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[PPS09-P18] 火星探査機MRO搭載MCSセンサによって検出されたリージョナルダストストーム中のダストプルームの特徴

キーワード:火星、リージョナルダストストーム、ダストプルーム、B storm
火星大気には、地表面の岩石を起源とする粒径1um程度の塵(ダスト)が存在する。大気中のダストは太陽可視光を吸収するとともに、熱赤外線を吸収・放射するという放射伝達過程を通して、火星大気の熱収支に大きな影響を与える。特に、地表面付近で加熱されたダストが対流を引き起こし、ダストも巻き上げられることで、ダストストームが引き起こされる。
火星の公転軌道は楕円軌道を描き、近日点付近ではダストストーム活動が活発になる。火星で発生するダストストームはその空間規模により、ローカルダストストーム、リージョナルダストストーム、グローバルダストストームの3種類に分類される。グローバルダストストームが発生しない火星年では、近日点付近においてリージョナルダストストームが複数発生する。Kass et al. (2016)は境界層上部の気温分布から、リージョナルダストストームを3種類(A, B, C storm)に分類した。A, C stormは傾圧不安定波に伴うリージョナルダストストームで両半球の中緯度付近で確認される(Martín-Rubio et al., 2024)のに対し、B stormは南緯65度以南の南極上空に限定される(Kass et al., 2016; Batterson et al., 2023)。
我々は、米国の火星探査機 Mars Reconnaissance Orbiter (MRO) 搭載の熱赤外センサ MCS による観測データを用いて、B storm期間中にダストの高濃度な領域が10Pa付近まで到達する構造(ダストプルーム)を捉えた。MROは太陽同期極軌道をとり、2時間弱で経度方向に30度弱ずつ回転しながら緯度高度断面図が得られる(McCleese et al., 2007)。火星年35のB storm期間中(Ls=250-290°)、南緯30度から90度における各軌道の緯度高度分布(高度方向は気圧で表現)を確認した。その結果、数例のダストプルームを検出した。ダストプルームは、緯度方向に約1000-1800km広がり、到達気圧高度は約3Pa、ダスト消散係数は10-4 km-1程度だった。ダスト混合比(ダスト消散係数を大気質量密度で正規化した値)では、ダストプルームの内部の方が地表面付近よりも大きい場合も見られた。使用した観測データでは、ダストプルームを時空間的に連続して捉えられないので、ダストプルームが地表面からつながって分布しているのか、完全に地表から切り離されているのかは、現段階では明らかにできていない。もし、地表面から切り離されている場合は、Detached Dust Layersと呼ばれる分離浮遊ダスト層(McCleese et al., 2010; Heavens et al., 2011a; Heavens et al., 2011b; Spiga et al., 2013)を生成するメカニズムの候補の可能性もある。
今回我々がMRO-MCS観測結果から確認したダストプルームの特徴は、Batterson et al. (2023)が示したダストプルームの数値シミュレーション結果(経度方向に約400-1500km、到達気圧高度は約3Pa)と整合的である。今後は、今回確認されたようなダストプルームが発生する頻度や、他の火星年でもこのような現象が発生しているのかについて調べる予定である。
火星の公転軌道は楕円軌道を描き、近日点付近ではダストストーム活動が活発になる。火星で発生するダストストームはその空間規模により、ローカルダストストーム、リージョナルダストストーム、グローバルダストストームの3種類に分類される。グローバルダストストームが発生しない火星年では、近日点付近においてリージョナルダストストームが複数発生する。Kass et al. (2016)は境界層上部の気温分布から、リージョナルダストストームを3種類(A, B, C storm)に分類した。A, C stormは傾圧不安定波に伴うリージョナルダストストームで両半球の中緯度付近で確認される(Martín-Rubio et al., 2024)のに対し、B stormは南緯65度以南の南極上空に限定される(Kass et al., 2016; Batterson et al., 2023)。
我々は、米国の火星探査機 Mars Reconnaissance Orbiter (MRO) 搭載の熱赤外センサ MCS による観測データを用いて、B storm期間中にダストの高濃度な領域が10Pa付近まで到達する構造(ダストプルーム)を捉えた。MROは太陽同期極軌道をとり、2時間弱で経度方向に30度弱ずつ回転しながら緯度高度断面図が得られる(McCleese et al., 2007)。火星年35のB storm期間中(Ls=250-290°)、南緯30度から90度における各軌道の緯度高度分布(高度方向は気圧で表現)を確認した。その結果、数例のダストプルームを検出した。ダストプルームは、緯度方向に約1000-1800km広がり、到達気圧高度は約3Pa、ダスト消散係数は10-4 km-1程度だった。ダスト混合比(ダスト消散係数を大気質量密度で正規化した値)では、ダストプルームの内部の方が地表面付近よりも大きい場合も見られた。使用した観測データでは、ダストプルームを時空間的に連続して捉えられないので、ダストプルームが地表面からつながって分布しているのか、完全に地表から切り離されているのかは、現段階では明らかにできていない。もし、地表面から切り離されている場合は、Detached Dust Layersと呼ばれる分離浮遊ダスト層(McCleese et al., 2010; Heavens et al., 2011a; Heavens et al., 2011b; Spiga et al., 2013)を生成するメカニズムの候補の可能性もある。
今回我々がMRO-MCS観測結果から確認したダストプルームの特徴は、Batterson et al. (2023)が示したダストプルームの数値シミュレーション結果(経度方向に約400-1500km、到達気圧高度は約3Pa)と整合的である。今後は、今回確認されたようなダストプルームが発生する頻度や、他の火星年でもこのような現象が発生しているのかについて調べる予定である。