日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG45] Science of slow-to-fast earthquakes

2025年5月28日(水) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:加藤 愛太郎(東京大学地震研究所)、山口 飛鳥(東京大学大気海洋研究所)、中田 令子(東京大学大学院理学系研究科)、大久保 蔵馬(防災科学技術研究所)

17:15 〜 19:15

[SCG45-P10] X線コンピュータトモグラフィーと歪み解析を用いた乾燥砂ウェッジにできる前縁衝上断層の発達過程の考察

篠崎 敬伍1、*藤内 智士1 (1.高知大学理工学部)

キーワード:剪断帯、断層、付加体、模型実験

地質体に発達する剪断帯は,剪断歪みが局所化することでできる一方で,変位の累積とともに剪断帯は厚くなることも報告されている.この仕組みとして,剪断帯および周囲で起こる地質体の破砕や複数の剪断帯の連結が指摘されている.本研究では,主すべり面の移動が剪断帯発達の鍵だと考えて,一つの剪断帯の変位履歴について,累積変形だけでなく時間ごとの変形についても把握する必要があると考えた.そこで,乾燥砂層にできる剪断帯について,X線コンピュータトモグラフィー(XCT)データとデジタル写真による歪み解析データを同一実験から取得して,剪断帯の分布と歪み速度場の時間変化を調べた.

実験では,粘着シートを敷いたアクリル容器(幅118㎜,長さ693㎜,高さ158㎜)に乾燥した豊浦硅砂(径106-300 µm)を自由落下により厚さ20㎜で敷き詰め,シートを水平に0.125 mm/sの速さで500㎜引いて,砂層を固定壁に押し付けることで剪断帯が発達するウェッジを作成した.

実験でできた複数の剪断帯のうち,本研究ではウェッジ先端部にできてシートを引く方向に傾斜するものをフロンタルスラスト(以下,FT)と呼ぶことにし,これに注目した.XCT画像では,FTが変位とともに厚くなる様子が見られた.これに歪み解析データを重ねると,深度によって厚化の仕組みや時期が異なることが明らかになった.具体的には,FTの浅い領域での厚化は,ウェッジ先端部の斜面で起こる砂の崩壊が影響している.このとき主すべり面は,崩壊した層と沈み込み層の間にできる.それに対してFTの深い領域では,主すべり面がウェッジ内部に移動していくことで剪断帯が厚くなっていく.ここでは構造性侵食が起こる.

本研究の実験で観察された仕組みと同じような剪断帯の発達過程は,例えばプレート収束帯の堆積層中などにも存在する可能性がある.天然の地層も含めた検討が今後の課題である.