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[SCG55-P06] 三保半島沖の海底谷に分布する堆積物の特徴
キーワード:駿河湾、海底谷、粘土鉱物
駿河湾西岸にある三保半島は,北向きの漂砂によって形成された複合砂嘴であり,現在も主に安倍川から砕屑物が供給されている.海岸へ到達した漂砂の一部は沖合の海底谷へ流出し,三保半島沖合の後方散乱強度図からも流出した粗粒堆積物と見られる強反射が駿河トラフ底まで連続して分布している様子が確認できる.しかし,三保半島から駿河トラフ底までの堆積物移動過程は明らかになっていない.そこで,本研究では,三保半島沖での堆積物移動の解明を目指した.調査は,後方散乱強度図を基に羽衣海底谷を東西方向(沿岸から沖方向,水深100〜1350 m)に横断する採泥点を設置し,2022年8月~2024年5月に実施した.また,地形断面図から傾斜を基に地形を区分した.堆積物の採取は,水深100〜1200 mの範囲で深海ビデオカメラ・方位傾斜計・メモリー式CTD搭載のスミスマッキンタイヤ式グラブ採泥器を用いて行った.採取した試料は,角柱状アクリルケース(5×6×20 cm)によって柱状試料(層厚約4〜11 cm)を採取した.柱状試料から,肉眼観察,ソフトX線写真による岩相記載,およびレーザー回折散乱法による粒度分析を行った.また,一部表層試料において,1/256 mm以下の粒子を対象に,X線回折法による粘土鉱物の定性分析を行った.また,同定された粘土鉱物について,35°以下のピークを対象にRIR法を用いて簡易的な定量分析を実施した.
地形解析の結果,研究地域は斜面I(水深100〜250 m,傾斜約13.4°,平均勾配約23.8 %),斜面II(水深250〜350 m,約8.4°,約14.7 %),斜面III(水深350〜750 m,約5.8°,約10.2 %),斜面IV(水深750~1000 m,約8.7°,約15.4 %),および斜面V(水深1000~1350 m,約11.6°,約20.6 %)の5つに区分された.
各区分における堆積物の特徴は,斜面Iでは,上位から茶褐色に酸化したシルト層(層厚約2~3 cm),シルト~極細粒砂の層(層厚約2~5 cm),細粒砂~粗粒砂を主体とし礫を含む層の3層に区分された.斜面IIの堆積物は,上位から茶褐色に酸化したシルト層(層厚約2 cm),シルト~粗粒砂を主体とし,礫を含む層の2層に区分された.斜面IIは季節によって岩相が大きく変化し,礫を含むシルト層1層からなる岩相や,シルト層中に層厚1 cm程度の砂層が狭在する岩相を示す等のパターンが見られた.斜面IIIの堆積物は,上位からシルト~極細粒砂の層(層厚約4~8 cm),淘汰が良い細粒砂層の2層の区分された.斜面IVの堆積物は,上位から酸化したシルト層(層厚約0.5~3 cm),生物擾乱が発達したシルト層(層厚約2~4 cm),礫を含む細粒砂~粗粒砂の層の3層に区分された.最下部とその上層の間は,明瞭な境界によって区分された.斜面Vの堆積物は,上位から生物擾乱の発達するシルト層(2~3 cm,場合によっては6 cm超),ラミナを示すシルト層(層厚約2〜4 cm),極細粒砂~中粒砂の砂層(層厚約0.2~2 cm)の3層に区分された.最下層とその上位層間は明瞭に区分された.また,砂層がなくシルト質堆積物のみからなる岩相や,シルト質堆積物中に礫を含む岩相も確認された.したがって,羽衣海底谷の堆積物は浅海から深海へ向かって,粒度が細粒化し,斜面III以深の砂層は淘汰が良くなる傾向が見られた.また,斜面Iと斜面III以外の堆積物は,季節によって変化が見られることから,今後,各季節による変化も解明する必要がある.
粘土鉱物分析では,イライト,緑泥石,モンモリロナイトの3種の粘土鉱物が同定された.これらの粘土鉱物のうち水深が深くなるにつれてイライト・モンモリロナイトが増加し,緑泥石が減少する傾向が見られた.
