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[SGC38-P06] 根尾谷断層の各種物性値に基づく最新すべり面の特徴
キーワード:根尾谷断層、帯磁率、CT値
活断層の活動履歴を評価する方法として,一般的にトレンチ調査が用いられる.トレンチ調査では第四紀に堆積した地層を対象として観察を行うことで活動履歴を評価することができるが,地下のように基盤岩しか分布しない場合には,活動履歴の評価をすることができないため,ボーリングコア試料等を用いて活動性を評価する方法が求められる.
最新すべり面と比べ,古い断層ガウジは変位を生じてから時間が経過し,鉱物充填等により物性値が変化すると期待される.断層活動に伴う物性値の変化を見出すことができれば, ボーリングの検層により活動性評価を行える可能性がある.
青木・大谷(2023)は,根尾谷断層破砕帯のボーリングコアを用いて帯磁率測定,粉末X線解析分析(XRD)を行い,帯磁率と含有鉱物との関係からすべり面の特徴を考察した.しかし,他の物性値との関係は明らかにされていなかった.そこで本研究では,帯磁率測定,CT値と各種物性値との比較を行うことで,最新すべり面の特徴を明らかにすることを目的とする.
本研究は1891年に濃尾地震を引き起こした根尾谷断層を対象とする.根尾谷断層は,岐阜県西部の能郷白山付近から本巣市根尾長嶺,本巣市日当を経て,岐阜市北西部付近へ至る長さ約35 kmの活断層である.今回の研究では,本巣市根尾長嶺で2021年に原子力規制庁が掘削したボーリングコアR3NDFD-1-S1を使用する.また,本巣市根尾長嶺敷原谷と本巣市日当金原谷の地表露頭で採取された岩石試料も使用する.R3NDFD-1-S1は水平から82°傾斜して,N61Eの方向に80 m掘削され,最新すべり面は深度64.80~66.16 mに分布している.ボーリングコアは主として泥岩からなる.敷原谷では断層面はN25W83NE,金原谷では断層面はN22W67NEであり,両者の露頭で採取された岩石試料から作成された研磨片試料を測定に用いた.いずれも研磨面は断層面に直交し,条線に平行な向きで切断されて得られた面である.敷原谷では,泥岩起源の角礫,ガウジ,カタクレーサイト,石英脈起源のガウジから断層岩が形成されている.敷原谷試料の研磨面はおよそ半分が黒色,粘土質のガウジ,残りは帯緑灰色,粘土質ガウジからなる.金原谷では,泥岩起源のガウジ,玄武岩起源のガウジから断層岩が形成されている.金原谷試料の研磨面はおよそ半分が淡褐色,粘土質のガウジ,もう半分は濃褐色,粘土質のガウジからなる.
帯磁率測定では,携帯型帯磁率計SM-30を用いて5 mm間隔で測定を行った.敷原谷試料では帯緑灰色のガウジの部分で最大値1.60,金原谷試料では淡褐色のガウジの部分で最大値3.57を示す.いずれの試料でも最大値を示す位置を中心に帯磁率が高い値を示す.
X線CTでは,これまでに行われていたX線CTデータを,MATLAB上で動作するSedCTを用いて再解析し,各種物性値の測定結果と比較を行った.その他の物性値との比較から,ガンマ線密度とは正の相関,間隙率とは負の相関関係が見られた.また,帯磁率,自然ガンマ線との直接的な関係は見られなかった.
これまで測定されてきたボーリングコア試料の帯磁率は玄武岩は最大で15~20,泥岩は0.1~0.2であるものの,最新すべり面の近傍では泥岩が1.0~2.0の値を示す(大谷ほか, 2023).敷原谷試料は泥岩を原岩とするガウジで1.60であることから,地表露頭であっても摩擦発熱の影響により高い帯磁率となることを示している.金原谷試料はさらに高い値を示していることから,玄武岩の影響を受けていると考えられる.
ガンマ線密度は,試料を透過する際のガンマ線の減衰が密度により変化することを利用して密度測定を行うため,物体の密度分布を表すCT値との相関関係が見られたと考えられる.なお,矢田部(2022)では,根尾水鳥で掘削されたボーリングコア試料に対しCT値の解析を行った結果,最新すべり面において極めて低いCT値を示した.したがって、ガンマ線密度との相関関係から,ガンマ線密度を測定することで最新すべり面を検出されることが期待される.
