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[SCG51-02] 南部マリアナ前弧海嶺かんらん岩の岩石学的特徴とその形成環境

キーワード:マリアナ海溝南部、南マリアナ前弧海嶺、チャレンジャー海淵、かんらん岩、角閃石
マリアナ海溝は水深10,000m超の世界最深の海溝である[1]。海溝南部の海溝軸は島弧や背弧を横切る複雑な地形を形成し、最深部チャレンジャー海淵近傍では南部マリアナ前弧海嶺がマリアナ海溝とマリアナトラフを分けている[2]。本研究では、マリアナ海溝南部かんらん岩の岩石学的特徴と形成環境を明らかにするために、南部マリアナ前弧海嶺の海溝陸側斜面のかんらん岩試料の組織観察、結晶方位分析、主要元素組成分析を行った。本研究に用いた岩石試料は研究調査船「よこすか」のYK08-08、YK10-12航海において、「しんかい6500」によって採取された4ダイブサイト(6K-1095, 6K-1232, 6K-1233, 6K1234)の55個の蛇紋岩化したハルツバージャイトとダナイトである。ハルツバージャイトの主要構成鉱物は、かんらん石、直方輝石、スピネル、単斜輝石、角閃石と斜長石、ダナイトの主要構成鉱物は、かんらん石、スピネルと角閃石である。主要元素組成について、かんらん石のMg#は0.89–0.92、スピネルのCr#は0.32–0.99、Mg#は0.11–0.62、TiO2は0.01–0.03wt%、角閃石のK2O/TiO2は0–3.14である。特に角閃石のK2O/TiO2では、背弧起源(K2O/TiO2 = 0–0.50)と前弧起源(K2O/TiO2 = 1.00–3.14)の2つのカンラン岩群に分類された。前弧起源のカンラン岩は、スピネルのTiO2の値が小さく(< 0.05 wt%)、Cr#が大きい(>0.6)傾向にあった。また、1つのカンラン岩(6K-1233-R13)には直方輝石の付近に含水メルト反応の証拠[3]となるニードル状のスピネル包有物を含む角閃石が確認された。一方、背弧起源のかんらん岩はスピネルのTiO2の値が大きく(>0.05 wt%)、Cr#が小さい (<0.6)傾向にあった。以上の結果をもとにして、南部マリアナ前弧海嶺の形成環境について議論する。
[1] Greenaway et al. 2021 Deep-Sea Research Part I, [2] Stern et al. 2020 Island Arc, [3] Harano & Michibayashi 2024 Lithos.
[1] Greenaway et al. 2021 Deep-Sea Research Part I, [2] Stern et al. 2020 Island Arc, [3] Harano & Michibayashi 2024 Lithos.