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[SCG62-06] 広範なすべり速度域での石英を含む岩石のすべり挙動に及ぼす湿度の影響
キーワード:摩擦、花崗岩、滑り弱化
低速のゆっくり地震から高速の通常地震まで、多様な断層滑り挙動発生のメカニズムの理解には、広範なすべり速度域について断層物質の摩擦特性を明らかにすることが基本的に重要である。これまでの実験的研究により、様々な種類の岩石の摩擦係数(µ)が、すべり速度が100 mm/s以上になると急激に低下し、さらに珪質岩については1 mm/sの比較的低いすべり速度において弱化することが知られている(Di Toro et al., 2004)。 近年、石英を用いた高すべり速度条件下での摩擦実験で、定常状態の摩擦係数(µss)が相対湿度に依存することが示されている。例えば、Iida and Tsutsumi (2016)による人工石英を用いた摩擦実験では、Dry条件下でのµssが、これまでの報告よりも低いすべり速度である10 µm/sで低下することが示された。また、Onoe and Tsutsumi (2020)は、人工石英を用いた同様の実験を湿度調節条件下で実施し、石英のµssが相対湿度に依存することを報告した。このように、石英の摩擦挙動に対する湿度の影響の評価は重要であることが明らかになりつつあるが、石英以外の結晶も主要構成鉱物として含む岩石(例えば花崗岩や珪質砂岩)の高速すべり条件下における摩擦の湿度依存性についてはほとんど明らかになっていない。本研究では、石英を含む様々な岩石の摩擦特性の湿度依存性を明らかにすることを目的として、Rock-to-rock条件の回転摩擦試験を、ベレア砂岩、稲田花崗岩について実施した。今回、垂直応力を1.5 MPaで一定として、0.01-10 mmの速度域において相対湿度0-30%RHでの実験を実施した。相対湿度は、試料部を覆うアクリルチャンバー内に、加湿空気を送り込むことで調節した。加湿空気は乾燥空気を加湿用メンブレンで調整することにより準備した(HACU-2, キッツマイクロフィルタ)。実験の結果、稲田花崗岩においては、µの値がすべり量、すべり速度、および相対湿度に依存して変化する様子が見られた。例えば、すべり速度が10 mm/sの実験では、全ての湿度条件(0–30%RH)においてµの値はすべりと共に減少し(すべり弱化)、約1 mのすべり量でほぼ定常状態となり、µssの値は相対湿度を大きくすると増加し、0%RHで0.40、10%で0.43、30%RHで0.51であった。一方、すべり速度がより低速の1 mm/sの実験では、相対湿度を20%RH以上に設定すると、µの値は定常値に至らず、滑り弱化の後に滑り強化に転じる様子が確認された。相対湿度が0%RHおよび10%RHの条件下では、すべり速度が10 mm/sでの実験と同様、µはすべりとともに減少し(すべり弱化)、およそ1.5 mのすべり量でほぼ定常状態となった。このように、1 mm/sのすべり速度では高湿度条件においてすべり弱化からすべり強化に転じる挙動が見られるものの、全体的なµの値は相対湿度の増加と共に増加する傾向が確認された。ベレア砂岩においては、µの値が滑り量、すべり速度、および相対湿度に対する系統的な依存性を確認することはできなかった。以上より、湿度制御下実験におけるべレア砂岩と花崗岩の滑り挙動の違いが確認されたが、これらは断層面や微粒子表面に吸着した水分子の影響の度合いが試料によって異なることに起因すると推察されるが、今後は実験後試料の表面構造観察等を実施することで、岩石の摩擦挙動における湿度依存性の解明に繋げたいと考えている。