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[PPS08-P06] 月アルテミス計画帰還試料低温キュレーションにむけた準備
キーワード:サンプルリターン、キュレーション、アルテミス計画、月試料、低温試料
JAXAはここ20年、小惑星探査機「はやぶさ」、「はやぶさ2」によって小惑星サンプルリターンミッションで世界をリードしてきた(Fujiwara et al.,2006; Watanabe et al., 2019)。同時に小惑星帰還試料キュレーションでも世界最先端の設備・技術・経験を有し、大気非暴露、非汚染で小惑星帰還試料を全世界の研究者に配布することで、多くの科学成果を創出してきた(Yada et al., 2014; Yada et al., 2023)。将来ミッションについては火星衛星サンプルリターン(Martian Moon eXpoloration, MMX)による火星衛星フォボスからのサンプルリターン、次世代サンプルリターン(Next Generation Sample Return, NGSR)による枯渇彗星核ブランパン(289P/Blanpain)からのサンプルリターンなど、より天体表層温度の低い外惑星領域からの試料帰還が考えられる(Kuramoto et al., 2022; Sakatani et al., 2025)。一方で、2027年9月以降、アルテミス3号機により月南極域からの80キログラム程度のサンプルリターンが実施される予定で、特にアルテミス4号機以降で日本人初の月面着陸を果たす宇宙飛行士が搭乗する予定で、月南極域帰還試料の日本への配分が想定されている(Peña-Asensio et al., 2025)。JAXA割り当て分が数%程度としてもキログラム単位のサンプルを扱う必要があるのに対して、JAXAがこれまでに小惑星サンプルリターンで取り扱ってきた試料はグラム〜ミリグラム以下の小石・粉体試料である。更に、月極域の永久陰には数〜数10%の水氷が存在すると想定されており、低温試料への対応も必要となってくる。JAXAでは、2028年末に地球帰還し、2030年前後に日本に配分されることが想定される、アルテミス4号機による月南極域帰還試料キュレーションに向けた技術開発・準備を2025年度から開始する。
帰還が想定される月南極域試料は永久陰の遠隔探査結果として最大温度で-110K以下であることが報告されている。また、月南極カベウスクレーターへのLCROSS衝突実験により発生したプルームの観測結果として、H2O、H2S、NH3、SO2、C2H4、CO2の存在が確認されており、これらの分子で最も沸点が低いエチレン(-103.7℃)が保持される-110℃以下での保管が必要と考えられる(Colaprete et al., 2010)。
JAXAに配分される月南極域帰還試料については、用途・目的・汚染管理の観点から3つのカテゴリーに分類されることが想定される。カテゴリー1は、日本人初月着陸の記念品としての展示・公開が目的となる試料で、この試料については温度・汚染管理が想定されていない。カテゴリー2は月におけるその場資源利用 (In-Situ Resource Utilization、ISRU)に関わる技術開発を目的とした試料であり、汚染管理はされるものの、揮発性物質利用を目的とした技術開発以外では温度管理は想定されない。カテゴリー3は月の科学研究を目的とした試料で、厳密な汚染管理と、前述した低温での管理が必要となる。これらの3つのカテゴリーの試料のうち、JAXAの管理下に置かれるものがどのカテゴリーのどの程度の量になるかは、今後の議論・調整で決定されるもので現時点では明確ではない。
JAXA月南極帰還試料キュレーションとして必要となる条件は、汚染管理下における低温(<-110℃)及び常温での温度管理での保管・取扱いとなる。また、キログラム単位の試料のキュレーションには、汚染管理下での試料の分割・加工(薄片作製など)技術が必要となる。これらの低温保管・取扱技術、及び汚染管理下の分割・加工技術はJAXAキュレーションでは確立しておらず、今後5年間で開発・実現する必要がある。仕様が決まってからの施設建設・グローブボックスなどの製作に2年間、完成した施設設備の性能評価・リハーサルに1年半程度かかる事を考慮すると、同年度中にキュレーション施設・設備の仕様策定・決定の為の委員会の立ち上げ・提言取りまとめを目指す必要がある。
帰還が想定される月南極域試料は永久陰の遠隔探査結果として最大温度で-110K以下であることが報告されている。また、月南極カベウスクレーターへのLCROSS衝突実験により発生したプルームの観測結果として、H2O、H2S、NH3、SO2、C2H4、CO2の存在が確認されており、これらの分子で最も沸点が低いエチレン(-103.7℃)が保持される-110℃以下での保管が必要と考えられる(Colaprete et al., 2010)。
JAXAに配分される月南極域帰還試料については、用途・目的・汚染管理の観点から3つのカテゴリーに分類されることが想定される。カテゴリー1は、日本人初月着陸の記念品としての展示・公開が目的となる試料で、この試料については温度・汚染管理が想定されていない。カテゴリー2は月におけるその場資源利用 (In-Situ Resource Utilization、ISRU)に関わる技術開発を目的とした試料であり、汚染管理はされるものの、揮発性物質利用を目的とした技術開発以外では温度管理は想定されない。カテゴリー3は月の科学研究を目的とした試料で、厳密な汚染管理と、前述した低温での管理が必要となる。これらの3つのカテゴリーの試料のうち、JAXAの管理下に置かれるものがどのカテゴリーのどの程度の量になるかは、今後の議論・調整で決定されるもので現時点では明確ではない。
JAXA月南極帰還試料キュレーションとして必要となる条件は、汚染管理下における低温(<-110℃)及び常温での温度管理での保管・取扱いとなる。また、キログラム単位の試料のキュレーションには、汚染管理下での試料の分割・加工(薄片作製など)技術が必要となる。これらの低温保管・取扱技術、及び汚染管理下の分割・加工技術はJAXAキュレーションでは確立しておらず、今後5年間で開発・実現する必要がある。仕様が決まってからの施設建設・グローブボックスなどの製作に2年間、完成した施設設備の性能評価・リハーサルに1年半程度かかる事を考慮すると、同年度中にキュレーション施設・設備の仕様策定・決定の為の委員会の立ち上げ・提言取りまとめを目指す必要がある。