17:15 〜 19:15
[SEM15-P12] 紀伊半島における長周期MTデータ及び広帯域MTデータの解析結果について

キーワード:電気比抵抗構造、紀伊半島、深部低周波地震、高温泉、Network-MT法
西南日本の前弧側に位置する紀伊半島には,多様で活発な地震活動領域(群発地震・深部低周波地震(微動)・スロースリップ)や多様な3He/4He同位体比の高温泉,深部まで伸びる巨大な酸性岩体などが存在する.これらについては,沈み込むフィリピン海スラブや深部流体との関連性が指摘されている.したがって,紀伊半島の地下において,流体の存在に敏感な比抵抗構造を決定することは,深部流体と様々なテクトニックな活動との関係を理解するための重要な鍵となる.
紀伊半島の地下において,流体の存在に敏感な比抵抗構造を紀伊半島の地下で決定することは,深部流体と様々なテクトニックな活動との関係を理解するための重要な鍵となる.
先行研究である渡部(2024, 修士論文)では,紀伊半島で初となるNetwork-MT法データを用いた紀伊半島下の3次元広域深部比抵抗構造モデルを推定した.得られたモデルは,紀伊半島下の多様な地球科学的特徴に対応しており,信頼性は高いと判断される.
紀伊半島南部の熊野大峰複合火成岩類に対応すると考えられる高比抵抗領域が存在し,地震波高速度領域や高重力異常領域ともよく対応する.また,その高比抵抗領域を囲むように低比抵抗領域が存在するが,これはスラブ上面から地殻表層まで続く顕著な低比抵抗領域が存在している.この低比抵抗領域は,熊野大峰複合火成岩類の縁を囲むように湧出している高い3He/4He同位体比を示す高温泉が深部起源であるという解釈と整合的である.このように地下比抵抗構造と深部流体の特徴的な空間分布との対応から,紀伊半島の地学諸現象への地下流体の寄与が説明されるようになる可能性がある.
本研究で得られた3次元地下比抵抗モデルは,紀伊半島で見いだされているいくつかの特徴的な地球科学的特徴と流体との関係を明らかにする上で重要な寄与を与えると期待される.
先行研究で用いたNetwork-MT法データ(Uyeshima et al., 2001; Uyeshima, 2007)は,商用電話網を用い,長基線(10〜数十km)で電圧差を測定することで得られる.この方法は,従来のMT法(基線長数十m程度)よりも,広域深部の構造を推定する上で次の3点において優れている. (1) S/N比が高くデータが高品質である点, (2) 長周期側(~50000秒) で良好な応答関数の推定が可能である点, (3) 表面近傍の小スケールの比抵抗コントラストの影響を受けにくい点.しかし,使用したNetwork-MT法データは10秒サンプリングであったために数10秒以下のNetwork-MT応答関数が得られないため,地殻の中上部に対する分解能が低かった.さらに,観測網は電話線が分布していた地域に限られており,空間的な観測ギャップも生じていた.これらの欠点を解決するために,我々は既存の従来のMT法により得られた既存データもあわせた解析,さらに周波数と空間領域における観測ギャップを埋めるための独自観測を実施することを計画している.その一環として,以下のデータを解析した.
・既存の長周期MTデータ(小川ほか,2017~2018)
・既存の広帯域MTデータ(長野ほか,2005)
・本研究の新たな観測により得られた広帯域MTデータ
本発表ではそれらの解析結果を示す.
紀伊半島の地下において,流体の存在に敏感な比抵抗構造を紀伊半島の地下で決定することは,深部流体と様々なテクトニックな活動との関係を理解するための重要な鍵となる.
先行研究である渡部(2024, 修士論文)では,紀伊半島で初となるNetwork-MT法データを用いた紀伊半島下の3次元広域深部比抵抗構造モデルを推定した.得られたモデルは,紀伊半島下の多様な地球科学的特徴に対応しており,信頼性は高いと判断される.
紀伊半島南部の熊野大峰複合火成岩類に対応すると考えられる高比抵抗領域が存在し,地震波高速度領域や高重力異常領域ともよく対応する.また,その高比抵抗領域を囲むように低比抵抗領域が存在するが,これはスラブ上面から地殻表層まで続く顕著な低比抵抗領域が存在している.この低比抵抗領域は,熊野大峰複合火成岩類の縁を囲むように湧出している高い3He/4He同位体比を示す高温泉が深部起源であるという解釈と整合的である.このように地下比抵抗構造と深部流体の特徴的な空間分布との対応から,紀伊半島の地学諸現象への地下流体の寄与が説明されるようになる可能性がある.
本研究で得られた3次元地下比抵抗モデルは,紀伊半島で見いだされているいくつかの特徴的な地球科学的特徴と流体との関係を明らかにする上で重要な寄与を与えると期待される.
先行研究で用いたNetwork-MT法データ(Uyeshima et al., 2001; Uyeshima, 2007)は,商用電話網を用い,長基線(10〜数十km)で電圧差を測定することで得られる.この方法は,従来のMT法(基線長数十m程度)よりも,広域深部の構造を推定する上で次の3点において優れている. (1) S/N比が高くデータが高品質である点, (2) 長周期側(~50000秒) で良好な応答関数の推定が可能である点, (3) 表面近傍の小スケールの比抵抗コントラストの影響を受けにくい点.しかし,使用したNetwork-MT法データは10秒サンプリングであったために数10秒以下のNetwork-MT応答関数が得られないため,地殻の中上部に対する分解能が低かった.さらに,観測網は電話線が分布していた地域に限られており,空間的な観測ギャップも生じていた.これらの欠点を解決するために,我々は既存の従来のMT法により得られた既存データもあわせた解析,さらに周波数と空間領域における観測ギャップを埋めるための独自観測を実施することを計画している.その一環として,以下のデータを解析した.
・既存の長周期MTデータ(小川ほか,2017~2018)
・既存の広帯域MTデータ(長野ほか,2005)
・本研究の新たな観測により得られた広帯域MTデータ
本発表ではそれらの解析結果を示す.