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[PPS06-P17] 多孔質小惑星における角運動量輸送効率の衝突角度依存性:多孔質弱強度標的の斜め衝突実験
はじめに 天体衝突は宇宙空間において普遍的な現象であり, 小惑星は天体衝突を経験することで破壊・進化を繰り返すといわれている。 微小天体が小惑星に衝突する際, 微小天体の軌道角運動量が小惑星に輸送され, その自転進化に影響することがある。 例えば, 重力支配域ではスピンバリアの存在により, 天体が一定の自転周期よりも短くならない。 一方で強度支配域では, 小さな天体が非常に早く回転することがある。 そのため, 小惑星の自転進化を理解する上で, 斜め衝突により軌道角運動量がどの程度小惑星に輸送されるかは重要なパラメータである。 先行研究では, モルタルやアルミニウム標的などに対して衝突実験が行われ, 並進方向の運動量輸送効率・角運動量輸送効率ともに正面衝突から斜め衝突になると効率が下がることがわかっている[1][2]。しかし, 高強度の物質に対する斜め衝突時の運動量輸送効率が調べられている一方で, Ryuguのような多孔質小惑星を模擬した低強度の標的に対する衝突実験はあまり行われていない。 そこで本研究では, 強度の低い砂石膏混合標的に対して衝突実験を行い, その衝突角度依存性を調べた。
手法 試料は粒径100μmの石英砂と石膏を20:1で混合した直径60mmの球標的で, 引張破壊強度は59.3±22.0 kPa, ヤング率は1.4 GPa, ポアソン比は0.048である。 実験には神戸大の横型二段式軽ガス銃を使用し, 直径2mmのポリカーボネート球を1 km/sの速度で衝突させた。 球標的は、標的回収用のアクリル箱に吊し、その回収箱は真空チャンバー内に設置した。 チャンバー内を20Pa程度まで真空に引いた後、衝突実験を実施した。 衝突角度(θ)は正面衝突に近い2°~79°まで変化させた。 すべての実験において, 衝突の様子を水平方向・垂直方向の2方向から高速度カメラを用いて, 10⁵fpsで撮影した。
結果 実験の結果, 弾丸衝突方向の運動量輸送効率は衝突角度θの増加に伴って減少した. 衝突角度が大きくなると標的が受け取る並進方向の運動量は, 弾丸の運動量を下回るようになった。衝突点における法線方向の運動量は, どの角度でも弾丸から受け取る運動量(法線の速度成分から計算した運動量)を上回ることがわかった。その理由は, クレーター形成時に発生するエジェクタが法線方向の速度成分をもって飛ぶことで, その反動として標的が加速されたからである。一方, 衝突点における接線方向には標的がほとんど加速されなかった。すなわち, 法線方向に比べて接線方向の運動量輸送効率が常に悪いことを示唆している。角速度は, 正面衝突から斜め衝突になると, 一旦はθの増加とともに大きくなり, 60°までに最大値をむかえる。そして, さらに角度が大きくなるとほとんど自転しなくなる。
これらの結果, 弾丸方向の並進の運動量輸送効率は、先行研究であるYanagisawa et al. (1991)の高強度標的と比べて1.4倍程度大きくなることが分かった。一方、角運動量輸送効率は、Yanagisawaらの高強度標的と比較すると20%程度下がることが分かった。
[1] Masahisa Yanagisawa, Sunao Hasegawa, and Nobutoshi Shirogane (1996), Momentum and Angular Momentum Transfer in Oblique Impacts: Implications for Asteroid Rotations, ICARUS 123, 192-206, ARTICLE NO. 0149
[2] Masahisa Yanagisawa, Janusz Eluszkiewicz, and Thomas J. Ahrens (1991), Angular Momentum Transfer in Low Velocity Oblique Impacts: Implications for Asteroids,
ICARUS 94. 272-282 (1991)
手法 試料は粒径100μmの石英砂と石膏を20:1で混合した直径60mmの球標的で, 引張破壊強度は59.3±22.0 kPa, ヤング率は1.4 GPa, ポアソン比は0.048である。 実験には神戸大の横型二段式軽ガス銃を使用し, 直径2mmのポリカーボネート球を1 km/sの速度で衝突させた。 球標的は、標的回収用のアクリル箱に吊し、その回収箱は真空チャンバー内に設置した。 チャンバー内を20Pa程度まで真空に引いた後、衝突実験を実施した。 衝突角度(θ)は正面衝突に近い2°~79°まで変化させた。 すべての実験において, 衝突の様子を水平方向・垂直方向の2方向から高速度カメラを用いて, 10⁵fpsで撮影した。
結果 実験の結果, 弾丸衝突方向の運動量輸送効率は衝突角度θの増加に伴って減少した. 衝突角度が大きくなると標的が受け取る並進方向の運動量は, 弾丸の運動量を下回るようになった。衝突点における法線方向の運動量は, どの角度でも弾丸から受け取る運動量(法線の速度成分から計算した運動量)を上回ることがわかった。その理由は, クレーター形成時に発生するエジェクタが法線方向の速度成分をもって飛ぶことで, その反動として標的が加速されたからである。一方, 衝突点における接線方向には標的がほとんど加速されなかった。すなわち, 法線方向に比べて接線方向の運動量輸送効率が常に悪いことを示唆している。角速度は, 正面衝突から斜め衝突になると, 一旦はθの増加とともに大きくなり, 60°までに最大値をむかえる。そして, さらに角度が大きくなるとほとんど自転しなくなる。
これらの結果, 弾丸方向の並進の運動量輸送効率は、先行研究であるYanagisawa et al. (1991)の高強度標的と比べて1.4倍程度大きくなることが分かった。一方、角運動量輸送効率は、Yanagisawaらの高強度標的と比較すると20%程度下がることが分かった。
[1] Masahisa Yanagisawa, Sunao Hasegawa, and Nobutoshi Shirogane (1996), Momentum and Angular Momentum Transfer in Oblique Impacts: Implications for Asteroid Rotations, ICARUS 123, 192-206, ARTICLE NO. 0149
[2] Masahisa Yanagisawa, Janusz Eluszkiewicz, and Thomas J. Ahrens (1991), Angular Momentum Transfer in Low Velocity Oblique Impacts: Implications for Asteroids,
ICARUS 94. 272-282 (1991)