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[SCG53-P08] 山形県温海地域の安山岩類に含まれる斑れい岩質捕獲岩の特徴
キーワード:捕獲岩、斑れい岩
山形県鶴岡市五十川・鈴漁港周辺には、中新統鼠ヶ関層に貫入した温海ドレライト岩床に伴ってデイサイト~安山岩質岩脈が分布し、同岩脈中に斑れい岩質捕獲岩が含まれる。近藤ほか(1999)は、岩石学的特徴から同斑れい岩質捕獲岩をかんらん石を含むタイプと含まないタイプに分類した。そしてSr, Nd同位体組成とSm-Nd鉱物アイソクロン年代に基づき、それぞれを古第三紀に活動したアルカリ岩質マグマと、後期白亜紀に活動したマグマに由来するとし、いずれも新第三紀に活動した温海ドレライトやそれに伴うデイサイト~安山岩とは成因的な関係がないとした。一方、土谷ほか(2003)は、斜長石、普通角閃石、単斜輝石、磁鉄鉱からなる捕獲岩が主体であるとし、かんらん石、単斜輝石、斜長石、クロムスピネルからなるものもまれに認められるとした。そして、前者を下部地殻起源の捕獲岩、後者をドレライトマグマからの集積岩を捕獲したものであると考えた。
上述のように、温海地域に産する斑れい岩質捕獲岩の起源について異なる解釈がなされており、未だ検討の余地がある。そこで我々は、斑れい岩質捕獲岩の岩石学的特徴を調べた。
鈴漁港の南南西約350 mの黒滝付近の沿岸に鼠ヶ関層泥岩と岩床(玄武岩質粗面安山岩)の接触部が露出し、この玄武岩質粗面安山岩岩床をさらに安山岩~デイサイトの岩脈(SiO2=59–65 wt%)が貫いている。同岩脈中には長径数cm~40 cmの斑れい岩質捕獲岩が含まれる。そこから捕獲岩約20個を採取し、岩石学的特徴に基づき以下の5種類に分類した。
・中粒かんらん石斑れい岩(高Mgタイプ: SiO2=50 wt%, MgO=8.8 wt%)…斜長石(An87-89)41 vol%・単斜輝石(Mg#79-81)42 vol%・かんらん石14 vol %が等粒状組織を呈する。かんらん石はほぼ全て蛇紋石等に変質している。
・中粒かんらん石斑れい岩(低Mg タイプ: SiO2=48.6-48.7 wt%, MgO=4.9-5.5 wt%)…自形の斜長石(An87)64 vol%の間隙を他形の単斜輝石(Mg#85)25 vol%とかんらん石9 vol %が埋める組織を呈する。かんらん石はほぼ全て変質している。
・粗粒斑れい岩…粒径数cmの斜長石(An84-85)24 vol%,単斜輝石(Mg#74)58 vol%,チタン磁鉄鉱13 vol %,かんらん石4 vol %からなる。かんらん石はほぼ全て変質している。
・細粒斑れい岩(SiO2=48 wt%, MgO=5.8 wt%)…細粒(粒径0.2-1 mm程度)の斜長石(An71-81)41 vol %,単斜輝石(Mg#73-76)10 vol%,燐灰石0.6 vol %の間隙を,粒径数10㎛程度の単斜輝石、斜長石、磁鉄鉱等からなる極細粒部(約44 vol%)が埋める組織を呈する。
・角閃石斑れい岩…斜長石(An84-89)80 vol %,普通角閃石19 vol %,チタン磁鉄鉱1 vol %からなり、粗粒な他形普通角閃石が多数の自形の斜長石を包有する組織を呈する。普通角閃石のリムは一部オパサイト化している。
かんらん石を含む斑れい岩捕獲岩では、粗粒な鉱物粒子の間隙に、斜長石(An60-67)、単斜輝石(Mg#72-79)、チタン磁鉄鉱、蛇紋石からなる極細粒(粒径約10μm)な組織がみられる。この極細粒部に含まれる斜長石や単斜輝石の組成は、粗粒なものと比べ分化した組成を示す。また、極細粒部の平均化学組成は捕獲岩の全岩組成と比べ、しばしばMgに富む。極細粒部に面する部分で、粗粒斜長石のリムは逆累帯構造を示すことがあり、単斜輝石はスポンジ状のリムをもつことがある。
