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[PPS07-P13] SIMSによるMg同位体分析における二次イオン収率の定量的評価
キーワード:二次イオン質量分析法、Al–Mg系、年代測定、CAI
CAIやコンドリュールなどの初期太陽系物質からは,消滅核種26Alの痕跡がみつかっている。26Alは半減期70.5万年で26Mgに放射壊変する短寿命放射性核種であり,26Al–26Mg系による相対年代測定が行われてきた(e.g., Kita et al., 2013)。微小な初期太陽系物質に対し高時間分解能の26Al–26Mg年代測定を実施するために,高感度局所分析を得意とする二次イオン質量分析法(SIMS)が主に用いられる。26Al–26Mg年代測定におけるSIMSの一次イオンビームには,イオン化効率の高さから16O–が使用されてきた(e.g., Hutcheon et al., 1989)。また近年では,16O–よりも16O2–使用時のほうが高い二次イオン強度が得られることが報告されており,16O2–も用いられ始めている(e.g., Siron et al., 2021; Kawasaki et al., 2024)。しかし,16O2– 使用時における二次イオン強度の上昇が,スパッタレートの上昇によるものなのか,イオン化効率の上昇によるものなのか定かでない。本研究では,SIMS(Cameca ims-1280HR)による26Al–26Mg年代測定の条件最適化を目的とし,Mg同位体の二次イオン収率(検出した二次イオン数 / スパッタした原子数)の定量的評価を行った。
試料には,初期太陽系物質の26Al–26Mg年代測定において標準試料として用いられる,サンカルロスオリビン,ロシア産スピネル,2種類の合成ガラスと三宅島アノーサイトの計3種類の斜長石,3種類の合成多結晶体のヒボナイト,6種類の合成ガラスのメリライト,9種類の合成ガラスのファッサイト(Kawasaki et al., 2019, 2021, 2024)を用いた。まず,SIMSの一次イオンビームに16O–を用いた場合と,16O2–を用いた場合の各鉱物のスパッタレートを測定した。その結果,全鉱物において,一次イオンビームに16O2–を用いた場合のスパッタレートは,16O–を用いた場合の約3倍になることが明らかになった。
次に,実際の同位体分析条件(e.g., Kawasaki et al., 2020, 2021, 2024)における二次イオン強度を測定し,二次イオン収率を決定した。各鉱物の二次イオン収率の特徴から,以下の(a)〜(c)の3つのグループに分けられた。(a)は,一次イオンビームに16O2–を用いた場合の方が,16O–を用いた場合よりも二次イオン収率が高く,かんらん石とスピネルが該当する。かんらん石では~20%,スピネルでは~10%高い。(b)のグループは, 16O–を用いた場合の方が,16O2–を用いた場合よりも二次イオン収率が高く,斜長石とヒボナイトとメリライトの一部が該当する。斜長石では~50%,ヒボナイトでは~5–20%,メリライトでは~20–35%高い。(c)のグループは,16O2–と16O–のどちらを用いても同程度か,16O–使用時の方が少し高い二次イオン収率になっており,メリライトの一部とファッサイトが該当する。それぞれのグループにおいては,二次イオン強度に応じて電子増倍管とファラデーカップを使い分けていることにより,分析条件が大きく異なる。16O2–使用時の一次イオンビーム電流値と分析時間は,(a)が1 nA,8分,(b)が20–75 pA,40分,(c)が15 nA,6分である。(b)は一次イオンビーム電流が他よりも小さく,分析時間が長い一方,(c)は一次イオンビーム電流が他よりも大きく,分析時間が短いという特徴がある。また,同じ鉱物を(b)と(c)の分析条件で比較すると,(c)の条件では(b)の条件に比べて,16O2–ビーム使用時には二次イオン収率が~60%高く,16O–ビーム使用時には~40%高い。本研究により,分析対象とする鉱物および分析条件に応じた適切な一次イオンビーム種の選定が重要であることが明らかとなった。
試料には,初期太陽系物質の26Al–26Mg年代測定において標準試料として用いられる,サンカルロスオリビン,ロシア産スピネル,2種類の合成ガラスと三宅島アノーサイトの計3種類の斜長石,3種類の合成多結晶体のヒボナイト,6種類の合成ガラスのメリライト,9種類の合成ガラスのファッサイト(Kawasaki et al., 2019, 2021, 2024)を用いた。まず,SIMSの一次イオンビームに16O–を用いた場合と,16O2–を用いた場合の各鉱物のスパッタレートを測定した。その結果,全鉱物において,一次イオンビームに16O2–を用いた場合のスパッタレートは,16O–を用いた場合の約3倍になることが明らかになった。
次に,実際の同位体分析条件(e.g., Kawasaki et al., 2020, 2021, 2024)における二次イオン強度を測定し,二次イオン収率を決定した。各鉱物の二次イオン収率の特徴から,以下の(a)〜(c)の3つのグループに分けられた。(a)は,一次イオンビームに16O2–を用いた場合の方が,16O–を用いた場合よりも二次イオン収率が高く,かんらん石とスピネルが該当する。かんらん石では~20%,スピネルでは~10%高い。(b)のグループは, 16O–を用いた場合の方が,16O2–を用いた場合よりも二次イオン収率が高く,斜長石とヒボナイトとメリライトの一部が該当する。斜長石では~50%,ヒボナイトでは~5–20%,メリライトでは~20–35%高い。(c)のグループは,16O2–と16O–のどちらを用いても同程度か,16O–使用時の方が少し高い二次イオン収率になっており,メリライトの一部とファッサイトが該当する。それぞれのグループにおいては,二次イオン強度に応じて電子増倍管とファラデーカップを使い分けていることにより,分析条件が大きく異なる。16O2–使用時の一次イオンビーム電流値と分析時間は,(a)が1 nA,8分,(b)が20–75 pA,40分,(c)が15 nA,6分である。(b)は一次イオンビーム電流が他よりも小さく,分析時間が長い一方,(c)は一次イオンビーム電流が他よりも大きく,分析時間が短いという特徴がある。また,同じ鉱物を(b)と(c)の分析条件で比較すると,(c)の条件では(b)の条件に比べて,16O2–ビーム使用時には二次イオン収率が~60%高く,16O–ビーム使用時には~40%高い。本研究により,分析対象とする鉱物および分析条件に応じた適切な一次イオンビーム種の選定が重要であることが明らかとなった。