15:45 〜 16:00
[PPS07-20] 原始太陽系円盤におけるケイ酸塩ダスト, H2O, COの酸素同位体組成進化

キーワード:原始惑星系円盤、原始太陽系円盤、酸素同位体交換、ダスト
背景・目的: 地球、小惑星、彗星といった太陽系天体は、太陽に比べ16Oに乏しいことが知られている (McKeegan et al. 2011)。この酸素同位体組成の違いは、原材料となったケイ酸塩ダストが、CO自己遮蔽効果により16Oに富んだCOや16Oに乏しくなったH2Oと酸素同位体交換をおこなった結果であると考えられている (Yurimoto & Kuramoto 2004)。現在の太陽系物質の酸素同位体組成を達成するには、太陽系進化初期に16Oに乏しいH2Oが濃集した領域で酸素同位体交換を進行する必要がある。H2O濃集領域として有力なのは、外側円盤から供給される氷ペブルの昇華によって水蒸気が濃集すると考えられるH2Oスノーライン内側領域である (Yurimoto & Kuramoto 2004)。
本研究では、H2Oスノーライン内側領域の水蒸気濃集効果に注目して、原始惑星系円盤内を運動するケイ酸塩ダスト、H2O、CO間の酸素同位体交換の進行を調べた。
手法: 定常降着円盤内を運動するケイ酸塩ダスト、H2O、CO超粒子の軌跡を追跡する3Dモンテカルロシミュレーションを~20万年にわたりおこなった (e.g., Okamoto & Ida 2022)。H2Oはスノーライン外側では氷結して移流が卓越し、内側では昇華して水蒸気として運動する。ケイ酸塩ダストはガスとよく馴染んで運動するが、スノーライン外側ではある確率 (C×ダストと氷ペブルの衝突確率; C=0.01-1) で氷ペブルに付着する。円盤は内側では粘性加熱、外側では照射加熱を熱源とする温度構造をもつ。乱流粘性係数αは10–2、質量降着率Mdotは10–7 Msun yr–1とした。
非晶質ケイ酸塩ダスト (δ17&18O~–60 ‰) と水蒸気 (δ17&18O~+220 ‰) 、ならびにCOガス (δ17&18O~–220 ‰) との酸素同位体交換は、室内実験により決定された反応速度論 (Yamamoto et al. 2018; Yamamoto, Ishizaki et al. 2024) を用いてアブラミ式に基づき計算した。原材料ケイ酸塩ダスト (太陽型組成) は、氷ペブルにより効率的に供給される水蒸気や、降着してくるCOガスと酸素同位体を交換する。また、H2O-COの気相での直接的な酸素同位体交換は反応速度が極めて遅いため、起こらないと仮定する。ダストは「結晶化ライン (Ishizaki et al. 2023)」で結晶化し、結晶化時点の酸素同位体組成を保存するものとする。
結果・議論: 「H2O酸素同位体交換ライン (Ishizaki et al. 2023)」(T=677 K) 内側では酸素同位体交換が十分進行し、3つの種がほぼ一様な組成に達する (e.g., δ17O, δ18O~–45‰ at t=180,000 yr)。一方H2O酸素同位体交換ライン外側では、ダストは (I) 初期同位体組成を保持した未反応ダスト、(II) 主にCOと反応し、太陽より16Oに乏しい酸素同位体組成をもつダスト、(III) H2O酸素同位体交換ライン内側のダストと同様の酸素同位体組成をもつダスト の3つのグループに分かれる。
シミュレーション初期段階では、水蒸気はスノーライン内側領域で~25%程度濃集する。しかし定常状態では、3つの種は境界条件により決定される量比に達するため、水蒸気濃集は時間とともに解消されていく。さらに、グループ(I)のダストは水蒸気濃集が最高となる初期段階でも「地球型組成 (δ17&18O~0‰)」を達成しなかった。スノーライン内側の水蒸気濃集を上昇させるには氷ペブルにおける氷の割合を増加させることが効果的であり、氷を質量比で1.5倍増加させたところ、グループ(III)のダストがδ17&18O~0‰を達成することが確かめられた。
