日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG62] 地球惑星科学におけるレオロジーと破壊・摩擦の物理

2025年5月29日(木) 15:30 〜 17:00 コンベンションホール (CH-B) (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:桑野 修(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)、桂木 洋光(大阪大学大学院理学研究科宇宙地球科学専攻)、澤 燦道(東北大学大学院理学研究科地学専攻)、村松 弾(東京大学地震研究所)、座長:澤 燦道(東北大学大学院理学研究科地学専攻)、東 真太郎(東京工業大学 理学院 地球惑星科学系)

16:15 〜 16:30

[SCG62-14] 枯渇マントルの粘性・密度変化が海洋プレート下の小規模対流開始に与える影響の解明

*千田 紅葉1森重 学2田阪 美樹1 (1.国立大学法人静岡大学、2.東京大学地震研究所)


キーワード:海洋プレート、小規模対流、組成、密度、粘性率

海洋プレート底部のマントルで生じる小規模対流は、地殻熱流量や海底地形など海洋プレートにおける様々な観測を説明する可能性の1つとして考えられている。したがって、小規模対流が発生するための物理的な条件を理解することは重要である。先行研究では主に温度が小規模対流発生に及ぼす影響に着目しており、組成の影響を考慮した例は限られてきた。しかし中央海嶺下で部分溶融後にメルトが抜けたマントル(枯渇マントル)は、溶けていないマントルとは大きく異なる粘性率、密度を持つことが知られている。本研究では、枯渇マントルの粘性変化・密度変化が小規模対流の開始時間に与える影響を調べるため、二次元数値シミュレーションを行った。
枯渇マントルの厚さが水平方向に一様だと仮定すると、枯渇マントルなしの場合と比較して特にマントル温度が高い(したがって枯渇マントルが厚い)場合に小規模対流の開始が遅れることが明らかになった。しかし枯渇マントルの影響を考慮しても低温ほど小規模対流の開始が遅れるという結果になり、これは先行研究による予測とは異なる。また枯渇による粘性変化の方が密度変化よりも小規模対流の発生時間に及ぼす影響が大きいことも明らかになった。
さらに枯渇マントルの厚みがある波長で水平方向に変化する場合の計算も行なった。枯渇に伴う密度変化のみを考慮すると小規模対流の開始時間は与えた波長に依らずほぼ一定となることがわかった。これは枯渇マントルが素早く変形し、小規模対流発生前までにほぼ一定の厚さになるためである。一方枯渇による粘性変化を考慮した際、波長が長くなりにつれ、はじめは小規模対流開始時間が減少しその後ほぼ一定になった。また粘性変化・密度変化の両方の影響を考慮した場合には中間程度の波長で開始時間の極小値が生じた。これらの結果から、マントルの温度に加え、枯渇マントルの粘性・密度変化やその水平方向の厚さ変化を考慮することが小規模対流の発生をより良くする理解する上で重要であると考えられる。