日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG51] ハードロック掘削科学:陸上・深海底掘削、そしてオフィオライト

2025年5月26日(月) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:星出 隆志(秋田大学国際資源学部)、針金 由美子(産業技術総合研究所)、岡崎 啓史(広島大学先進理工系科学研究科地球惑星システム学プログラム)

17:15 〜 19:15

[SCG51-P06] ハンレイ岩ウルトラマイロナイトの斜長石四重点~オマーンオフィオライト・フィズ岩体の延性剪断帯の例

*夏目 樹1道林 克禎2,3伊神 洋平4 (1.神奈川県立生命の星・地球博物館、2.名古屋大学大学院 環境学研究科(岩鉱)、3.海洋研究開発機構 海域地震火山部門 火山・地球内部研究センター、4.京都大学理学研究科)

キーワード:四重点、粒界すべり、ハンレイ岩ウルトラマイロナイト、オマーンオフィオライト

岩石の変形機構の一つである粒界すべりでは、粒子が粒界で滑り合あうことで変形が進行する。粒界すべりでは、4つの粒子が面上の1点で交わる四重点と呼ばれる組織が形成されるモデル[1]が提案されており、実験的にも直接観察されている[2]。四重点は天然のウルトラマイロナイトでも報告されており、粒界すべりを示唆する証拠として扱われている[3–5]が、その数や分布については明らかになっていない。本研究では四重点組織の実態を解明することを目的として、オマーンオフィオライト・フィズ岩体に発達した延性剪断帯のハンレイ岩ウルトラマイロナイトについてSEM-EBSD分析を行い、マップデータから斜長石四重点の自動検出を行うと共に、TEMにて四重点周辺を観察した。
北部オマーンオフィオライトには複数の左横ずれの延性剪断帯が北西南東方向に発達している[6]。特にフィズ岩体の南東部の延性剪断帯は地殻-マントル境界を切っており、その形成時に流体の影響を受けたと解釈された [7]。本研究では、この延性剪断帯からハンレイ岩ウルトラマイロナイトを採取し、面構造に垂直、線構造に平行な面で研磨薄片を作成して、SEM-EBSD分析を行った。ウルトラマイロナイトの主要構成鉱物は斜長石と緑色角閃石で、原岩に含まれる単斜輝石は観察されなかった。斜長石は多くが細粒基質を構成しポーフィロクラストは少ない。角閃石は細粒基質部とポーフィロクラストを構成し、ポーフィロクラストは割れて破断部には細粒な角閃石または緑泥石が充填していた。また、細粒基質部の斜長石と角閃石の粒径は数μm程度で、相混合の程度は弱かった。SEM-EBSD分析から取得したマップデータからMATLABのMTEX Toolboxを用いて、結晶方位解析と粒径解析を行った。さらに結晶境界について、四重点を十分に距離が近い二つの三重点の中間点とみなして検出した後、薄片上での粒子の欠損や粒径などを考慮して最終的な四重点を抽出した。その結果、斜長石の結晶方位ファブリックはランダム、平均粒径は約5 μmで、四重点は細粒基質部に普遍的に分布することが明らかとなった。さらに、同じ面で作成した研磨薄片から四重点を含む領域をFIBで用いて切り出してTEM観察を行ったところ、四重点周辺に転位は存在するが転位密度は低いことがわかった。
以上の結果を基にして、本発表ではハンレイ岩ウルトラマイロナイトの微細構造の発達過程について議論する。

【引用文献】[1] Ashby & Verrall 1973 Acta Metall, [2] Maruyama & Hiraga 2017 J. Geophys. Res, [3] Casini et al. 2021 J. Geophys. Res., [4] Precigout et al. 2017 Nat. Commun., [5] Menegon et al. 2013 J. Struct. Geol., [6] Boudier et al. 1988 Tectonophysics, [7] Michibayashi & Oohara 2013 Earth Planet. Sci. Lett.