日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG61] 変動帯ダイナミクス

2025年5月28日(水) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:深畑 幸俊(京都大学防災研究所)、岩森 光(東京大学・地震研究所)、大橋 聖和((国研)産業技術総合研究所)

17:15 〜 19:15

[SCG61-P12] 水平圧縮応力場における逆断層と正断層の共存

*小林 健太1、菅 敦成1 (1.新潟大学理学部地質科学教室)

キーワード:多重逆解法、古応力、断層ガウジ、鳥越断層、新潟県

一定の歪が蓄積し,地質構造が形成されてきた地域でも,生じる断層運動が全て同じとは限らない.例えば,広域応力場を反映した内陸地震の発生前後に,それと非調和な地震が生じることもあるだろう.今回,変動地形や地質構造と調和・非調和な小断層を限定された範囲で記載するとともに,両者が同時期に形成された可能性を議論する.
活断層帯である長岡平野西縁断層帯は北北東-南南西に延び,鳥越断層などから構成される.断層帯西側の丘陵には前・中期更新世の魚沼層が分布し,下位層とともに褶曲を被っている.魚沼層の一部は逆転し,中期更新世の御山層に傾斜不整合で覆われる.鳥越断層の副断層が露出する2ルート(宮沢・気比宮)において,約200条の小断層を記載した.また,多重逆解法を用いた応力解析(山路,1999)に加え,XRD分析を行った.
宮沢ルートの小断層は,1:北西傾斜の逆断層,2:北西傾斜の正断層,3:水平ないし南東傾斜の逆断層,4:水平ないし南東傾斜の正断層,の4グループに分類できる.グループ1は幅10cmのガウジ帯を伴う断層を含み,これは御山層の基底に1.5mの鉛直隔離を与える.灰色を呈するガウジから,原岩には含まれない緑泥石が検出された.また,ガウジ帯の上端と側方に注入した流動構造が認められた.グループ2は4と切り合い,1と3に切断される.しかしながら,グループ3を切断する4もあり,グループ間に明瞭な新旧関係は認められない.グループ1からのスリップデータの多くは,σ1:西北西-東南東,σ3:ほぼ鉛直,応力比0.6(ほぼ平面歪)を示す解(逆断層型)で説明される.残りのデータは,応力方位はほぼ同じだが,より小さな応力比0.2(一軸短縮に近い)を想定することで説明できる.一方,グループ2および気比宮ルートからは,σ3:西北西-東南東の解(正断層型)が得られた.
鳥越断層の周辺では,水平圧縮が進行する地域でありながら,正断層が普遍的に形成されている.σ3が卓越方位を持ち,鳥越断層と直交することから,背斜の発達に伴うbendingによるものと考えられる.一方,北西傾斜のガウジ帯は高温の熱水変質作用を被っており,ガウジ帯に沿った流体の上昇を示唆する.広域応力場を反映した逆断層運動が浅所まで達し,流体の影響でガウジの粘性が下がり,流動が生じた可能性がある.仮に,内陸地震の発生時にσ1値が増加すれば,これが一軸短縮を生じた原因かもしれない.