中粒かんらん石斑れい岩や細粒斑れい岩に見られる極細粒部の組織は、捕獲岩の粒間にメルトが存在していた可能性を示唆する。極細粒部が40 vol%を超える細粒斑れい岩は、デイサイト~安山岩質マグマによって取り込まれた時にクリスタルマッシュであった可能性がある.対してほぼ完晶質な中粒かんらん石斑れい岩は、ほぼ固結が完了した状態でマグマに捕獲されたと考えられる。磁鉄鉱を含む粗粒斑れい岩は、他の捕獲岩に比べMg#が低いことから、より分化したマグマから晶出したことを示唆する。
上述のように、温海地域に産する斑れい岩質捕獲岩の起源について異なる解釈がなされており、未だ検討の余地がある。そこで我々は、斑れい岩質捕獲岩の岩石学的特徴を調べた。
鈴漁港の南南西約350 mの黒滝付近の沿岸に鼠ヶ関層泥岩と岩床(玄武岩質粗面安山岩)の接触部が露出し、この玄武岩質粗面安山岩岩床をさらに安山岩~デイサイトの岩脈(SiO2=59–65 wt%)が貫いている。同岩脈中には長径数cm~40 cmの斑れい岩質捕獲岩が含まれる。そこから捕獲岩約20個を採取し、岩石学的特徴に基づき以下の5種類に分類した。
・中粒かんらん石斑れい岩(高Mgタイプ: SiO2=50 wt%, MgO=8.8 wt%)…斜長石(An87-89)41 vol%・単斜輝石(Mg#79-81)42 vol%・かんらん石14 vol %が等粒状組織を呈する。かんらん石はほぼ全て蛇紋石等に変質している。
・中粒かんらん石斑れい岩(低Mg タイプ: SiO2=48.6-48.7 wt%, MgO=4.9-5.5 wt%)…自形の斜長石(An87)64 vol%の間隙を他形の単斜輝石(Mg#85)25 vol%とかんらん石9 vol %が埋める組織を呈する。かんらん石はほぼ全て変質している。
・粗粒斑れい岩…粒径数cmの斜長石(An84-85)24 vol%,単斜輝石(Mg#74)58 vol%,チタン磁鉄鉱13 vol %,かんらん石4 vol %からなる。かんらん石はほぼ全て変質している。
・細粒斑れい岩(SiO2=48 wt%, MgO=5.8 wt%)…細粒(粒径0.2-1 mm程度)の斜長石(An71-81)41 vol %,単斜輝石(Mg#73-76)10 vol%,燐灰石0.6 vol %の間隙を,粒径数10㎛程度の単斜輝石、斜長石、磁鉄鉱等からなる極細粒部(約44 vol%)が埋める組織を呈する。
・角閃石斑れい岩…斜長石(An84-89)80 vol %,普通角閃石19 vol %,チタン磁鉄鉱1 vol %からなり、粗粒な他形普通角閃石が多数の自形の斜長石を包有する組織を呈する。普通角閃石のリムは一部オパサイト化している。
かんらん石を含む斑れい岩捕獲岩では、粗粒な鉱物粒子の間隙に、斜長石(An60-67)、単斜輝石(Mg#72-79)、チタン磁鉄鉱、蛇紋石からなる極細粒(粒径約10μm)な組織がみられる。この極細粒部に含まれる斜長石や単斜輝石の組成は、粗粒なものと比べ分化した組成を示す。また、極細粒部の平均化学組成は捕獲岩の全岩組成と比べ、しばしばMgに富む。極細粒部に面する部分で、粗粒斜長石のリムは逆累帯構造を示すことがあり、単斜輝石はスポンジ状のリムをもつことがある。
中粒かんらん石斑れい岩や細粒斑れい岩に見られる極細粒部の組織は、捕獲岩の粒間にメルトが存在していた可能性を示唆する。極細粒部が40 vol%を超える細粒斑れい岩は、デイサイト~安山岩質マグマによって取り込まれた時にクリスタルマッシュであった可能性がある.対してほぼ完晶質な中粒かんらん石斑れい岩は、ほぼ固結が完了した状態でマグマに捕獲されたと考えられる。磁鉄鉱を含む粗粒斑れい岩は、他の捕獲岩に比べMg#が低いことから、より分化したマグマから晶出したことを示唆する。