日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG55] 海洋底地球科学

2025年5月28日(水) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:飯沼 卓史(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)、藤井 昌和(国立極地研究所 / 総合研究大学院大学)、尾張 聡子(東京海洋大学)、山本 揚二朗(海洋研究開発機構)


17:15 〜 19:15

[SCG55-P07] マルチプルコアラーの改造による長尺の不擾乱試料採取の試みⅤ

*亀尾 桂1、竹内 誠1、芦田 将成1黒田 潤一郎1芦 寿一郎1中西 諒2、波多野 泰成3村山 雅史4 (1.東京大学大気海洋研究所、2.京都大学大学院理学研究科、3.高知大学大学院総合人間自然科学研究科、4.高知大学農林海洋科学部)

キーワード:マルチプルコアラー、改造、長尺コア、海底表層堆積物

マルチプルコアラーは、海底面付近の表層堆積物を不擾乱で採取することが可能であり、生物学・地球化学・地質学に必要不可欠な観測機器である(たとえば 池原,1993)。通常は長さ60 cmの採泥管を使い、約30 cmの表層堆積物を採取する仕組みであるが、さらに長い表層堆積物を採取したいとする要望も多い。そのため、東京大学大気海洋研究所で運用されているマルチプルコアラー(株式会社離合社製)の改造を行い、従来より延長した採泥管(長さ100 cm)を取り付け、長尺の試料採取を試みている。これまでに、アームの長さやバネ強度、付加荷重錘部の重量を増加させるなどの改造を行い、試験航海および研究航海で採泥を実施し60 cmを超える表層堆積物の採取に成功してきた。また、マルチプルコアラーのフレームに自己記録式の深海カメラを装着し、海底での採泥器の作動や採泥状況を確認してきた。
 例えば久慈沖(水深4200 m)では、マルチプルコアラー、グラビティコアラー、ピストンコアラーの3種類の採泥器を用いて、海底表層堆積物の採取状況を比較している。その対比結果から、長尺マルチプルコアラーであればピストンコアラーでの最上位の表層堆積物欠損分を十分に補えることが分かった。
 一方で、採泥管を長くすることに伴う長く高い強度のアームはフレーム内に収まらないこと、装着や回収時の取り回しが難しいなどの点から運用上の課題があった。そこで、これまでの試験結果を基にマルチプルコアラーを運用しやすくするための改良を行った成果を報告する。例えば、これまでの下蓋アームを外し、採泥管にビットとコアキャッチャーを取り付けることにより、アームの軽量化とハンドリングの易化に成功した。ビットの装着により、アームを用いた改良型より採泥長がさらに約10 cm増加したことになる。また、これまでのマルチプルコアラーの改造をアシュラコアラーへも応用した。試験航海では今回の改良型採泥器を用いた長尺の試料採取を試みたので、これらの成果についても報告する。
引用文献
池原研(1993) マルチプルコアラー,不擾乱表層堆積物採泥器;特に,海水―海底境界の研究のために,堆積学研究会報,39,85–89.