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[SCG55-P33] 室内実験にもとづくA-0-Aを用いた海底水圧計の機器固有ドリフトの除去性能定量評価
キーワード:海底水圧計、A-0-A、機器ドリフト、海底地殻変動
海底水圧計(以下、OBP)は海域の上下地殻変動を連続的に観測可能である。一方、OBPデータには機器固有のドリフトが重畳し、ゆっくりとした地殻変動を把握する上での阻害要因となっている。機器ドリフト要因は、圧力に依存する成分(スパンドリフト)と、圧力に依存しない成分(ゼロ点ドリフト)とに大別される。高精度な海底水圧観測に一般に使用されるParoscientific社のブルドン管を用いたセンサーでは、ゼロ点ドリフトが機器ドリフト成分の大部分を占める。すなわちゼロ点ドリフトが把握できれば、印加時のドリフトの効率的な除去が期待できる(Kajikawa and Kobata, 2019)。この手法はA-0-A (Ambient-Zero-Ambient)方式と呼ばれ、実際の海底観測において同機構を組み込むことで、OBPの機器ドリフトを高い効率で除去する試みが進んでいる(e.g. Wilcock et al., 2021; Aline Peltier et al., 2022)。一方、ゼロ点ドリフトが機器ドリフト中の大半を占めるというA-0-Aの前提を、数年以上の長期間の室内実験で検証した事例は少ない。そのため、本研究では実験室という制御環境下でA-0-Aによる水圧計の校正試験を実施し、そのドリフト除去性能を評価した。また、実験室での校正試験と実海域での通常観測を交互に実施し、実験室と実海域におけるドリフトの比較を行った。
本研究では、Paroscientific社のブルドン管を用いたOBP 4式を試験に使用した。実験室での校正試験には産業技術総合研究所の圧力標準器を用いた。使用したデータ期間は途中に実海域での計測を挟みつつ、2020年7月から2024年6月である。A-0-A機構での校正試験により、印加時とゼロ点 (大気圧) のドリフト成分をそれぞれ得た。その結果、いずれのOBPも印加時とゼロ点の時系列の形状は類似し、A-0-Aによって機器固有ドリフト除去が可能であることを示す結果となった。次に、得られたドリフト成分の残差を計算した。その結果、残差時系列に顕著なドリフト成分が見られない個体が2台ある一方、残差時系列に明瞭なドリフト成分が残存する個体も2台確認され、それらのドリフト量は4年で最大15 hPa (地殻上下変動換算で15 cmの上下変動) に達した。同結果は、それら個体ではスパンドリフトが無視できない量含まれていることを示唆し、A-0-Aの適用には、スパンドリフトが少ない個体を事前に選別する必要性があることを改めて示す。同様の傾向は、実験室と実海域におけるドリフトの比較でも確認され、スパンドリフトが大きいと考えられる個体は、実験室と実海域のドリフトパターンが一致しない。これは実験室での印加圧力と実海域での設置圧力の相違等に起因する可能性がある。
本研究では、Paroscientific社のブルドン管を用いたOBP 4式を試験に使用した。実験室での校正試験には産業技術総合研究所の圧力標準器を用いた。使用したデータ期間は途中に実海域での計測を挟みつつ、2020年7月から2024年6月である。A-0-A機構での校正試験により、印加時とゼロ点 (大気圧) のドリフト成分をそれぞれ得た。その結果、いずれのOBPも印加時とゼロ点の時系列の形状は類似し、A-0-Aによって機器固有ドリフト除去が可能であることを示す結果となった。次に、得られたドリフト成分の残差を計算した。その結果、残差時系列に顕著なドリフト成分が見られない個体が2台ある一方、残差時系列に明瞭なドリフト成分が残存する個体も2台確認され、それらのドリフト量は4年で最大15 hPa (地殻上下変動換算で15 cmの上下変動) に達した。同結果は、それら個体ではスパンドリフトが無視できない量含まれていることを示唆し、A-0-Aの適用には、スパンドリフトが少ない個体を事前に選別する必要性があることを改めて示す。同様の傾向は、実験室と実海域におけるドリフトの比較でも確認され、スパンドリフトが大きいと考えられる個体は、実験室と実海域のドリフトパターンが一致しない。これは実験室での印加圧力と実海域での設置圧力の相違等に起因する可能性がある。
