日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG59] 沈み込み帯へのインプット:海洋プレートの進化と不均質

2025年5月25日(日) 15:30 〜 17:00 304 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:鹿児島 渉悟(富山大学)、平野 直人(東北大学東北アジア研究センター)、藤江 剛(海洋研究開発機構)、赤松 祐哉(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、座長:鹿児島 渉悟(富山大学)、平野 直人(東北大学東北アジア研究センター)、藤江 剛(海洋研究開発機構)、赤松 祐哉(国立研究開発法人海洋研究開発機構)

15:30 〜 15:45

[SCG59-07] 沈み込む海洋プレートの変質作用:金崎蛇紋岩岩体(関東山地)からの示唆

★招待講演

*大柳 良介1,2沢田 輝3,2、Chang Qing2吉田 健太2Satish-Kumar Madhusoodhan4 (1.国士舘大学、2.国立研究開発法人海洋研究開発機構、3.富山大学、4.新潟大学)

地球の表層環境のハビタブルな条件は、大気、海洋、深部地球間の炭素循環プロセスによって維持されている (e.g., Plank and Manning, 2019, Nature)。しかし、炭素循環のメカニズムはまだ完全に理解されていない。超苦鉄質岩は、炭酸塩鉱物として大量の炭素を貯蔵する可能性があることが知られている。そのため、超苦鉄質岩類の炭酸塩形成のトリガーやテクトニクス環境の多様性を理解することは重要であると考えられる。

本研究では、超苦鉄質岩類の炭酸化過程をより深く理解するために、関東山地金崎地域から産出する蛇灰岩(蛇紋岩と炭酸塩鉱物からなる岩石)の岩石学的・地球化学的解析を行い、その成因を議論した。金崎地域では、みかぶユニットの苦鉄質岩類、泥質片岩、超苦鉄質岩類が露出している。 蛇紋岩と蛇灰岩は、泥質片岩に囲まれたブロックとして存在している。 蛇紋岩はメッシュ組織を示し、メッシュコア(リザード石またはクリソタイル)とメッシュリム(アンチゴライト)を持つ。蛇灰岩には4つのタイプが観察された。(タイプI)角礫化した蛇紋岩の隙間を満たすカルサイト、(タイプII)角礫化した蛇紋岩の隙間を満たすカルサイトとドロマイト、(タイプIII)直線状のカルサイトの脈、(タイプIV)直線状のカルサイトとドロマイトの脈である。直線状の炭酸塩の脈は、炭酸塩セメントを含む蛇紋岩の母岩を切っている。タイプII~IVの炭酸塩鉱物は13Cに乏しく(δ13C(VPDB) = -6 - -8‰)、広範囲のδ18O(VSMOW)値をしめした(13~22‰)。これらの炭酸塩鉱物は、希土類元素パターンにおいて正のEu異常も示した。一方、タイプIの炭酸塩は13Cに富み(δ13C(VPDB)=-2~+2‰)、δ18O(VSMOW)の値は比較的狭い範囲(13~16‰)に分布した。タイプIの炭酸塩は、さまざまな希土類元素パターンを示した。希土類元素のパターンには、負のCe異常と正のY異常を示し重希土類元素に富むパターン、正のEu異常を示し軽希土類元素にわずかに富むパターン、およびそれらの中間的なパターンが観察されています。

蛇灰岩中の炭酸塩鉱物の産状や地球化学的特徴にこのような違いが見られることは、超苦鉄質岩の炭酸塩形成が様々な流体によって引き起こされ、様々なテクトニクス的環境下で生じたことを示唆している。発表では、炭酸塩形成を引き起こした流体やテクトニックセッティングの制約に基づいて、地球規模の炭素循環における海洋マントルの役割について議論する。