17:15 〜 19:15
[SCG55-P31] 海底圧力計と海洋モデルを用いた2024年房総スロースリップによる海底上下変動の抽出
キーワード:スロースリップ、海底圧力計、海洋モデル、MSSA
1990年代後半以降に始まったGNSS観測により,房総半島沖のプレート境界では,1996年~2018年までに6回,同じような領域でスロースリップ(SSE)が発生していることが観測されている。SSEは,通常の地震とは異なり,地震波を出さずに断層やプレート境界がすべる現象である。プレート境界で起こるSSEの多くは,海底下で発生している。これを連続的に観測する方法として,海底圧力計(OBP)による上下地殻変動の観測が試みられている。OBPで得られるデータにはSSE以外に,潮汐,海洋変動,海底の季節変動,周辺の大地震による余効変動などの変化が含まれる。これらのSSEに由来しない変化を除去するため,これまで様々な手法が用いられてきた。近年は,マルチチャンネル特異スペクトル解析(MSSA)を適用する方法が開発された(Sato et al., GRL, 2024)。2018年のSSEから約6年後の2024年2月下旬~3月上旬にかけて,房総半島沖で再びSSEが発生したことが観測された。この研究では,MSSAを用いることで,2024年の房総SSEのすべりによる海底の上下変動を捉えることを目的としている。
用いたデータはOBPデータと気象研究所が開発した海洋モデルデータである。潮汐とトレンドを除去したOBPデータとトレンドを除去した海洋モデルに対してMSSAを適用した。MSSAとは,複数のチャンネル間を似た成分に分解する方法である。次に,各成分でOBPデータと海洋モデルデータの相関を取り,相関の良いもののみを用いて海洋モデルを再構成した。これは,海洋モデルデータから観測データをよく再現できている成分のみを取り出し,海洋モデルの不完全さを補償していることに当たる。OBPデータから再構成した海洋モデルデータを差し引くことでより良く海洋変動を除去することができる。その後,海洋変動を除去したデータに海底の季節変動やSSEによる変動などを表したパラメトリック関数のフィッティングをすることで,SSEによる変動を抽出した。
解析の結果,SSEのすべりの中心と思われる観測点でわずかに隆起,その周辺の観測点ではほぼ変動なしという結果となった。これは,前回の2018年の房総SSEと比べると変動が小さく,2024年の房総SSEは,規模が比較的小さかったことを示唆している。
謝辞
本研究の遂行にあたり、海洋研究開発機構「新青丸(KS24-13)」、東京海洋大学「神鷹丸」、海洋エンジニアリング(株)「第二開洋丸」を使用させて頂きました。各船長以下、乗組員の方々に感謝します。本研究は文部科学省の「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」の支援および科研費(23K03541) の補助を受けました。
用いたデータはOBPデータと気象研究所が開発した海洋モデルデータである。潮汐とトレンドを除去したOBPデータとトレンドを除去した海洋モデルに対してMSSAを適用した。MSSAとは,複数のチャンネル間を似た成分に分解する方法である。次に,各成分でOBPデータと海洋モデルデータの相関を取り,相関の良いもののみを用いて海洋モデルを再構成した。これは,海洋モデルデータから観測データをよく再現できている成分のみを取り出し,海洋モデルの不完全さを補償していることに当たる。OBPデータから再構成した海洋モデルデータを差し引くことでより良く海洋変動を除去することができる。その後,海洋変動を除去したデータに海底の季節変動やSSEによる変動などを表したパラメトリック関数のフィッティングをすることで,SSEによる変動を抽出した。
解析の結果,SSEのすべりの中心と思われる観測点でわずかに隆起,その周辺の観測点ではほぼ変動なしという結果となった。これは,前回の2018年の房総SSEと比べると変動が小さく,2024年の房総SSEは,規模が比較的小さかったことを示唆している。
謝辞
本研究の遂行にあたり、海洋研究開発機構「新青丸(KS24-13)」、東京海洋大学「神鷹丸」、海洋エンジニアリング(株)「第二開洋丸」を使用させて頂きました。各船長以下、乗組員の方々に感謝します。本研究は文部科学省の「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」の支援および科研費(23K03541) の補助を受けました。
