日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-EM 固体地球電磁気学

[S-EM16] 地磁気・古地磁気・岩石磁気・環境磁気

2025年5月25日(日) 10:45 〜 12:15 302 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:川村 紀子(海上保安大学校 基礎教育講座)、加藤 千恵(九州大学比較社会文化研究院)、座長:安 ヒョンソン(韓国地質資源研究院)、川村 紀子(海上保安大学校 基礎教育講座)

11:15 〜 11:30

[SEM16-09] 下北半島に分布する中新世火山岩類の古地磁気と東北日本の回転運動

*星 博幸1 (1.愛知教育大学自然科学系)

キーワード:日本海拡大、中新世、東北日本、古地磁気、回転運動、テクトニクス

日本海拡大時に東北日本は反時計回りに回転しながらアジア大陸東縁から現在の位置まで移動したが、その運動像の理解はこの40年間あまり進んでいない。回転運動の時期に限っても、15 Ma頃まで回転が継続していたとする見解があるのに対し、17 Maあるいは18 Ma頃に回転が終了したとする見解もある。中新世の東北日本の回転運動を解明する目的で、筆者は青森県の下北ジオパークの支援を受けて、下北半島の前期~中期中新世の岩石を対象として地質と古地磁気を調査している。今回は泊火山岩類と呼ばれる玄武岩質~安山岩質の溶岩と貫入岩(岩脈)から得られた古地磁気データについて報告する。泊火山岩類の年代は最近報告された生層序データと放射年代データから16 Ma前後と考えられる。そのため、泊火山岩類の古地磁気データから東北日本の回転時期に対して制約を与えることができる可能性がある。

泊火山岩類分布域において複数の調査セクションを設けて詳細な地質ルートマップを作成するとともに、溶岩と岩脈の合計30地点から磁気測定用の岩石試料を採取した。自然残留磁化の段階消磁実験(交流消磁・熱消磁)によってすべての地点の磁化方位を決定した。そのうち26地点は正極性または逆極性と判断できる方位で、4地点は中間極性とみなされる方位であった。磁化を担う主要な磁性鉱物は磁鉄鉱である。正極性方位と逆極性方位はほぼ反平行な方位分布を示すとともに、溶岩の傾動補正によって方位の集中度が改善したため、磁化方位は火山岩形成時に獲得された熱残留磁化と考えられる。今回決定された平均磁化方位をアジア大陸の中新世参照方位と比較した結果から、調査地域の地殻は泊火山岩類形成後に大陸に対して15~20°反時計回りに回転したと考えられる。この回転を東北日本の反時計回り回転を反映したものと仮定すると、東北日本の回転運動は泊火山岩類形成時に継続中で、回転の終了間際だった可能性がある。