17:15 〜 19:15
[SCG63-P02] 最大振幅とP波出現時に含意するもの:加速度計波形と速度計波形の同地点観測の比較から
キーワード:緊急地震速報、速度計、振切れ、アンチエイリアジングフィルタ
リアルタイムで震度を把握する観測点の密度を増やすことを想定して,昨年の地震学会秋季大会では,速度計出力波形から,速度加速度変換,速度計計器特性と震度を求める特性を補正するフィルタを施し,リアルタイムで震度を求める方法について紹介した.その際に,加速度計出力波形から変換した波形を速度計出力波形から変換した波形にほぼ一致させられることを示した.もし,両者の波形が異なっている場合には,何らかの不具合が起きていることが想定される.これにより,いずれか(あるいは,両方)の波形に不具合が生じていることをリアルタイムで把握でき,即時予測での観測データの品質検査に寄与できる可能性がある.
波形の不具合の代表的な例は振切れである.振切れには2種類あり,デジタイザの飽和によるものと,振子の可動域の限界(つまり,振子が筐体の壁にぶつかっている)である.デジタイザの飽和についてはある値以上にはならずその部分はフラットになること,また,その値はデジタイザの仕様書に記述されているので比較的認識しやすい.一方,振子の可動域の限界による速度計出力波形への影響は波形を見ただけでは比較的認識しづらい.これは,可動域の限界は筐体との相対変位によるが波形に記録されるものは速度だからである(速度計出力波形から相対変位を求めるフィルタを施せば,可動域の限界を可視化し把握出来る).なお,気象庁の検知網(加速度計と速度計が併設されている)の速度計波形ではデジタイザの飽和がみられるものが多く,防災科研のHi-net(加速度計のKiK-netが併設されている)では,可動域の限界による例がみられ,片振幅でおおよそ1mm程度である(Obara et al., 2005; 汐見・他,2005).ここで,振子の可動域の限界が生じているからと言って,見かけ上の速度波形振幅の最大値が本来の最大値より過小になっているわけでは必ずしもなく,場合のよっては過大になっている場合もある(加速度計から加速度速度変換と速度計計器特性補正を施せば,本来の最大値の大まかな値を推定することが出来る).
同地点観測の波形同士を比較していると,微妙に時刻が異なっているような場合がある(100サンプル/sのデータで2~3サンプルくらい).ごく近傍で発生した地震のP波は急峻に立ち上がる場合が多いが,このような急峻な立ち上がる場合で比較してもややずれているように見える.この違いが生じる原因の1つとして,アンチエイリアジングフィルタの相違が考えられる.現在のデジタル記録は,かなり高周波でオーバーサンプリング(例えば,数千サンプル/s)したデータにアンチエイリアジングフィルタをかけた後にデシメーション(例えば,100サンプル/sに)したものが出力される.アンチエイリアジングフィルタとしては,遮断周波数からナイキスト周波数に向けて比較的緩やかに遮断するものから,かなり急峻に遮断するものなど任意性がある(遮断周波数をなるべく高くして急峻に落としている例が多いものの).インパルス応答の時系列でみてみると,急峻に落とすようになるに従い,見かけ上,波形の立上り時間が遅れるように見える.つまり,アンチエイリアジングフィルタの特性の違いによって,P波の発現時に見かけ上の違いが生じる.
速度波形振幅の最大値には,振子の可動域の限界によって乱された信号によって構成されている可能性があり,また,急峻な立ち上がりのP波でもその発現時はアンチエイリアジングフィルタの影響により実際よりもやや遅れて見える可能性がある.
波形の不具合の代表的な例は振切れである.振切れには2種類あり,デジタイザの飽和によるものと,振子の可動域の限界(つまり,振子が筐体の壁にぶつかっている)である.デジタイザの飽和についてはある値以上にはならずその部分はフラットになること,また,その値はデジタイザの仕様書に記述されているので比較的認識しやすい.一方,振子の可動域の限界による速度計出力波形への影響は波形を見ただけでは比較的認識しづらい.これは,可動域の限界は筐体との相対変位によるが波形に記録されるものは速度だからである(速度計出力波形から相対変位を求めるフィルタを施せば,可動域の限界を可視化し把握出来る).なお,気象庁の検知網(加速度計と速度計が併設されている)の速度計波形ではデジタイザの飽和がみられるものが多く,防災科研のHi-net(加速度計のKiK-netが併設されている)では,可動域の限界による例がみられ,片振幅でおおよそ1mm程度である(Obara et al., 2005; 汐見・他,2005).ここで,振子の可動域の限界が生じているからと言って,見かけ上の速度波形振幅の最大値が本来の最大値より過小になっているわけでは必ずしもなく,場合のよっては過大になっている場合もある(加速度計から加速度速度変換と速度計計器特性補正を施せば,本来の最大値の大まかな値を推定することが出来る).
同地点観測の波形同士を比較していると,微妙に時刻が異なっているような場合がある(100サンプル/sのデータで2~3サンプルくらい).ごく近傍で発生した地震のP波は急峻に立ち上がる場合が多いが,このような急峻な立ち上がる場合で比較してもややずれているように見える.この違いが生じる原因の1つとして,アンチエイリアジングフィルタの相違が考えられる.現在のデジタル記録は,かなり高周波でオーバーサンプリング(例えば,数千サンプル/s)したデータにアンチエイリアジングフィルタをかけた後にデシメーション(例えば,100サンプル/sに)したものが出力される.アンチエイリアジングフィルタとしては,遮断周波数からナイキスト周波数に向けて比較的緩やかに遮断するものから,かなり急峻に遮断するものなど任意性がある(遮断周波数をなるべく高くして急峻に落としている例が多いものの).インパルス応答の時系列でみてみると,急峻に落とすようになるに従い,見かけ上,波形の立上り時間が遅れるように見える.つまり,アンチエイリアジングフィルタの特性の違いによって,P波の発現時に見かけ上の違いが生じる.
速度波形振幅の最大値には,振子の可動域の限界によって乱された信号によって構成されている可能性があり,また,急峻な立ち上がりのP波でもその発現時はアンチエイリアジングフィルタの影響により実際よりもやや遅れて見える可能性がある.