高度9 km以下で9.7 %の受光エネルギーの観測誤差と同程度に収まることが明らかになった(Fig. 1)。よって、本研究では高度9 kmより離れた距離で観測されたデータは除外することとした。
さて、フィルタ処理においてはLD温度と送受光レベルの因果関係が不明であるため、LD温度変動を前後150秒まで動かしながら、アルベド変化との間に最も高い相関が得られる位相ずれを探索した。その上でLD温度変動を定数倍(c1)して定数項(c2)を加え、最小二乗法的に残渣が最小となるc1c2を求めた。結果的に+-0.5を超える高い相関が得られるケースもあったが、非常に長い軌道アークでは位相ずれが時間とともに緩やかに変化するため、一組のc1c2ではフィルタを最適化できないケースもあった。このため、軌道アークを3000秒区切りのブロックに分断して、ブロックごとに最適なフィルタを求めた(Fig. 2)。
Matsumoto, K., Noda H., Senshu, H., et al., Software Interface Specification for the Haya-busa2 LIDAR Data Products, Version 2.0, under review. [Data set] Level 4 Albedo map (in preparation) https://data.darts.isas.jaxa.jp/pub/hayabusa2/lidar_bundle/
Yamada, R., Yamamoto, K., Oshigami, S. et al. Derivation of 1.064 μm normal albedos on the C-type asteroid Ryugu from laser pulse intensity measurement of the Hayabusa2 LI-DAR. Earth Planets Space 74, 166 (2022). https://doi.org/10.1186/s40623-022-01717-z
Yamada, R., Yamamoto, K., Oshigami, S. et al. Correction: Derivation of 1.064 μm normal albedos on the C-type asteroid Ryugu from laser pulse intensity measurement of the Hayabusa2 LIDAR. Earth Planets Space 76, 17 (2024). https://doi.org/10.1186/s40623-023-01949-7
Yokota Y, Honda R, Tatsumi E et al (2021) Opposition observation of 162173 Ryugu: nor-mal albedo map highlights variations in regolith characteristics. Planet Sci J 2(177):1–32