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[SCG55-P12] IODP EXP370におけるC0023でのコア物性変化と間隙水圧推定
キーワード:南海トラフ、デコルマ帯、間隙水圧
南海トラフ周辺の海域では,海底の地形や深さごとの海水の流れ方の違いにより,海洋底堆積物の空間的異方性が存在すると報告されている(Tilley et al. 2022).そのため,南海トラフの海溝底堆積物の空間的異方性は,海溝型地震時のプレート境界断層の滑り挙動に影響を与える可能性がある.本研究では,スロー地震が多く観測されている室戸沖の南海トラフに着目し,プレート境界断層を含む掘削コア試料データを用いて,断層近傍での物性データの評価,間隙水圧の定量的評価を目指す.まずIODPのウェブ上に公開されているEXP370 C0023のオープンデータを利用して,湿潤バルク密度,間隙率,Vp,間隙水圧,間隙水圧比の深度変化を確認した.湿潤バルク密度の深度変化は,深度204.115〜1176.67mの区間において、1.9 g/cm3から2.3 g/cm3へと増加した.ただし,デコルマ帯では2.2 g/cm3から2.1g/cm3へと若干の減少を示した.次に間隙率の深度変化は,同じく深度204.115〜1176.67mの区間において、0.5から0.25に減少したが,デコルマ帯では0.3から0.4に増加した.Vpは同区間において3.1 km/s から4.3 km/sへの増加傾向が確認されたが,デコルマ帯では3.5~3.7 km/sの範囲でほぼ一定の値を示した.さらに堆積物中の間隙水圧はHubbert et al. (1959)による Pf=P0+gz0zρbulkz'dz' の式を用いて算出を試みた.その結果,デコルマ帯を含む深度204.115〜1176.67mの区間において、間隙水圧は52 MPaから75 MPaへと増加が確認され,全深度領域において過剰間隙水圧に相当する.さらに間隙水圧比を算出した結果,0.48~0.67であった.この値は先行研究(Tsuji et al., 2008)による0.4~0.7と調和的と言える.発表では,圧密理論に基づく間隙水圧上昇のメカニズムに焦点をあて,さらなる考察の結果を報告する予定である.
