日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG54] 岩石―流体相互作用の新展開:表層から沈み込み帯深部まで

2025年5月30日(金) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:岡本 敦(東北大学大学院環境科学研究科)、武藤 潤(東北大学大学院理学研究科地学専攻)、片山 郁夫(広島大学大学院先進理工系科学研究科地球惑星システム学プログラム)、中島 淳一(東京科学大学理学院地球惑星科学系)

17:15 〜 19:15

[SCG54-P09] CO₂流体と幌満カンラン岩および嶺岡蛇紋岩の反応による物理化学特性の変化

*中川 嵩斗1片山 郁夫1伊藤 禎宏1横山 正2 (1.広島大学大学院先進理工系科学研究科地球惑星システム学プログラム、2.広島大学大学院先進理工系科学研究科理工学融合プログラム)


キーワード:CCS技術、炭酸塩鉱物、カンラン岩、蛇紋岩

二酸化炭素を地中に貯留・処分するCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)の中でも鉱物トラップが近年注目されている。なかでも、マントルを構成するカンラン岩は二価の陽イオンを多量に含むため二酸化炭素の貯留ポテンシャルが高いと言える。しかし、CO2流体と岩石の反応による鉱物トラップを行う上で最大の問題点となるのが炭素固定をモニタリングする手法が確立していない点である。そこで、CO2流体とカンラン岩および蛇紋岩の反応によって物理特性(空隙率、電気比抵抗、地震波速度)や流体の化学特性(pH、イオン濃度)の時間変化を測定することで、炭素固定をモニタリングする際に有効なパラメータを確立する事を目的とした。
 試料は北海道の幌満川沿いで採取された水質変質をあまり受けていないカンラン岩と、千葉県の房総半島で採取されたリザダイト・クリソタイルを含む蛇紋岩を用いた。これらの試料を一辺15mm程度のキューブ状に加工し、超純水を含む小型容器に投入した後、二酸化炭素で満たされた圧力容器内で反応を進行させた。なお、二酸化炭素分圧は1MPaとし、その時の流体のpHは3.9程度であるため鉱物の溶解が進むことが期待される。二酸化炭素の注入を開始してから1日、2日、5日、10日、20日、50日、100日の計7回反応試料を回収し、空隙率、電気比抵抗、地震波速度の物理特性を測定するとともに、流体のpHやイオン濃度を計測した。また、反応から50日が経過した試料の薄片を作成し、EPMAによる反応面の微細組織観察を行った。
 測定の結果、カンラン岩の物理特性には大きな変化が見られなかったが、蛇紋岩の物理特性は反応による変化が見られた。反応後の蛇紋岩の空隙率は反応前の1%から2%程度まで上昇し、電気比抵抗はわずかに低下したが、地震波速度には優位な違いは見られなかった。流体の化学特性については、カンラン岩と蛇紋岩どちらも反応によるpHの上昇およびイオン濃度の変化が見られた。とくに蛇紋岩では流体中のMgイオンの濃度が著しく高く、これはブルーサイトの溶脱を反映していると考えられる。
 このように、二酸化炭素流体とカンラン岩および蛇紋岩の反応によって物理化学特性が変化することが分かった。これらの変化は鉱物の溶解に起因していると考えられる。また、蛇紋岩において空隙率が上昇するにも関わらず、地震波速度が変化していないのは空隙構造の変化によるものと考えられる。
今後は、微細組織観察による反応の空間的な広がりを調べるとともに応用していくかを検証していきたい。