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[PPS08-12] 月面核反応で解明する低エネルギー宇宙線量とその時系列変化

キーワード:宇宙線、月、原子核反応、ガンマ線天文学
我々に最も近い天体である月はガンマ線帯域で輝いており、そのガンマ線は銀河宇宙線と月表層物質との原子核相互作用から生じる。月のGeVガンマ線は連続放射が支配的であるのに対して、MeVガンマ線は連続放射とライン放射の両方を生じる。特にMeVガンマ線に特有のライン放射は、未開拓のMeV銀河宇宙線について制限を与える。2020年代後半から2030年代にかけてCOSIやGRAMSといった次世代MeVガンマ線計画が開始する。これらの次世代ミッションは過去の衛星計画より1桁以上高い感度を達成するため、地球からの月観測が期待できる。そこで本研究では、物質中の粒子輸送過程を解くGeant4モンテカルロツールキットを用いて、月のMeV-GeVガンマ線スペクトルを見積もった。Geant4では月表層物質の化学組成や宇宙線との相互作用を詳細にモデル化できるため、ライン放射の精密な予測が可能となる。我々の結果は、フェルミ衛星による月のGeVガンマ線観測と整合している。そして、月のMeV連続放射および28Si脱励起線・電子対消滅・26Al崩壊ガンマ線といったラインガンマ線が、次世代MeVガンマ線ミッションで探査可能であることを見出した。月のMeVガンマ線観測は、1 GeV以下の銀河宇宙線のフラックスや太陽地球系における活動史の解明に役立つと期待できる。