しかしこの場合も、定常状態に達すると地球型組成より低いδ17&18Oに終着する。以上を踏まえると、ダストが地球型組成を達成できる条件や領域を議論するためには、円盤進化を考慮する必要があると考えられる。我々は特に、高温環境を経験したダストの効率的な外側輸送が期待できる、分子雲からの物質降着に伴いインサイドアウト進化する円盤モデルに注目した。本発表では、インサイドアウト進化円盤モデルの結果も併せて紹介する。
本研究では、H2Oスノーライン内側領域の水蒸気濃集効果に注目して、原始惑星系円盤内を運動するケイ酸塩ダスト、H2O、CO間の酸素同位体交換の進行を調べた。
手法: 定常降着円盤内を運動するケイ酸塩ダスト、H2O、CO超粒子の軌跡を追跡する3Dモンテカルロシミュレーションを~20万年にわたりおこなった (e.g., Okamoto & Ida 2022)。H2Oはスノーライン外側では氷結して移流が卓越し、内側では昇華して水蒸気として運動する。ケイ酸塩ダストはガスとよく馴染んで運動するが、スノーライン外側ではある確率 (C×ダストと氷ペブルの衝突確率; C=0.01-1) で氷ペブルに付着する。円盤は内側では粘性加熱、外側では照射加熱を熱源とする温度構造をもつ。乱流粘性係数αは10–2、質量降着率Mdotは10–7 Msun yr–1とした。
非晶質ケイ酸塩ダスト (δ17&18O~–60 ‰) と水蒸気 (δ17&18O~+220 ‰) 、ならびにCOガス (δ17&18O~–220 ‰) との酸素同位体交換は、室内実験により決定された反応速度論 (Yamamoto et al. 2018; Yamamoto, Ishizaki et al. 2024) を用いてアブラミ式に基づき計算した。原材料ケイ酸塩ダスト (太陽型組成) は、氷ペブルにより効率的に供給される水蒸気や、降着してくるCOガスと酸素同位体を交換する。また、H2O-COの気相での直接的な酸素同位体交換は反応速度が極めて遅いため、起こらないと仮定する。ダストは「結晶化ライン (Ishizaki et al. 2023)」で結晶化し、結晶化時点の酸素同位体組成を保存するものとする。
結果・議論: 「H2O酸素同位体交換ライン (Ishizaki et al. 2023)」(T=677 K) 内側では酸素同位体交換が十分進行し、3つの種がほぼ一様な組成に達する (e.g., δ17O, δ18O~–45‰ at t=180,000 yr)。一方H2O酸素同位体交換ライン外側では、ダストは (I) 初期同位体組成を保持した未反応ダスト、(II) 主にCOと反応し、太陽より16Oに乏しい酸素同位体組成をもつダスト、(III) H2O酸素同位体交換ライン内側のダストと同様の酸素同位体組成をもつダスト の3つのグループに分かれる。
シミュレーション初期段階では、水蒸気はスノーライン内側領域で~25%程度濃集する。しかし定常状態では、3つの種は境界条件により決定される量比に達するため、水蒸気濃集は時間とともに解消されていく。さらに、グループ(I)のダストは水蒸気濃集が最高となる初期段階でも「地球型組成 (δ17&18O~0‰)」を達成しなかった。スノーライン内側の水蒸気濃集を上昇させるには氷ペブルにおける氷の割合を増加させることが効果的であり、氷を質量比で1.5倍増加させたところ、グループ(III)のダストがδ17&18O~0‰を達成することが確かめられた。
しかしこの場合も、定常状態に達すると地球型組成より低いδ17&18Oに終着する。以上を踏まえると、ダストが地球型組成を達成できる条件や領域を議論するためには、円盤進化を考慮する必要があると考えられる。我々は特に、高温環境を経験したダストの効率的な外側輸送が期待できる、分子雲からの物質降着に伴いインサイドアウト進化する円盤モデルに注目した。本発表では、インサイドアウト進化円盤モデルの結果も併せて紹介する。