日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS06] 惑星科学

2025年5月26日(月) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:冨永 遼佑(東京科学大学 理学院地球惑星科学系)、田畑 陽久(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所)、小林 真輝人(東京大学)、辰馬 未沙子(理化学研究所)

17:15 〜 19:15

[PPS06-P24] 原始惑星の衝突進化および化学進化に基づく地球形成過程の検討

*前田 悠陽1佐々木 貴教1 (1.京都大学 大学院理学研究科 宇宙物理学教室)

キーワード:地球、惑星形成、原始惑星、N体計算、化学平衡計算

地球をはじめとする岩石惑星は, 原始惑星系円盤において固体物質の降着・集積によって形成される. それぞれの成長段階の中でも, 特に最後期に位置づけられる原始惑星同士の巨大衝突段階において, 原始惑星の表層環境は現在とは大きく異なる. 降着に伴う重力エネルギーの解放により, 原始惑星の表面は溶融状態にあったと考えられる. 成長した原始惑星は, 原始惑星系円盤のガスを捕獲し, 水素に富む原始大気を形成する. 原始惑星内部では, 溶融状態のマグマオーシャンと鉄コアの重力分離が起こり, 表面の原始大気と合わせて, 鉛直方向に3つの層構造があらわれる. この層の間で化学平衡反応が生じることで, 原始惑星の化学的な特性が形作られた. その後, 表面のマグマは冷却・固化し, 原始大気も最終的には内部からの脱ガス由来の2次大気に取って代わられた.

本研究では, 原始惑星の表層環境の特性をもとに, 地球の形成過程を検証した. 我々は, まず原始惑星が巨大衝突を起こし惑星に成長する過程をN体シミュレーションを用いて計算した. このとき, 原始惑星は, 自身の重力圏にある円盤ガスを大気として獲得する. 同時に, 巨大衝突を経験した原始惑星のマントル部は完全溶融し, 大気-マントル-コアの層構造を物質が移動できるようになる. そして, この層構造に対して化学平衡計算を行い, N体シミュレーションの結果と接続・統合した. 本研究における重要な観測的制約は, コアの密度欠損であり, 現在の地球のコアは, 純粋な鉄より低密度であることが知られている. 本研究では, 最終的に形成される惑星の個数, 現在の地球軌道付近に形成される惑星の質量, コア密度欠損を比較し, 現在の地球と整合するか検証した.

計算の結果, 原始惑星が地球サイズに成長するまでに経験する多段的な巨大衝突が, 円盤ガスの散逸度に応じて異なる描像を与えることを明らかにした. 初期の巨大衝突は, 散逸前のガスに富む円盤内で起こるため, 原始惑星は過剰量の水素を内部のコアに取り込む. その後, 過剰量の水素を取り込んだ原始惑星と, 水素に汚染されていない原始惑星の後期の巨大衝突によって, コア中の水素量が調節され, 現在の地球と整合的な組成が得られる.