日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GC 固体地球化学

[S-GC38] 固体地球化学・惑星化学

2025年5月27日(火) 10:45 〜 12:15 301A (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:下田 玄(産業技術総合研究所地質調査総合センター)、鈴木 勝彦(国立研究開発法人海洋研究開発機構・海底資源センター)、山下 勝行(岡山大学環境生命自然科学学域)、石川 晃(東京工業大学理学院地球惑星科学系)、座長:下田 玄(産業技術総合研究所地質調査総合センター)、鈴木 勝彦(国立研究開発法人海洋研究開発機構・海底資源センター)、石川 晃(東京工業大学理学院地球惑星科学系)、山下 勝行(岡山大学環境生命自然科学学域)

11:00 〜 11:15

[SGC38-02] 大西洋中央海嶺、ケーン断裂帯に産する海洋底かんらん岩のオスミウム同位体不均質性

*高橋 廉太郎1石川 晃1横山 哲也1、石井 輝秋2 (1.東京科学大学、2.静岡大学)

マントルかんらん岩中の187Os/188Os比は、地球マントルの187Os/188Os比進化が広くコンドライト的であると仮定して、メルト枯渇の時期を制約するためによく使われる。Re-Os放射壊変系に基づくモデル年代の精度を向上させるためには、地球のマントル中の187Os/188Os比進化をより良く理解することが重要である。一般に、海洋底かんらん岩は、上部マントルの部分溶融の残渣であると考えられており、海洋底かんらん岩から得られた187Os/188Os比のデータは、現在のマントルの187Os/188Os比を制約するために用いられてきた。しかし、これまでの研究で、海洋底かんらん岩の187Os/188Os比には大きなばらつきがあることが示されており、現在のマントルは古代の溶融イベントで生じた187Os/188Os比の不均質性を保持していることが示唆されている。
海洋底かんらん岩における187Os/188Os比の不均質性の起源を調べるために、我々はOcean Drilling Program Leg153において大西洋中央海嶺、ケーン断裂帯のHole920で採取された38個の海洋底かんらん岩の全岩Re-Os同位体分析を行った。187Os/188Os比の平均値は0.1260±0.0017 (2S.D.) となり、地球全体の海洋底かんらん岩の先行研究で報告された値と同様である。一つの試料では187Os/188Os比が約0.1200と明らかに低く、これはケーン断裂帯で報告された値で最も低い。しかし、187Os/188Os比と他の元素の濃度との間には明らかな相関はなく、元素濃度は中央海嶺下の最近の溶融プロセスによって大きく制御されたことを示唆している。ケーン断裂帯の近傍の15°20'断裂帯のデータと比較すると、ケーン断裂帯のかんらん岩は、主要元素(MgO、Al2O3、CaOなど)、不適合微量元素(希土類元素など)、および強親鉄性元素濃度において、よりメルト成分に肥沃である。しかしながら、これら2つの地点のデータは同一の部分溶融のトレンドを持っていないことから、15°20'断裂帯のかんらん岩は、その非放射壊変起源の187Os/188Os比から推測されるように、異なる地質環境で古代の部分溶融を受けた可能性がある。このことは、大西洋中央海嶺の海洋底かんらん岩の一部は現代の対流マントルに由来しないことを示唆しており、このような岩石のデータは現在のマントル中の187Os/188Os比を推定するのに適していない。