日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG53] 岩石・鉱物・資源

2025年5月28日(水) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:野崎 達生(早稲田大学 理工学術院 創造理工学研究科 地球・環境資源工学専攻)、西原 遊(愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター)、福士 圭介(金沢大学環日本海域環境研究センター)、纐纈 佑衣(名古屋大学大学院 環境学研究科)

17:15 〜 19:15

[SCG53-P03] 低圧条件におけるダイヤモンドアンビルセルの圧力保持安定性の検証

*安藤 紗良1荻野 竣右1纐纈 佑衣1 (1.名古屋大学大学院 環境学研究科(岩鉱))

キーワード:ダイヤモンドアンビルセル、ラマン分光法、石英ラマン圧力計、ルビー蛍光

小型の加圧装置であるダイヤモンドアンビルセル(Diamond Anvil Cell: DAC)は、数GPa程度の地殻領域から数百GPa以上のマントル・コア領域まで、幅広い圧力条件下での研究が行われている。低圧条件のDACはアンビル径を大きくすることができるため(〜1 mm)、試料室を広くできる利点があるが、圧力を安定に保持できるガスケットの厚みや穴の径、試料にかかる圧力勾配は十分に検証されていない。本研究では、ラマン分光法によって石英とルビーのラマンシフトを測定することで、試料室内の圧力を算出し、低圧条件下のDAC試料室内における圧力保持の安定性を検証した。方法としては、まず、石英とルビーの粒をステンレス製ガスケットに詰め、圧力媒体としてメタノール・エタノール混合溶液を封入した。ガスケットは、穴 の直径および厚みが0.5 mmと0.6 mmの組み合わせを検証した。また、封入する石英試料の形状を変えて圧力が均一にかかるか検証した。 試料は5種類で、1.4–1.8 GPa程度で加圧を行った。数日間加圧した状態でラマン測定を行い、圧力の日数変化を調べた。また、石英については、平面方向と垂直方向にマッピングを行い、試料にかかっている圧力の分布を調べた。 結果として、DAC試料室内の圧力の日数変化は変動が見られたものの、圧力が試料室内から抜けている様子は見られなかった。平面方向のマッピングに関して、一部の試料では試料の周縁部において圧力がばらつく傾向が見られた。試料の領域を分けて分析したところ、中心部、中間部、周縁部の順に圧力のばらつきが大きくなった。これは周縁部に行くほど、試料と圧力媒体の境界でシグナルが検出しづらかったためと考えられる。そこでSignal-to-Noise Ratio(SNR)値を用いて、シグナルの強度を検証した。圧力と同様、SNR値をマッピングにして表すと、周縁部などの圧力のばらつきが大きい部分でシグナル強度が低くなっている様子が確認された。ただし、同一試料内のすべての領域において、圧力の平均値は最大で0.01 GPaしか変わらなかった。よって、今回検証したDACの試料室内においては、局所的な圧力の集中はなく、均一に加圧されていると言える。深さ方向のマッピングに関しては、どの試料においても、端に行くにつれて圧力のばらつきが見られた。深さ方向においてもSNR値を求めると、先端に行くにつれてシグナルが小さくなっている様子が確認できた。また、測定する深さを変えて平面方向のマッピングを行うと、圧力の平均値分布はどの面でも等しく、均一に加圧されていた。よって、深さ方向にも圧力は均一にかかっていることが示された。上記の結果から、低圧条件におけるダイヤモンドアンビルセルにおいて、液体を圧力媒体として用いた場合は0.5–0.6 mmのガスケットでも試料を均一に加圧でき、圧力を安定に保持できることが示された。一方で、試料の端はSNR値が小さくなるため、精度の高いデータを得るためには、平面及び深さ方向において中心部を測定することが望ましい。