17:15 〜 19:15
[SCG60-P02] 深層学習を用いた南海沈み込み帯におけるテクトニック微動の検出と震央決定
キーワード:テクトニック微動、畳み込みニューラルネットワーク、スロー地震、震央決定
1.はじめに
南海トラフ沈み込み帯ではスロー地震活動が活発であり,テクトニック微動(以下,微動)はスロースリップイベントの指標として使われる。微動の検出には,複数の地震観測点での波形の類似性に基づくエンベロープ相関法(Obara, 2002)が広く用いられている.しかし,この手法は通常の地震やノイズを微動として誤検出する場合がある.これらの誤検出を除外するため,通常,手動による波形の確認や追加の後処理が必要とされる.さらに,この手法は微動活動が活発な期間やノイズレベルが高い場合に検出性能が低下するという課題がある.
本研究では,従来の手法において課題とされてきた誤検出および検出漏れを最小限に抑えることを目的として,深層学習を用いた新たな微動の検出および位置決定手法を開発した.
2.データと手法
本研究では防災科学技術研究所によって南海沈み込み帯に設置されたHi-net観測点129点を使用した.期間は2008年から2016年9月までである.
本手法では,2種類の畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を使用する.分類型CNNは,先行研究と同様にスペクトログラムを入力とし,ノイズ・微動・地震の3つのカテゴリの確率値を出力する.一方,回帰型CNNは,分類型CNNが出力する確率分布と振幅データを利用して,微動の震央位置を推定する.本手法では,微動確率が高い領域と振幅分布が微動の震源ごとに特徴的なパターンを示すという仮定に基づき,回帰型CNNはこの関係を教師あり回帰問題として学習する.
分類型CNNではノイズ・微動・地震それぞれ93,682個の合計281,046個のデータを用いて学習を行った.回帰型CNNではMizuno and Ide (2019)によって決定された微動位置を正解とし,53,600回の微動データを用いて学習を行った.
3.結果と議論
分類型CNNは,正解率,再現率,適合率のいずれ評価指標においても96%を超える精度を達成した.
予測精度の向上と不確実性の定量化を目的として,回帰型CNNではパラメータが異なる100個のモデルによるアンサンブル予測を導入した.テストデータセットに対する本手法の推定位置と既存の微動カタログとの誤差距離は,平均6.2 km、中央値3.8 kmであり,位相情報を考慮していないにも関わらず高い精度を示した.さらに,2012年の未学習の連続データに適用した結果,従来の手法と比較して7倍多く微動を検出した.検出数の増加は微動活動が活発な期間と一致しており,従来手法が困難としていた高活動期においても本手法が検出性能を維持できていることを示している.また,推定された微動の震源位置は,過去の研究で報告された微動の移動パターンを忠実に再現しており,本手法の高い精度と頑健性を裏付ける結果となった.
南海トラフ沈み込み帯ではスロー地震活動が活発であり,テクトニック微動(以下,微動)はスロースリップイベントの指標として使われる。微動の検出には,複数の地震観測点での波形の類似性に基づくエンベロープ相関法(Obara, 2002)が広く用いられている.しかし,この手法は通常の地震やノイズを微動として誤検出する場合がある.これらの誤検出を除外するため,通常,手動による波形の確認や追加の後処理が必要とされる.さらに,この手法は微動活動が活発な期間やノイズレベルが高い場合に検出性能が低下するという課題がある.
本研究では,従来の手法において課題とされてきた誤検出および検出漏れを最小限に抑えることを目的として,深層学習を用いた新たな微動の検出および位置決定手法を開発した.
2.データと手法
本研究では防災科学技術研究所によって南海沈み込み帯に設置されたHi-net観測点129点を使用した.期間は2008年から2016年9月までである.
本手法では,2種類の畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を使用する.分類型CNNは,先行研究と同様にスペクトログラムを入力とし,ノイズ・微動・地震の3つのカテゴリの確率値を出力する.一方,回帰型CNNは,分類型CNNが出力する確率分布と振幅データを利用して,微動の震央位置を推定する.本手法では,微動確率が高い領域と振幅分布が微動の震源ごとに特徴的なパターンを示すという仮定に基づき,回帰型CNNはこの関係を教師あり回帰問題として学習する.
分類型CNNではノイズ・微動・地震それぞれ93,682個の合計281,046個のデータを用いて学習を行った.回帰型CNNではMizuno and Ide (2019)によって決定された微動位置を正解とし,53,600回の微動データを用いて学習を行った.
3.結果と議論
分類型CNNは,正解率,再現率,適合率のいずれ評価指標においても96%を超える精度を達成した.
予測精度の向上と不確実性の定量化を目的として,回帰型CNNではパラメータが異なる100個のモデルによるアンサンブル予測を導入した.テストデータセットに対する本手法の推定位置と既存の微動カタログとの誤差距離は,平均6.2 km、中央値3.8 kmであり,位相情報を考慮していないにも関わらず高い精度を示した.さらに,2012年の未学習の連続データに適用した結果,従来の手法と比較して7倍多く微動を検出した.検出数の増加は微動活動が活発な期間と一致しており,従来手法が困難としていた高活動期においても本手法が検出性能を維持できていることを示している.また,推定された微動の震源位置は,過去の研究で報告された微動の移動パターンを忠実に再現しており,本手法の高い精度と頑健性を裏付ける結果となった.