青木(2023)JpGU2023講演要旨集, SSS13-P15.
大谷ほか(2023)日本地質学会第130年学術大会講演要旨集, T1-O-13.
矢田部ほか(2022)JpGU2022講演要旨集, SSS13-05.
最新すべり面と比べ,古い断層ガウジは変位を生じてから時間が経過し,鉱物充填等により物性値が変化すると期待される.断層活動に伴う物性値の変化を見出すことができれば, ボーリングの検層により活動性評価を行える可能性がある.
青木・大谷(2023)は,根尾谷断層破砕帯のボーリングコアを用いて帯磁率測定,粉末X線解析分析(XRD)を行い,帯磁率と含有鉱物との関係からすべり面の特徴を考察した.しかし,他の物性値との関係は明らかにされていなかった.そこで本研究では,帯磁率測定,CT値と各種物性値との比較を行うことで,最新すべり面の特徴を明らかにすることを目的とする.
本研究は1891年に濃尾地震を引き起こした根尾谷断層を対象とする.根尾谷断層は,岐阜県西部の能郷白山付近から本巣市根尾長嶺,本巣市日当を経て,岐阜市北西部付近へ至る長さ約35 kmの活断層である.今回の研究では,本巣市根尾長嶺で2021年に原子力規制庁が掘削したボーリングコアR3NDFD-1-S1を使用する.また,本巣市根尾長嶺敷原谷と本巣市日当金原谷の地表露頭で採取された岩石試料も使用する.R3NDFD-1-S1は水平から82°傾斜して,N61Eの方向に80 m掘削され,最新すべり面は深度64.80~66.16 mに分布している.ボーリングコアは主として泥岩からなる.敷原谷では断層面はN25W83NE,金原谷では断層面はN22W67NEであり,両者の露頭で採取された岩石試料から作成された研磨片試料を測定に用いた.いずれも研磨面は断層面に直交し,条線に平行な向きで切断されて得られた面である.敷原谷では,泥岩起源の角礫,ガウジ,カタクレーサイト,石英脈起源のガウジから断層岩が形成されている.敷原谷試料の研磨面はおよそ半分が黒色,粘土質のガウジ,残りは帯緑灰色,粘土質ガウジからなる.金原谷では,泥岩起源のガウジ,玄武岩起源のガウジから断層岩が形成されている.金原谷試料の研磨面はおよそ半分が淡褐色,粘土質のガウジ,もう半分は濃褐色,粘土質のガウジからなる.
帯磁率測定では,携帯型帯磁率計SM-30を用いて5 mm間隔で測定を行った.敷原谷試料では帯緑灰色のガウジの部分で最大値1.60,金原谷試料では淡褐色のガウジの部分で最大値3.57を示す.いずれの試料でも最大値を示す位置を中心に帯磁率が高い値を示す.
X線CTでは,これまでに行われていたX線CTデータを,MATLAB上で動作するSedCTを用いて再解析し,各種物性値の測定結果と比較を行った.その他の物性値との比較から,ガンマ線密度とは正の相関,間隙率とは負の相関関係が見られた.また,帯磁率,自然ガンマ線との直接的な関係は見られなかった.
これまで測定されてきたボーリングコア試料の帯磁率は玄武岩は最大で15~20,泥岩は0.1~0.2であるものの,最新すべり面の近傍では泥岩が1.0~2.0の値を示す(大谷ほか, 2023).敷原谷試料は泥岩を原岩とするガウジで1.60であることから,地表露頭であっても摩擦発熱の影響により高い帯磁率となることを示している.金原谷試料はさらに高い値を示していることから,玄武岩の影響を受けていると考えられる.
ガンマ線密度は,試料を透過する際のガンマ線の減衰が密度により変化することを利用して密度測定を行うため,物体の密度分布を表すCT値との相関関係が見られたと考えられる.なお,矢田部(2022)では,根尾水鳥で掘削されたボーリングコア試料に対しCT値の解析を行った結果,最新すべり面において極めて低いCT値を示した.したがって、ガンマ線密度との相関関係から,ガンマ線密度を測定することで最新すべり面を検出されることが期待される.
青木(2023)JpGU2023講演要旨集, SSS13-P15.
大谷ほか(2023)日本地質学会第130年学術大会講演要旨集, T1-O-13.
矢田部ほか(2022)JpGU2022講演要旨集, SSS13-05.