日本地球惑星科学連合2025年大会

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[E] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG44] 地殻表層の変動・発達と地球年代学/熱年代学の応用

2025年5月27日(火) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:末岡 茂(日本原子力研究開発機構)、長谷部 徳子(金沢大学環日本海域環境研究センター)、Tamer Murat Taner(China Earthquake Administration)、田上 高広(京都大学大学院理学研究科)


17:15 〜 19:15

[SCG44-P06] 長石OSL年代測定法の適用性の検討:能登半島珠洲の年代既知のMIS 5c海成段丘の事例

*小形 学1西山 成哲1松四 雄騎2内田 真緒1小松 哲也1末岡 茂1 (1.国立研究開発法人日本原子力研究開発機構東濃地科学センター、2.京都大学防災研究所)

キーワード:長石、ルミネッセンス、OSL、pIRIR

長石の光ルミネッセンス(OSL)年代測定法は、1)堆積物中に長石が普遍的に含まれること、2)適用年代範囲が数千年~数十万年であること、そして3)堆積過程における太陽光曝露によってOSL信号が初期化するため堆積年代の推定が可能であることから、中・後期更新世海成段丘の編年への利用が期待される。これまでに、テフラ編年との比較により長石OSL年代測定法の日本の海成段丘への適用性が示されてきたが[1-4]、未だ適用事例は少なく、事例蓄積による信頼性の向上が課題である。
能登半島珠洲地域では、三瓶木次テフラ[5]によりMIS 5c、サンゴ化石のウラン系列年代[6]よりMIS 5eの海成段丘が確認されており、その高位にも海成段丘が連続して分布している[7-8]。また、MIS 5cの海成段丘では長石OSL年代測定によって約100 kaの年代が報告されている[9]。本研究では、珠洲の年代既知の海成段丘を対象にOSL年代測定法の適用性の検討を行う。
本発表では、MIS 5cの海成段丘のOSL年代測定結果について報告する。試料を採取した露頭では、下部より基盤岩、層厚2.1 mの礫混じり砂層、層厚0.2 mの砂質シルト層、層厚0.4 mのローム層、層厚0.2 mの土壌層が観察された。礫混じり砂層~砂質シルト層を海成層と考え、礫混じり砂層から3試料、砂質シルト層から1試料を採取し、測定温度50 °Cと225 °Cでカリ長石のpost-infrared infrared stimulated luminescence(pIRIR)年代測定を行った。等価線量が対数正規分布をすることを仮定し年代を算出するcentral age model[10]によるpIRIR年代は、下部より135±9 ka 、129±8 ka、125±9 ka、108±7 kaであった。他方、最上部(砂質シルト層)で採取した試料の等価線量分布は2つのピークを示すことから、低・高線量側の分布を求めるminimum age model[10]とmaximum age model[11]を適用したところ、それぞれ95±11 kaと118±13 kaの年代が得られた。これらの結果より、礫混じり砂層はMIS 5e、砂質シルト層はMIS 5cと5eの混在堆積物と評価した。これは三瓶木次テフラによる段丘編年と一致する[5, 7-8]。本研究より、堆積過程における太陽光曝露による年代の初期化の確率が高い海成堆積物であっても、地層境界付近は擾乱等により堆積年代の異なる堆積物が混在する可能性があるため、等価線量分布の評価が必要であることが示された。今後は、珠洲地域の年代既知のMIS 5eの海成段丘、及び地形層序学的な年代の推定に留まるより高位の段丘を対象に適用性の検討を行う。
本報告には、経済産業省資源エネルギー庁委託事業「高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業(地質環境長期安定性総合評価技術開発)(JPJ007597)」の令和5~6年度に得られた成果の一部を使用している。

References: [1] Thiel et al. (2015). Quaternary Geochronology, 29, 16-29. [2] Ito et al. (2017). Geochronometria, 44, 352-365. [3] 林崎 (2022). 電力中央研究所報告, NR21005. [4] Okazaki et al. (2022). Quaternary Science Reviews, 285, 107507. [5] 豊蔵ほか (1991). 第四紀研究, 30, 79-90. [6] Omura (1980). Trans. Proc. Palaeont. Soc. Japan, N. S., 117, 247-253. [7] 太田・平川 (1979). 地理学評論, 52, 169-189. [8] 小池・町田 (2001). 東京大学出版会. [9] 伊藤・田村 (2017). JpGU2017, STT60-P02. [10] Galbraith et al. (1999). Archaeometry, 41, 339-364. [11] Olley et al. (2006). Quaternary Science Reviews, 25, 2469-2474.