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[PPS08-P15] 模擬月面環境下におけるFe抽出実験
キーワード:現地資源利用、レゴリス、鉄抽出実験、宇宙資源利用
近年、月面の有人宇宙拠点開発に向けて、月の表面物質を利用して現地で必要な部品や装置を製造するIn-situ Resource Utilization(ISRU)研究が活発化している。特に、月の極域には、輸送機燃料としての水(H2O)が存在している痕跡が見つかり、赤道付近には金属元素を豊富に含む鉱物が存在しており、それらの抽出に大きな関心が寄せられている。構造材として有用な鉄に注目すると、還元剤や電気分解を用いた手法で抽出が行われている[1]。しかしこれは還元の際に還元剤が必要になることや電気分解に使用するエネルギーが大きいという問題がある。そこで本研究では、高真空環境下において、月の模擬土壌からCO2レーザーを用いて鉄(Fe)を溶融し還元剤を使用せずに還元させること、界面での凝固分配を活用することで鉄とスラグを分離すること、低エネルギーで高純度の鉄を抽出することを目的とする。
本研究では主に2つの実験を行った。実験1:高純度のFe3O4試料をマッフル炉にて300℃で2時間加熱し、試料に付着している水分を除去した。その後、加熱済みの試料を空気中の水分が付着しないよう迅速に真空加熱装置の試料台に充填した。装置内を10-5 Paオーダーまで減圧し、CO2レーザーを用いて試料を加熱した。レーザーの出力は50Wで、20秒間一点加熱を行った。加熱後、試料のレーザー照射点を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、エネルギー分散型X線分析(EDX)により原子濃度の分布を測定した。実験2:ステッピングモーターを用いて真空中で試料を直線状に移動させながらレーザー照射を行った。レーザー照射後、焼結試料の溶融状態をSEMで観察し、砕いて粉末X線回折(XRD)を用いた解析を行った。
結果1:最も高温となるレーザー照射点の中心部分では、周囲と比較して酸素濃度が低下しており、還元が起こっていることが確認された。結果2:試料の移動速度は92μm/sであった。移動しながらレーザーを照射した試料のXRDはマグネタイトのピークのみで、大きな還元は確認されなかった(Feのピークは見られなかった)。
実験1では溶融が見られ、少量の酸素の脱離による還元が見られた。実験2では大きな溶融はなく還元が見られなかった。レーザー照射部の加熱温度が実験1と比べて実験2では小さいことにより還元がみられなかったと考えられる。今後は装置の改良を行い、加熱部の温度を現在より上昇させることが必要になると思われる。また高純度のFe3O4試料ではなく実際の鉱物を使用した試料の還元・鉄とスラグの分離実験を行い、実際に試料が溶融することや、還元剤を用いない鉄の抽出方法を試みる。
参考文献:
[1] Xu, Youpeng, et al. Overview of in-situ oxygen production technologies for lunar resources. International Journal of Minerals, Metallurgy and Materials 32.2 (2025): 233-255.
本研究では主に2つの実験を行った。実験1:高純度のFe3O4試料をマッフル炉にて300℃で2時間加熱し、試料に付着している水分を除去した。その後、加熱済みの試料を空気中の水分が付着しないよう迅速に真空加熱装置の試料台に充填した。装置内を10-5 Paオーダーまで減圧し、CO2レーザーを用いて試料を加熱した。レーザーの出力は50Wで、20秒間一点加熱を行った。加熱後、試料のレーザー照射点を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、エネルギー分散型X線分析(EDX)により原子濃度の分布を測定した。実験2:ステッピングモーターを用いて真空中で試料を直線状に移動させながらレーザー照射を行った。レーザー照射後、焼結試料の溶融状態をSEMで観察し、砕いて粉末X線回折(XRD)を用いた解析を行った。
結果1:最も高温となるレーザー照射点の中心部分では、周囲と比較して酸素濃度が低下しており、還元が起こっていることが確認された。結果2:試料の移動速度は92μm/sであった。移動しながらレーザーを照射した試料のXRDはマグネタイトのピークのみで、大きな還元は確認されなかった(Feのピークは見られなかった)。
実験1では溶融が見られ、少量の酸素の脱離による還元が見られた。実験2では大きな溶融はなく還元が見られなかった。レーザー照射部の加熱温度が実験1と比べて実験2では小さいことにより還元がみられなかったと考えられる。今後は装置の改良を行い、加熱部の温度を現在より上昇させることが必要になると思われる。また高純度のFe3O4試料ではなく実際の鉱物を使用した試料の還元・鉄とスラグの分離実験を行い、実際に試料が溶融することや、還元剤を用いない鉄の抽出方法を試みる。
参考文献:
[1] Xu, Youpeng, et al. Overview of in-situ oxygen production technologies for lunar resources. International Journal of Minerals, Metallurgy and Materials 32.2 (2025): 233-255.