日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG60] 機械学習による固体地球科学の牽引

2025年5月26日(月) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:久保 久彦(国立研究開発法人防災科学技術研究所)、直井 誠(北海道大学)、矢野 恵佑(統計数理研究所)、田中 優介(国土地理院)

17:15 〜 19:15

[SCG60-P12] 機械学習による貯留層性状解析:コアと検層データを用いて

*宮島 英冴1江川 浩輔1 (1.九州大学)

キーワード:機械学習、コア、検層データ、浸透率

砂岩層は,石油や天然ガスの貯留層として重要な役割を果たし,近年では地球温暖化対策として注目されている二酸化炭素地下貯留(Carbon Capture and Storage, CCS)の有望な貯留層としても期待されている.石油・天然ガスにおける生産能力や,CCSにおける貯留能力の評価では,貯留層の岩相・性状(孔隙率,浸透率など)の把握が重要であり,一般にそれらの評価にはコア試験や物理検層解析が用いられる。しかしながら,コア試料が取得できる坑井数や深度は極めて限定的であり,また物理検層データは深度方向に連続的な情報を取得できる一方,坑井によっては必ずしも解析に必要な検層項目が全て整っているとは限らない.加えて,孔隙率や浸透率の算出には複数の手法が提唱されており,それぞれ不確実性を伴う.これらのことから,近年では機械学習(人工ニューラルネットワーク,ランダムフォレストなど)や深層学習などのAI技術を組み合わせることで,より高度な坑井データ解析手法の開発が進められている.機械学習を用いた研究では,より高い予測精度の追求のために利用可能な全ての検層データを活用する手法について議論されることが多く,異なる物理検層データの組み合わせが予測精度に与える影響については十分に検討されていない.また,石油開発分野では地質的解釈と検層解析がそれぞれ独立して行われるケースがしばしば見受けられ,両者の統合的な理解や活用の妨げになり得る.このような現状を鑑み,本研究では以下の2点について取り組む.

(1)物理検層データの組み合わせの違いが,貯留層性状(特に浸透率)の予測精度に及ぼす影響を比較および評価し,最適なデータ選択手法を提案する.
(2)物理検層データを用いた機械学習モデルに地質的解釈(コア観察による岩相区分)を取り入れ,コアと検層を統合した予測アプローチを提案する.

本研究では,旧石油公団(現JOGMEC)が1992年に新潟県で取得したTR-1号井の坑井データを扱った.同坑井では,鮮新統川口層相当層の深海成砂岩泥岩互層を対象とし,地表から地下126mの区間におけるコアとその分析データ(浸透率や孔隙率など),および各種物理検層データ(孔径検層,自然電位検層,ガンマ線検層,比抵抗検層,密度検層,中性子孔隙率検層,音波検層など)が取得されている.これらのデータセットに加え,今回新たに取得したコア連続写真とX線CT画像を用いて,砂岩貯留層区間の岩相・性状を解析したので,その途中経過について報告する.
なお,本研究では,独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)より譲渡頂いたコア試料および借用した物理検層データを利用した.ここに深く感謝の意を表す.