日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG58] 固体地球科学と材料科学の融合が切り拓く新展開

2025年5月29日(木) 13:45 〜 15:15 201B (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:河合 研志(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、大村 訓史(広島工業大学)、土屋 旬(大阪大学理学研究科宇宙地球科学専攻)、辻野 典秀(公益財団法人 高輝度光科学研究センター)、座長:大村 訓史(広島工業大学)、土屋 旬(愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター)、辻野 典秀(公益財団法人 高輝度光科学研究センター)、河合 研志(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)

14:40 〜 15:00

[SCG58-04] 回転式ダイヤモンドアンビルセルとホウ素ドープダイヤモンドの融合による大ひずみ変形その場電気伝導度測定

★招待講演

*東 真太郎1、松本 凌2太田 健二1、高野 義彦2 (1.東京工業大学、2.国立研究開発法人物質・材料研究機構)

近年開発を進めてきた回転式ダイヤモンドアンビルセル(rDAC)によって下部マントル全域をカバーする圧力で定量的な大歪変形実験が可能になった(Nomura et al., 2017; Azuma et al., 2017)。最近では、近赤外線を試料に集光するシステム(イメージ炉)を導入することによって~1000 ℃までの高温条件も実現している(Azuma et al., 2024)。これらの装置はSPring-8(BL47XU)に最適化されており、高輝度X線と組み合わせることで変形中の試料の相変態、応力、結晶選択配向などのその場測定ができる(Park et al., 2022)。この開発によって、下部マントル以深の鉱物の変形特性への理解に貢献することが期待されている。その一方で、rDACを用いた高温高圧下における大歪変形実験は、固体地球科学での貢献だけでなく材料科学分野への応用の可能性を見出そうとしている。その第一歩として我々研究グループは、rDACとホウ素ドープダイヤモンド(BDD)(Matsumoto et al., 2016)の組み合わせによって、超高圧大歪変形を行いながらその場電気伝導度測定の実現に向けた開発に着手した。本研究で用いるrDACは従来のDACと同様に対になったダイヤモンドアンビルの間に試料を挟み込むことで高圧を実現しつつ、上側のアンビルを一定速度で回転させることでねじり変形を試料に与える。一方、変形実験中に下側のアンビルは静止しており、この下側のアンビルにBDDを用い、配線を施すことで大歪変形その場電気伝導度測定を実現しようと試みている。上記のようなrDACで行える高圧ねじり試験は、材料科学分野では巨大ひずみ加工法(SPD)の1つとして知られており、試料に大歪の塑性変形を加えて結晶粒を微細にすることで、金属の物理特性を変化させる研究が行われている(e.g., Valiev et al., 2000)。他にも、間接遷移型半導体として知られるシリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)などは加圧、急速減圧、アニールすることによってその電気伝導度が1桁以上変化することが知られているが、最近では高圧下(<~20-30 GPa)におけるねじり加工を加えることで、結晶細粒化や準安定相、格子欠陥の導入による半導体の機能向上、もしくは新規特性の獲得を図る研究も注目されている(e.g., Ikoma 2019)。これら材料科学の分野に対し、我々研究グループが着手しているrDAC+BDDの開発は、これまで行えなかった更なる極限環境における物理的性質の測定を可能にし、新規材料、新規特性の探索へのブレイクスルーとなり得る。本発表ではrDAC+BDDの開発状況と、予備実験の結果と問題点を紹介し、材料科学への応用を見据えた議論を行う。