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[SEM16-P07] 房総半島南端に分布する海成鮮新統から得られた下部Mammoth境界および上部Kaena境界における詳細な地磁気変動記録
キーワード:古地磁気学、地磁気逆転、鮮新世
地質媒体に保存される地磁気逆転記録は,汎地球的な同時間面として扱われ,深海底コアなどから得られた古気候−古海洋記録を地層間で比較する上で重要な対比点である.しかし,鮮新世以前に発生した地磁気逆転記録の時間解像度は低く,海洋酸素同位体ステージ(MIS)との対応関係が不明瞭であるため,深海底コア間における年代の不一致を引き起こしてきた(たとえば,Andersson et al. 2002; Channell et al. 2016).また,深海底コアの堆積速度は千年で数 cmである場合が多く,測定する1試料中に数百年の記録が平滑化されている.このため,地磁気逆転中の急速な変動を捉えることができず,詳細な時間変化の解明を困難にしている.
そこで本研究では,堆積速度が千年で数十cm以上である房総半島南端に分布する海成鮮新統において,約1 m〜10 cmの層厚間隔で古地磁気分析を,約1 mの層厚間隔で底生有孔虫の酸素同位体測定を行い,得られた酸素同位体変動をLR04スタックカーブ(Lisiecki and Raymo, 2005)と対比することで詳細な年代モデルを構築した.その結果,Mammoth逆磁極亜帯下部境界はMIS MG1に,Kaena逆磁極亜帯上部境界は,MIS G21に相当することが明らかになった.
下部Mammoth境界において,相対古地磁気強度(RPI)は急速な減衰と,緩やかな回復と急速な回復の2段階に区分される回復過程を示し,逆転に伴う地磁気強度変動の非対称性を示した.RPIの極小期間は3319.62〜3315.90 kaの約3.7 kyrであり,通常時よりも地磁気強度が弱まっていたことが想定される期間は,緩やかな回復期間を含めて5.6 kyrとなった.RPI極小期間の仮想地磁気極(VPG)は,オーストラリア大陸やアフリカ大陸,太平洋東部赤道域などの間を激しく変動し複雑な移動を示した.極性反転後,RPIの緩やかな回復に伴いVGPは南太平洋への特徴的な遷移を示し,再び南半球高緯度に移動した後,RPIの急速な回復に伴い南半球高緯度に収束した.
上部Kaena境界において, RPIは急速な減衰と緩やかな減衰の2段階の減衰過程と緩やかな回復を示した.RPI極小期間は3033.72〜3030.27 kaの約3.5 kyrであり,通常時よりも地磁気強度が弱まっていたことが想定される期間は,緩やかな減衰・回復期間を含めて12 kyrとなった.RPI極小期間のVPGは,ユーラシア大陸やオーストラリア大陸北西部,インド洋北部などの間を激しく変動し複雑な移動を示した.そして,北半球中〜高緯度を遷移し,オーストラリア大陸北西部への急速な移動の後,北半球高緯度に収束した.
これらの結果は,極性反転時におけるRPIの減衰−回復の傾向は一意に決まっているわけではなく,極性反転毎に異なっていることを示す.また,RPI極小期にはVGPがHoffman et al. (2020)などで示される非双極磁場の卓越する領域を通過することから,RPI極小期に非双極子磁場が顕出していたことが示唆される.
参考文献
Lisiecki and Raymo (2005) doi: 10.1029/2004PA001071; Andersson et al. (2002) doi: 10.1016/S0031-0182(01)00494-1; Channell et al. (2016) doi: 10.1016/j.quascirev.2015.10.011; Hoffman et al. (2020) doi: 10.1093/gji/ggz480.
そこで本研究では,堆積速度が千年で数十cm以上である房総半島南端に分布する海成鮮新統において,約1 m〜10 cmの層厚間隔で古地磁気分析を,約1 mの層厚間隔で底生有孔虫の酸素同位体測定を行い,得られた酸素同位体変動をLR04スタックカーブ(Lisiecki and Raymo, 2005)と対比することで詳細な年代モデルを構築した.その結果,Mammoth逆磁極亜帯下部境界はMIS MG1に,Kaena逆磁極亜帯上部境界は,MIS G21に相当することが明らかになった.
下部Mammoth境界において,相対古地磁気強度(RPI)は急速な減衰と,緩やかな回復と急速な回復の2段階に区分される回復過程を示し,逆転に伴う地磁気強度変動の非対称性を示した.RPIの極小期間は3319.62〜3315.90 kaの約3.7 kyrであり,通常時よりも地磁気強度が弱まっていたことが想定される期間は,緩やかな回復期間を含めて5.6 kyrとなった.RPI極小期間の仮想地磁気極(VPG)は,オーストラリア大陸やアフリカ大陸,太平洋東部赤道域などの間を激しく変動し複雑な移動を示した.極性反転後,RPIの緩やかな回復に伴いVGPは南太平洋への特徴的な遷移を示し,再び南半球高緯度に移動した後,RPIの急速な回復に伴い南半球高緯度に収束した.
上部Kaena境界において, RPIは急速な減衰と緩やかな減衰の2段階の減衰過程と緩やかな回復を示した.RPI極小期間は3033.72〜3030.27 kaの約3.5 kyrであり,通常時よりも地磁気強度が弱まっていたことが想定される期間は,緩やかな減衰・回復期間を含めて12 kyrとなった.RPI極小期間のVPGは,ユーラシア大陸やオーストラリア大陸北西部,インド洋北部などの間を激しく変動し複雑な移動を示した.そして,北半球中〜高緯度を遷移し,オーストラリア大陸北西部への急速な移動の後,北半球高緯度に収束した.
これらの結果は,極性反転時におけるRPIの減衰−回復の傾向は一意に決まっているわけではなく,極性反転毎に異なっていることを示す.また,RPI極小期にはVGPがHoffman et al. (2020)などで示される非双極磁場の卓越する領域を通過することから,RPI極小期に非双極子磁場が顕出していたことが示唆される.
参考文献
Lisiecki and Raymo (2005) doi: 10.1029/2004PA001071; Andersson et al. (2002) doi: 10.1016/S0031-0182(01)00494-1; Channell et al. (2016) doi: 10.1016/j.quascirev.2015.10.011; Hoffman et al. (2020) doi: 10.1093/gji/ggz480.