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[SCG62-P15] 変分エネルギー型物理情報深層学習に基づく収縮破壊パターン計算
キーワード:破壊、物理情報深層学習、パターン形成
収縮によって誘起される破壊は、泥の乾燥亀裂・ガラスの熱収縮によるひび割れ・塗料のひび割れ・海岸線で見られる溶岩節理など日常的に観測される現象である。これらのパターン形成のダイナミクスを理解することは破壊の予測・制御へ向けた重要な知見となるため、数値計算によるパターン形成の再現は必須なタスクとなるが、亀裂幅の空間スケールと系全体の空間スケールとの間に大きなギャップが存在するために定量的な数値計算を行うことは計算量的な困難さを伴う。本研究ではこの計算量的困難さを緩和する可能性のある1つの方法として、変分エネルギー型物理情報深層学習に基づいた破壊パターン形成の数値計算方法を提案する。本研究では水平な2次元基盤に吸着された薄い弾性体を考え、弾性変形・基盤吸着・表面張力それぞれのエネルギーの競合を考慮に入れた phase-field crack 法によって対象をモデル化した。このモデルの定常解を深層学習の方法で得るには、解を表す関数をニューラルネットワークで表現し、前述の各エネルギーを統合して得られる損失関数を最小化する Deep Ritz 法により定式化することで求解が可能である。Deep Ritz 法による解法はメッシュを用いずに解を連続関数として求めることが可能であるため、既存の解法で現れる計算量的困難さを解消し高速・省メモリに解を求めることができる。しかしながら、Deep Ritz 法は定常解の求解に利用できる方法であり、時間発展を追う場合には微小時間毎にネットワークの再学習が必要とするため非常に計算コストが高いという問題があった。この問題を解決するため、本研究では時刻変数をパラメータとみなした拘束条件付きの損失関数を構築することで、時空間の関数としての解を1回の学習で得る方法を考案した。本手法は、亀裂パターン・変位場やその他の直接観測可能量のデータを最適化問題へ組み込むことによりデータ同化法としての拡張が容易であり、既存方法に比べ実装コスト・計算量を抑えることが可能であるため、表面張力係数場などの直接観測が困難な量の推定を効率的に実行する逆問題解法としての発展が期待される。本発表では手法の詳細と数値計算結果を紹介し、溶岩節理などの3次元問題への将来的な応用展開についても考察する。