17:15 〜 19:15
[SEM16-P16] 鹿児島県池田湖の湖底溶存酸素濃度の異なる年に採取した極表層堆積物の磁気特性の比較
キーワード:磁気特性、湖底堆積物、初期続成作用
鹿児島県池田湖の湖底は貧酸素状態であるが数年から数十年の周期で全層循環が起こる.これによって数年から十数年おきに湖底に酸素が供給される.底層水の溶存酸素濃度は水底堆積物の初期続成作用の制御要因の一つである.よって,溶存酸素濃度が異なる時期の堆積物の磁気特性を比較することで,初期続成作用による含有磁性鉱物の存在形態(種類,構成,量,粒径など)の変化の様相を明らかにできる可能性がある.そこで本研究では,全層循環が起こった直後の2018年と,その後湖底の溶存酸素濃度が低下し貧酸素状態が継続していた2024年に,ほぼ同一地点で極表層堆積物を採取し,岩石磁気学的解析を行い,磁気特性を比較・検討した.
岩石磁気学的解析には,2018年に採取した約20㎝のコア試料1本と,2024年に採取した約35㎝のコア試料2本(1B, 3A)を用いた.堆積物は主にシルトで,極細粒~細粒の砂層(1~2cm厚)を含んでいた.1cm厚に分割し,凍結乾燥させた試料に対して,磁気ヒステリシス測定と直流磁場消磁実験を行い,飽和磁化(Ms),飽和残留磁化 (Mr),保磁力(Hc),残留保磁力(Hcr)を求めた.また,含有強磁性鉱物の推定のために5Kで着磁した等温残留磁化のZFC法による熱消磁実験と熱磁気分析(室温〜720°C)を行った.
実験の結果,含有強磁性鉱物としてマグヘマイト化したマグネタイトとチタノマグネタイトが確認できた.
2024年に採取したコアに関して,磁気ヒステレシスパラメータの傾向から3つの層(A, B, C)に区分した.A層はMr/Msの値が0.18~0.22,Hcr/Hcの値が2.3~2.7の磁気的粒径が比較的細かい層である.B層はA層よりMr/Msの値が小さくHcr/Hcの値が大きい,比較的粒径が粗い層である.C層はB層同様にA層よりMr/Msの値が小さくHcr/Hcの値が大きいが,Ms,Mr,Hcrの値が大きいことで特徴づけられる.コア1BではA層が0-11cm深,19-23cm深,25-35cm深,B層が11-19cm深,23-25cm深,C層が8-10cm深,16-17cm深にみられる.コア3Aでは,A層が0-9cm深,18-21cm深,23-34cm深,B層が9-17cm深,21-23cm深,C層が7-8cm深,17-18cm深にみられる.1Bと3AのヒステレシスパラメータをA,B,C層で比較するとA層とC層は比較的似た値をとり,B層はA層と比べ両コア間の値にばらつきが見られる.
2018年と2024年のコア1Bについてガンマ線強度測定を行い,セシウム-137の存在量の深度方向変化から,2本のコアを比較し対応させた.その結果,堆積速度は0.17g/cm²/yとなり,2024年のコアの表層から約9cmが2018年以降に堆積したことが分かった.この対応をもとに2本のコアの磁気特性を比較し初期続成作用の影響を検討した.しかし,2018年のコアと2024年のコア1Bとの対応部分では部分的に堆積物の岩相に違いが見られ,磁気特性の違いから初期続成作用の影響を検討することは難しい.2018年と2024年で岩相が同じ表層0-1cmの磁気特性を比較した.その結果,2018年試料に比べ2024年試料はDayplot上でより細粒な方にプロットされ,S-ratioではS-0.1Tの値がより小さく,S-0.3Tの値がより大きいことが確認できた.これは2024年の表層にはより細かい強磁性鉱物の存在が示唆され,より細かい堆積物の供給または湖底の貧酸素環境下での強磁性鉱物の溶解の可能性が考えられるかもしれない。
岩石磁気学的解析には,2018年に採取した約20㎝のコア試料1本と,2024年に採取した約35㎝のコア試料2本(1B, 3A)を用いた.堆積物は主にシルトで,極細粒~細粒の砂層(1~2cm厚)を含んでいた.1cm厚に分割し,凍結乾燥させた試料に対して,磁気ヒステリシス測定と直流磁場消磁実験を行い,飽和磁化(Ms),飽和残留磁化 (Mr),保磁力(Hc),残留保磁力(Hcr)を求めた.また,含有強磁性鉱物の推定のために5Kで着磁した等温残留磁化のZFC法による熱消磁実験と熱磁気分析(室温〜720°C)を行った.
実験の結果,含有強磁性鉱物としてマグヘマイト化したマグネタイトとチタノマグネタイトが確認できた.
2024年に採取したコアに関して,磁気ヒステレシスパラメータの傾向から3つの層(A, B, C)に区分した.A層はMr/Msの値が0.18~0.22,Hcr/Hcの値が2.3~2.7の磁気的粒径が比較的細かい層である.B層はA層よりMr/Msの値が小さくHcr/Hcの値が大きい,比較的粒径が粗い層である.C層はB層同様にA層よりMr/Msの値が小さくHcr/Hcの値が大きいが,Ms,Mr,Hcrの値が大きいことで特徴づけられる.コア1BではA層が0-11cm深,19-23cm深,25-35cm深,B層が11-19cm深,23-25cm深,C層が8-10cm深,16-17cm深にみられる.コア3Aでは,A層が0-9cm深,18-21cm深,23-34cm深,B層が9-17cm深,21-23cm深,C層が7-8cm深,17-18cm深にみられる.1Bと3AのヒステレシスパラメータをA,B,C層で比較するとA層とC層は比較的似た値をとり,B層はA層と比べ両コア間の値にばらつきが見られる.
2018年と2024年のコア1Bについてガンマ線強度測定を行い,セシウム-137の存在量の深度方向変化から,2本のコアを比較し対応させた.その結果,堆積速度は0.17g/cm²/yとなり,2024年のコアの表層から約9cmが2018年以降に堆積したことが分かった.この対応をもとに2本のコアの磁気特性を比較し初期続成作用の影響を検討した.しかし,2018年のコアと2024年のコア1Bとの対応部分では部分的に堆積物の岩相に違いが見られ,磁気特性の違いから初期続成作用の影響を検討することは難しい.2018年と2024年で岩相が同じ表層0-1cmの磁気特性を比較した.その結果,2018年試料に比べ2024年試料はDayplot上でより細粒な方にプロットされ,S-ratioではS-0.1Tの値がより小さく,S-0.3Tの値がより大きいことが確認できた.これは2024年の表層にはより細かい強磁性鉱物の存在が示唆され,より細かい堆積物の供給または湖底の貧酸素環境下での強磁性鉱物の溶解の可能性が考えられるかもしれない。