以上の結果より,三保半島沖合の堆積物は,主に表層のシルトとその下位の粗粒堆積物によって区分された.また,地形の変化に伴い堆積物の岩相が変化することが確認された.加えて,水深の増加に伴い,砂層の粒度が細粒化し,マトリックス粒子の淘汰が良くなる傾向が見られた.これらの特徴は混濁流の側方変化の特徴を示していると考えられる.したがって,羽衣海底谷では,混濁流によって堆積物が運搬されていることが推定された.また,新たな試みとして行った粘土鉱物分析では,イライト,緑泥石,モンモリロナイトの3種の粘土鉱物が同定された.これらを合わせ今後は,三保半島沖堆積物の特徴である,泥質堆積物の起源について解明していく予定である.
地形解析の結果,研究地域は斜面I(水深100〜250 m,傾斜約13.4°,平均勾配約23.8 %),斜面II(水深250〜350 m,約8.4°,約14.7 %),斜面III(水深350〜750 m,約5.8°,約10.2 %),斜面IV(水深750~1000 m,約8.7°,約15.4 %),および斜面V(水深1000~1350 m,約11.6°,約20.6 %)の5つに区分された.
各区分における堆積物の特徴は,斜面Iでは,上位から茶褐色に酸化したシルト層(層厚約2~3 cm),シルト~極細粒砂の層(層厚約2~5 cm),細粒砂~粗粒砂を主体とし礫を含む層の3層に区分された.斜面IIの堆積物は,上位から茶褐色に酸化したシルト層(層厚約2 cm),シルト~粗粒砂を主体とし,礫を含む層の2層に区分された.斜面IIは季節によって岩相が大きく変化し,礫を含むシルト層1層からなる岩相や,シルト層中に層厚1 cm程度の砂層が狭在する岩相を示す等のパターンが見られた.斜面IIIの堆積物は,上位からシルト~極細粒砂の層(層厚約4~8 cm),淘汰が良い細粒砂層の2層の区分された.斜面IVの堆積物は,上位から酸化したシルト層(層厚約0.5~3 cm),生物擾乱が発達したシルト層(層厚約2~4 cm),礫を含む細粒砂~粗粒砂の層の3層に区分された.最下部とその上層の間は,明瞭な境界によって区分された.斜面Vの堆積物は,上位から生物擾乱の発達するシルト層(2~3 cm,場合によっては6 cm超),ラミナを示すシルト層(層厚約2〜4 cm),極細粒砂~中粒砂の砂層(層厚約0.2~2 cm)の3層に区分された.最下層とその上位層間は明瞭に区分された.また,砂層がなくシルト質堆積物のみからなる岩相や,シルト質堆積物中に礫を含む岩相も確認された.したがって,羽衣海底谷の堆積物は浅海から深海へ向かって,粒度が細粒化し,斜面III以深の砂層は淘汰が良くなる傾向が見られた.また,斜面Iと斜面III以外の堆積物は,季節によって変化が見られることから,今後,各季節による変化も解明する必要がある.
粘土鉱物分析では,イライト,緑泥石,モンモリロナイトの3種の粘土鉱物が同定された.これらの粘土鉱物のうち水深が深くなるにつれてイライト・モンモリロナイトが増加し,緑泥石が減少する傾向が見られた.
以上の結果より,三保半島沖合の堆積物は,主に表層のシルトとその下位の粗粒堆積物によって区分された.また,地形の変化に伴い堆積物の岩相が変化することが確認された.加えて,水深の増加に伴い,砂層の粒度が細粒化し,マトリックス粒子の淘汰が良くなる傾向が見られた.これらの特徴は混濁流の側方変化の特徴を示していると考えられる.したがって,羽衣海底谷では,混濁流によって堆積物が運搬されていることが推定された.また,新たな試みとして行った粘土鉱物分析では,イライト,緑泥石,モンモリロナイトの3種の粘土鉱物が同定された.これらを合わせ今後は,三保半島沖堆積物の特徴である,泥質堆積物の起源について解明していく予定である.
