11:45 〜 12:15
[SCG62-05] 高い間隙水圧を必要としない弱い断層モデルとその地震学的な背景
★招待講演
キーワード:断層の強度、応力、粘弾性、間隙水圧、溶解沈殿クリープ
1. 断層の強度が小さいことを示す知見
San Andreas断層に働くせん断応力が非常に小さいという指摘(Zoback,1987)以来、プレート境界だけでなく内陸の断層の強度も小さいという観測結果が多数得られている。In the review by Copley (2018), it is stated that indirect inferences based on various geological and geophysical observations suggest that faults fail in earthquakes at shear stresses < about 50 MPa and effective friction coefficients below 0.3, possibly equivalent to about 0.05. 最近、高精度の地震観測データに基づく、(直接的ではないが)説得力ある証拠が多数得られ始めている(例えば、Yoshida et al., 2014, Iio et al., 2022)。
岩石摩擦実験で計測された断層の摩擦係数 (Byerlee, 1978) から推定される強度に比べて、観測データから推定される強度が非常に小さい理由は、高い間隙水圧により断層面に働く法線応力が低下することで説明されることが多い(例えば、Rice,1992)。しかしながら、プレート境界とは異なり、内陸の断層に高い間隙水圧を持つ流体が長期間にわたって継続的に供給されることは考えにくい。大地震の発生後に深部から上昇してきたと推定される流体の活動が認められることがあるが、それらの時間スケールはせいぜい数か月程度と考えられている(Sibson, 1988)。
San Andreas断層の掘削により得られた断層岩の分析から、スメクタイトや滑石により強度低下することが報告されている( Lockner et al., 2011, Moore & Rymer, 2007)。これらの断層物質は比較的温度が低い地殻浅部で安定なものであるが、より深部でも、フィロケイ酸塩の塑性変形により断層強度が劇的に低下することが報告されている((e.g., Wintsch et al., 1995; Bos and Spiers, 2002; Niemeijer
and Spiers, 2005)。ただし、これらの断層眼は、一般的には速度強化の摩擦特性を示すため、クリープしている断層にはこれらの考えは適用可能であるが、地震性の断層への適用は難しいと考えられる。
2. 弱い断層の有限要素法モデル
そこで、高い間隙水圧を必要とせず、地震すべりを起こすことも可能な新しい弱い断層のモデルを構築した。Yamamoto et al.(2001, 2002)は,断層の強度に関して、法線応力は支えるがせん断応力は支えない部分があると断層が弱くなることを示した。高圧の間隙水はまさにそういうものであるが、孤立した粘弾性領域は、長時間経過後には緩和して、同様の状態になると考えられる。
断層沿いにパッチ上の粘弾性領域が存在するときに、長期間経過後に断層の強度がどうなるかを有限要素法により詳しく検討した。具体的には、断層直交方向の断面形状が長方形の領域(ガウジ領域と呼ぶ)を断層沿いに周期的に配置し、長期間経過後の応力やすべりの時空間変化を調べた。最初に法線応力を一定値とした後に、断層にせん断変形を加えて、どの時点で断層がすべり始めるかを調べた。薄い長方形から正方形まで、いくつかの異なった形状のガウジ領域を設定し、いずれの場合も、均質な場合よりもマクロな強度が低下することを再現できた。
これは断層モデルであるが、断層面近傍のhost rockのモデルと述べた方がその実体を表している。断層運動を調べる場合、断層面の性質に着目されることが多いが、周辺の岩石を含めた3次元的な取り扱いも重要であると考えられる。
San Andreas断層に働くせん断応力が非常に小さいという指摘(Zoback,1987)以来、プレート境界だけでなく内陸の断層の強度も小さいという観測結果が多数得られている。In the review by Copley (2018), it is stated that indirect inferences based on various geological and geophysical observations suggest that faults fail in earthquakes at shear stresses < about 50 MPa and effective friction coefficients below 0.3, possibly equivalent to about 0.05. 最近、高精度の地震観測データに基づく、(直接的ではないが)説得力ある証拠が多数得られ始めている(例えば、Yoshida et al., 2014, Iio et al., 2022)。
岩石摩擦実験で計測された断層の摩擦係数 (Byerlee, 1978) から推定される強度に比べて、観測データから推定される強度が非常に小さい理由は、高い間隙水圧により断層面に働く法線応力が低下することで説明されることが多い(例えば、Rice,1992)。しかしながら、プレート境界とは異なり、内陸の断層に高い間隙水圧を持つ流体が長期間にわたって継続的に供給されることは考えにくい。大地震の発生後に深部から上昇してきたと推定される流体の活動が認められることがあるが、それらの時間スケールはせいぜい数か月程度と考えられている(Sibson, 1988)。
San Andreas断層の掘削により得られた断層岩の分析から、スメクタイトや滑石により強度低下することが報告されている( Lockner et al., 2011, Moore & Rymer, 2007)。これらの断層物質は比較的温度が低い地殻浅部で安定なものであるが、より深部でも、フィロケイ酸塩の塑性変形により断層強度が劇的に低下することが報告されている((e.g., Wintsch et al., 1995; Bos and Spiers, 2002; Niemeijer
and Spiers, 2005)。ただし、これらの断層眼は、一般的には速度強化の摩擦特性を示すため、クリープしている断層にはこれらの考えは適用可能であるが、地震性の断層への適用は難しいと考えられる。
2. 弱い断層の有限要素法モデル
そこで、高い間隙水圧を必要とせず、地震すべりを起こすことも可能な新しい弱い断層のモデルを構築した。Yamamoto et al.(2001, 2002)は,断層の強度に関して、法線応力は支えるがせん断応力は支えない部分があると断層が弱くなることを示した。高圧の間隙水はまさにそういうものであるが、孤立した粘弾性領域は、長時間経過後には緩和して、同様の状態になると考えられる。
断層沿いにパッチ上の粘弾性領域が存在するときに、長期間経過後に断層の強度がどうなるかを有限要素法により詳しく検討した。具体的には、断層直交方向の断面形状が長方形の領域(ガウジ領域と呼ぶ)を断層沿いに周期的に配置し、長期間経過後の応力やすべりの時空間変化を調べた。最初に法線応力を一定値とした後に、断層にせん断変形を加えて、どの時点で断層がすべり始めるかを調べた。薄い長方形から正方形まで、いくつかの異なった形状のガウジ領域を設定し、いずれの場合も、均質な場合よりもマクロな強度が低下することを再現できた。
これは断層モデルであるが、断層面近傍のhost rockのモデルと述べた方がその実体を表している。断層運動を調べる場合、断層面の性質に着目されることが多いが、周辺の岩石を含めた3次元的な取り扱いも重要であると考えられる。