日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG60] 機械学習による固体地球科学の牽引

2025年5月26日(月) 13:45 〜 15:15 105 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:久保 久彦(国立研究開発法人防災科学技術研究所)、直井 誠(北海道大学)、矢野 恵佑(統計数理研究所)、田中 優介(国土地理院)、座長:田中 優介(東北大学)、久保 久彦(国立研究開発法人防災科学技術研究所)

14:15 〜 14:30

[SCG60-03] テンソル分解を用いた異常検知手法の開発:時系列変動データのテンソル分解による異常値検知法の開発

*針谷 駿斗1、長濱 裕幸1武藤 潤1 (1.国立大学法人東北大学)


キーワード:機械学習( テンソル分解)、大気中ラドン濃度変動、 2011年東北地方太平洋沖地震、1995年兵庫県南部地震

Francis Llewellyn Hitchcockによって提案されたテンソル分解は,テンソルと呼ばれる次元配列をより単純な構造を持つテンソルや行列ベクトルの積として表現する手法である。この手法は,多次元のデータを上手く扱うことが出来る性質やその低ランク性から脳科学や 化学分野での複雑な多次元データ解析に利用されている.さらに,より複雑な課題に対応す るために日々進化を遂げている.しかし,このテンソル分解及びテンソル分解を用いたデー タ解析は,地球惑星科学分野において未だ応用されていない.本研究では,このテンソル分解を地球惑星科学分野に応用することにより,時系列変動データを用いたテンソル分解による異常値検出法を開発することを目的としている.テンソル分解の応用方法として,本研究ではテンソル分解を用いた時系列データの異常検知手法を開発した.本研究で開発した異常検知手法は,オートエンコーダーのボトルネック層における潜在変数がデータの主要な特徴を捉える性質とテンソル分解の各因子行列がデータの各次元に対する寄与を示し,データの主要な特徴を捉える性質の共通点に着目し,オートエンコーダーを用いた異常検知手法を参考に開発された.開発された異常検知手法は,周期的な時系列テストデータにおいて,異常検知に成功した.開発された異常検知手法の地球惑星科学分野への適応としては,対象データとして,福島県立医科大学と神戸薬科大学で測定された大気中ラドン濃度時系列データを用いた.本研究で開発された異常検知手法は両データにおいて,東北地方太平洋沖地震と兵庫県南部地震前の大気中ラドン濃度の変動の異常を検知することができた.今後の展望として,テンソルの組み方を工夫することによって二次元以上のパラメーター数を持つ異常検知抽出法の開発,テンソル分解による因子行列に解釈性を与えることにより,ノンパラメトリックな性質を背景に持つデータの異常検知とその解釈が可能となった.