15:45 〜 16:00
[SCG55-31] GNSS-A観測で見られる時定数の短い海中音速場変化と内部重力波
キーワード:海中音速、内部重力波、GNSS-音響観測、XBT
海底測地観測方法の1つであるGNSS-音響結合方式(GNSS-A)観測は船上のアンテナのGNSS測位と海中音響測距を組み合わせ、海底地殻変動を海底局で構成するアレイ位置の変位として捉えるものである。海中音響測距を利用することから、測位精度は仮定した海中音速場に依存する。海洋現象により海中音速場は時間変化するが、時間変化する水平成層構造を仮定した場合、海面から海底までの平均音速は理論走時と観測走時の差を鉛直方向に投影した鉛直走時遅延量NTD (Nadir Total Delay) の変化として表すことができる。実際に観測されるNTDの時系列には、潮汐周期の変動に重合する形で周期30 ~ 60分ほどの時定数の短い振動が見られることが多く、これは内部重力波の影響と考えられている。時定数の短い波の波長はアレイの空間スケールより短い可能性があり、その場合時間変化する空間勾配として表現することができず、海底局位置の解析に組み入れるのは困難である。そこで、観測点での時定数の短い内部重力波の典型的な波長を把握する必要がある。
2016年12/19 ~ 12/24にかけて熊野灘で実施された航海時にGNSS-A観測が行われた。アレイ中心で行う定点観測の際に、XBT (eXpendable Bathy Thermograph)を用いて10分毎に2時間連続で温度プロファイルの計測を実施した。本研究ではこの温度データの時間変化から内部重力波の特徴を抽出し、海中音響測距にどのような影響を及ぼすか調べることを目的とする。
まず、XBT連続計測で得た温度プロファイルから音速プロファイルとNTD相当量の2時間分の時系列を計算した。XBTの水温の公称確度0.2℃から計算したNTDの誤差はNTDの変化より大きくなってしまう。しかし水温の時間変化がほとんど無いと思われる水深の深い領域でのプロファイル毎の水温のばらつきの標準偏差をみると同じロットのプローブを用いたこともあり0.02℃程度に収まり、実際のNTDの誤差は一桁小さいと考えられる。さらにこのプロファイル深部のばらつきの大部分がセンサーのバイアスであると仮定し、より確度の高いXCTD (eXpendable Conductivity, Temperature and Depth) と値を揃える操作を行うと、表層の混合層の温度のばらつきも減じ、この仮定が妥当と判断できる。XCTDに合わせるバイアス補正を施した温度プロファイルからNTDを再計算し、その時系列データを、音響測距により取得した12時間分のNTDの時系列と比較した。その結果、XBTの計測期間中の両者の時間変化はよく一致した。また、一部見られた両者の乖離は、ジオイドおよび潮汐モデルによる海面高度とGNSSによる楕円体高の10cm程度のずれで説明でき、GNSS解析での鉛直誤差であると思われる。
次にXBTで計測した温度プロファイルの振動の様子を定量的に可視化するため、温度プロファイルの0.2 ℃ごとの同じ水温の深さの時系列を調べた結果、周期が1時間ほどの振動が見られた。XCTDの温度・塩分プロファイルから鉛直ポテンシャル密度勾配を計算し、存在可能な内部重力波の周波数の上限を示すブラント-バイサラ振動数を求めたところ、水深の深い領域では約3700 秒、浅い領域では約740 秒であり、実際に見られた周期1時間と矛盾しないことを確認した。音響データからは同様な周期のNTDの振動が多くの時間で見られ、特定の観測点では普遍的な現象であると考えられる。今後、鉛直密度勾配から内部重力波の取り得るモードを計算し、温度プロファイルの振動から実際の卓越モードを同定する。そして、同定したモードの周期と位相速度から内部重力波の波長を求め、GNSS-A解析へどのように影響するかを議論することを課題とする。
2016年12/19 ~ 12/24にかけて熊野灘で実施された航海時にGNSS-A観測が行われた。アレイ中心で行う定点観測の際に、XBT (eXpendable Bathy Thermograph)を用いて10分毎に2時間連続で温度プロファイルの計測を実施した。本研究ではこの温度データの時間変化から内部重力波の特徴を抽出し、海中音響測距にどのような影響を及ぼすか調べることを目的とする。
まず、XBT連続計測で得た温度プロファイルから音速プロファイルとNTD相当量の2時間分の時系列を計算した。XBTの水温の公称確度0.2℃から計算したNTDの誤差はNTDの変化より大きくなってしまう。しかし水温の時間変化がほとんど無いと思われる水深の深い領域でのプロファイル毎の水温のばらつきの標準偏差をみると同じロットのプローブを用いたこともあり0.02℃程度に収まり、実際のNTDの誤差は一桁小さいと考えられる。さらにこのプロファイル深部のばらつきの大部分がセンサーのバイアスであると仮定し、より確度の高いXCTD (eXpendable Conductivity, Temperature and Depth) と値を揃える操作を行うと、表層の混合層の温度のばらつきも減じ、この仮定が妥当と判断できる。XCTDに合わせるバイアス補正を施した温度プロファイルからNTDを再計算し、その時系列データを、音響測距により取得した12時間分のNTDの時系列と比較した。その結果、XBTの計測期間中の両者の時間変化はよく一致した。また、一部見られた両者の乖離は、ジオイドおよび潮汐モデルによる海面高度とGNSSによる楕円体高の10cm程度のずれで説明でき、GNSS解析での鉛直誤差であると思われる。
次にXBTで計測した温度プロファイルの振動の様子を定量的に可視化するため、温度プロファイルの0.2 ℃ごとの同じ水温の深さの時系列を調べた結果、周期が1時間ほどの振動が見られた。XCTDの温度・塩分プロファイルから鉛直ポテンシャル密度勾配を計算し、存在可能な内部重力波の周波数の上限を示すブラント-バイサラ振動数を求めたところ、水深の深い領域では約3700 秒、浅い領域では約740 秒であり、実際に見られた周期1時間と矛盾しないことを確認した。音響データからは同様な周期のNTDの振動が多くの時間で見られ、特定の観測点では普遍的な現象であると考えられる。今後、鉛直密度勾配から内部重力波の取り得るモードを計算し、温度プロファイルの振動から実際の卓越モードを同定する。そして、同定したモードの周期と位相速度から内部重力波の波長を求め、GNSS-A解析へどのように影響するかを議論することを課題とする。
