17:15 〜 19:15
[SCG61-P14] スラブ形状とプレート運動およびプレート年齢間の関係

キーワード:沈み込み帯ダイナミクス、スラブ形状、プレート運動
沈み込む海洋プレートの形状(傾斜、曲率)やプレートの年齢および運動速度(収束速度、絶対運動速度)は、プレートテクトニクスにおける基本的なパラメターである。しかし、これらのパラメター間の関係は必ずしも明らかでない。例えば、Uyeda & Kanamori (1976)は、チリやマリアナなどいくつかの代表的な沈み込み帯における観察から、若齢のスラブほど低角に、高齢のスラブほど高角に沈み込むと主張した。これに対し、Jarrard (1986)およびLallemand et al. (2005)は、全世界の沈み込み帯を網羅的に調べた場合には、そのような関係はほとんど見られないと反論した。この主張の食い違いの原因は、解析対象とする沈み込み帯の選択方法や使用したデータセットなどの違いにあると考えられる。そこで、本研究では、近年のデータセットを用いて再解析することで、沈み込み帯パラメター間の関係を再考する。
解析対象は、明瞭な2次元的特徴を持つ沈み込み帯とした。具体的には、島弧走向方向に200 km以上に渡って、地形および重力異常が比較的一様な沈み込み帯に対してパラメター間の関係を調べた。スラブ形状のデータセットとしては、Hayes et al. (2018)のSlab2.0を用いた。そして、Lallemand et al., (2005)と同様に深さ125kmを基準に区分し、その深さ処理も浅部と深部のそれぞれで傾斜および曲率を求めた。プレート運動については、海溝軸でのスラブ年齢(Seton et al., 2020)、収束速度(NUVEL1A; DeMets et al., 1994)、上盤の絶対運動速度(Morvel; DeMets et al., 2010)をパラメターとした。これらのパラメター間の関係を全世界で比較したところ、幾つかの興味深い事実が見つかった。
スラブの曲率について、ほぼ全ての沈み込み帯において浅部曲率が深部曲率を上回ることが分かった。このことは、浅部で一旦曲げられたスラブが、元の直線的な形状に戻ろうとする性質があることを意味する。浅部曲率と深部曲率の相関が弱いことも併せて示された。つまり、形状の戻り方は浅部での曲がり具合にほとんど依存しないのである。この結果から、海洋プレートがマントルに沈み込んだ後も相当程度弾性を保持していると考えられる。
スラブ年齢と上盤の絶対運動速度との間に非常に強い負の相関があることが分かった。ここで上盤の絶対運動速度は、弧から海側に向かう方向を正としている。これまで、負の浮力が大きい高齢のスラブが沈み込むとスラブロールバックを伴い、海溝軸の後退に上盤が追従すると考えられてきた(e.g., Schellert et al., 2023)。しかし、上記の関係はスラブロールバックモデルとは相反する結果である。
スラブの年齢と浅部傾斜について、80 Maよりも若齢のスラブに対しては両者は正に相関することが分かった。この関係は、Lallemand et al. (2005)のデータセットから、我々が解析対象とした沈み込み帯に最も近接するセグメントを抜き出した場合でも成立する。このことから、スラブの年齢と浅部傾斜との間に見られる正の関係は、2次元的な特徴が明瞭な沈み込み帯において成立し、長さの短い沈み込み帯では必ずしも成立するわけではないと考えられる。
解析対象は、明瞭な2次元的特徴を持つ沈み込み帯とした。具体的には、島弧走向方向に200 km以上に渡って、地形および重力異常が比較的一様な沈み込み帯に対してパラメター間の関係を調べた。スラブ形状のデータセットとしては、Hayes et al. (2018)のSlab2.0を用いた。そして、Lallemand et al., (2005)と同様に深さ125kmを基準に区分し、その深さ処理も浅部と深部のそれぞれで傾斜および曲率を求めた。プレート運動については、海溝軸でのスラブ年齢(Seton et al., 2020)、収束速度(NUVEL1A; DeMets et al., 1994)、上盤の絶対運動速度(Morvel; DeMets et al., 2010)をパラメターとした。これらのパラメター間の関係を全世界で比較したところ、幾つかの興味深い事実が見つかった。
スラブの曲率について、ほぼ全ての沈み込み帯において浅部曲率が深部曲率を上回ることが分かった。このことは、浅部で一旦曲げられたスラブが、元の直線的な形状に戻ろうとする性質があることを意味する。浅部曲率と深部曲率の相関が弱いことも併せて示された。つまり、形状の戻り方は浅部での曲がり具合にほとんど依存しないのである。この結果から、海洋プレートがマントルに沈み込んだ後も相当程度弾性を保持していると考えられる。
スラブ年齢と上盤の絶対運動速度との間に非常に強い負の相関があることが分かった。ここで上盤の絶対運動速度は、弧から海側に向かう方向を正としている。これまで、負の浮力が大きい高齢のスラブが沈み込むとスラブロールバックを伴い、海溝軸の後退に上盤が追従すると考えられてきた(e.g., Schellert et al., 2023)。しかし、上記の関係はスラブロールバックモデルとは相反する結果である。
スラブの年齢と浅部傾斜について、80 Maよりも若齢のスラブに対しては両者は正に相関することが分かった。この関係は、Lallemand et al. (2005)のデータセットから、我々が解析対象とした沈み込み帯に最も近接するセグメントを抜き出した場合でも成立する。このことから、スラブの年齢と浅部傾斜との間に見られる正の関係は、2次元的な特徴が明瞭な沈み込み帯において成立し、長さの短い沈み込み帯では必ずしも成立するわけではないと考えられる。