日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-EM 固体地球電磁気学

[S-EM16] 地磁気・古地磁気・岩石磁気・環境磁気

2025年5月25日(日) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:川村 紀子(海上保安大学校 基礎教育講座)、加藤 千恵(九州大学比較社会文化研究院)

17:15 〜 19:15

[SEM16-P02] 深海粘土中の隕石衝突層およびそこに含まれる球状粒子の磁気特性

*本田 悠貴1臼井 洋一1大田 隼一郎2佐藤 峰南3 (1.金沢大学、2.東京大学、3.九州大学)

巨大な隕石衝突に伴う融体や蒸気から凝集したと考えられる1 mm以下の球状粒子はしばしば樹枝状の磁鉄鉱(広義)を含む。これらは衝突に関連する堆積層に見られる正の帯磁率ピークの原因であるとみなされているが、単一の球状粒子の測定例は少なく、磁気異常をどこまで説明できるのかははっきりしない。また、球状粒子の内部組織や化学組成は衝突ごと、あるいは時代に応じて変化しているという説があるが、堆積後の変質作用の影響を排除することは難しかった。磁性はわずかな組成や粒子形状の変化に敏感であるため、内部組織などと同じく衝突ごとに差異が見られる可能性がある。特に、太平洋深海は酸化的環境に置かれており磁性鉱物の大きな変質が起きにくいと考えられるため、深海堆積物中の球状粒子の磁気測定を行うことでオリジナルな差異の有無を検討できるとともに、バルク堆積物の磁気異常との一対一の比較が可能になる。今回我々は、南鳥島周辺採取された堆積物コアについて、白金族元素濃度から既に同定されている K-Pg境界および中新世の隕石衝突の堆積層と、K-Pg境界に含まれる個別の球状粒子を磁気測定したので報告する。K-Pg境界の衝突層では飽和磁化が18.8 × 10-2 Am2/kg (471 A/m) であり、衝突層より上位の層では平均6.1 × 10-2 Am2/kg (151 A/m) 、下位の層では平均11.1 × 10-2 Am2/kg (281 A/m) だった。一方、中新世の衝突層では飽和磁化が13.0 × 10-2 Am2/kg (310 A/m) 、衝突層より上位の層では平均7.6 × 10-2 Am2/kg (189 A/m) 、下位の層では平均8.0 × 10-2 Am2/kg (201 A/m) だった。球状粒子は外観から黒、褐色、淡黄色の3種類に分類した。数のカウントによって存在度を推定したところ、黒色が11.1 %、褐色が42.4 %、淡黄色が46.5 %であった。飽和磁化は、黒色が4281 ~ 11971 A/m、褐色が9529 ~ 37219 A/m、純粋な淡黄色は装置の測定限界以下の磁化であった。球状粒子で堆積物の磁気異常を説明できるか、また異なる衝突に関連する球状粒子が異なる磁性を持つかを検討するために、球状粒子と堆積物の磁性とを数値的に足し合わせたモデル計算を行った。K-Pg 境界の堆積物のヒステリシスループは、境界直下の堆積物に球状粒子を1.7 vol%加えた計算でよく再現できる。一方、中新世の衝突に関連する層について、球状粒子がK-Pg のものと同じ磁性を持っていると仮定たうえでヒステリシスループを最小二乗法によりフィッティングすると、帯磁率が実測値よりも小さく、保磁力が大きい値となった。従って、中新世の衝突に関連する層には、K-Pg 境界のものよりも帯磁率が小さく、保磁力が大きい球状粒子が含まれていることが予想される。