17:15 〜 19:15
[SCG63-P05] 定常観測網のアレイ解析を使用した常時震央モニタリングシステムの開発
キーワード:アレイ解析、リアルタイム解析
アレイ解析は波動の伝播方向や伝播速度といった情報を得ることができるため、波動伝播の詳細を解析するための有力な手法である。アレイ解析を行うためには狭い範囲に複数の測器を設置して観測する必要があるため、従来は臨時観測を行う必要があったが、近年、定常観測網が非常に稠密となっているため、定常観測網を用いたアレイ解析も可能な状況となっている。定常観測網を使用する利点として、常時波形を伝送していることからアレイ解析を常時実施できること、そして、多数の観測点が存在することから複数のアレイを構成できる、といった点があげられる。
地震波を励起するイベントは断層運動による、いわゆる一般的な地震の他に、マグマのような流体運動に伴うもの、地すべりのような地球表層の運動によるもの、そして核実験のような爆発現象に伴うもの等、多種多様である。これらのイベントの中には災害につながる事象や高度に政治的な事象が含まれているため、地震波を励起するイベントの常時監視は地震学的な意義に加えて、防災や安全保障においても重要であろう。そのため、我々は定常観測網のアレイ解析を通した常時震央モニタリングシステムの開発に着手した。地震の定常観測網を用いたアレイ解析を常時実施することにより、地震波の伝播方向を常時把握でき、また、複数アレイの結果を組み合わせることで震央の常時推定が可能となる。
本システムの実装はAutomated Event Location Using Mesh of Arrays method (AELUMA method; de Groot-Hedlin et al., 2018, BSSA; Fan et al., 2018, GJI)を元とした。しかし、波形入力はファイルではなくWINシステムのshmdumpコマンドの標準出力を想定した標準入力とする、震央推定にはグリッドサーチではなくパーティクルフィルタを使用する、といった変更を加えている。また、解析状況の可視化のため、鶴岡(1997; 2002、地震研技術報告)のライブラリを使用した波形モニタや震央表示モニタもあわせて作成した。なお、イベント検出については未実装である。
試作したプログラムに北朝鮮の核実験や2023年10月9日の娼婦海山付近の津波発生時といったいくつかのイベントに防災科研F-netの観測波形を入力し、イベント検知能力を確認した。十分なS/N比があれば複数の観測点で相関の高い地震波形が観測されアレイ解析が実施でき、複数のアレイを組み合わせた震央推定が可能であることを確認した。なお、F-net程度の観測点数であればアレイ解析と震央推定にかかる計算時間は1秒よりずっと短く、震央の常時モニタリングが十分可能であるとの見通しが得られた。現状のシステムでは、アレイ解析と震央推定を常時(1秒ごと)実施するので、ひとつのイベントを複数の解析時間で検知することとなる。今後は、連続的に得られるアレイ解析や震央の位置からイベント検出の仕組みを作成することに取り組む。
謝辞: 本発表では防災科研F-net (https://doi.org/10.17598/NIED.0005)の観測波形を使用しました。
地震波を励起するイベントは断層運動による、いわゆる一般的な地震の他に、マグマのような流体運動に伴うもの、地すべりのような地球表層の運動によるもの、そして核実験のような爆発現象に伴うもの等、多種多様である。これらのイベントの中には災害につながる事象や高度に政治的な事象が含まれているため、地震波を励起するイベントの常時監視は地震学的な意義に加えて、防災や安全保障においても重要であろう。そのため、我々は定常観測網のアレイ解析を通した常時震央モニタリングシステムの開発に着手した。地震の定常観測網を用いたアレイ解析を常時実施することにより、地震波の伝播方向を常時把握でき、また、複数アレイの結果を組み合わせることで震央の常時推定が可能となる。
本システムの実装はAutomated Event Location Using Mesh of Arrays method (AELUMA method; de Groot-Hedlin et al., 2018, BSSA; Fan et al., 2018, GJI)を元とした。しかし、波形入力はファイルではなくWINシステムのshmdumpコマンドの標準出力を想定した標準入力とする、震央推定にはグリッドサーチではなくパーティクルフィルタを使用する、といった変更を加えている。また、解析状況の可視化のため、鶴岡(1997; 2002、地震研技術報告)のライブラリを使用した波形モニタや震央表示モニタもあわせて作成した。なお、イベント検出については未実装である。
試作したプログラムに北朝鮮の核実験や2023年10月9日の娼婦海山付近の津波発生時といったいくつかのイベントに防災科研F-netの観測波形を入力し、イベント検知能力を確認した。十分なS/N比があれば複数の観測点で相関の高い地震波形が観測されアレイ解析が実施でき、複数のアレイを組み合わせた震央推定が可能であることを確認した。なお、F-net程度の観測点数であればアレイ解析と震央推定にかかる計算時間は1秒よりずっと短く、震央の常時モニタリングが十分可能であるとの見通しが得られた。現状のシステムでは、アレイ解析と震央推定を常時(1秒ごと)実施するので、ひとつのイベントを複数の解析時間で検知することとなる。今後は、連続的に得られるアレイ解析や震央の位置からイベント検出の仕組みを作成することに取り組む。
謝辞: 本発表では防災科研F-net (https://doi.org/10.17598/NIED.0005)の観測波形を使用しました。