日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD02] 測地学・GGOS

2025年5月25日(日) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:松尾 功二(国土地理院)、横田 裕輔(東京大学生産技術研究所)、三井 雄太(静岡大学理学部地球科学科)

17:15 〜 19:15

[SGD02-P03] 全国の標高成果の改定に伴う三角点新標高成果の計算

*山田 直輝1、井上 武久1、岩下 知真子1、田上 節雄1、多田 直洋1、高築 晶1古屋 智秋1 (1.国土交通省国土地理院)

キーワード:全国の標高成果の改定、測地成果2024、三角点、山の標高

はじめに
 国土地理院では、電子基準点、三角点、水準点等の標高成果を、令和7年4月1日に衛星測位を基盤とする最新の値(測地成果2024)に改定する。みちびき(準天頂衛星システム)やGPS等を使用した衛星測位で得られる高さは楕円体高であり、標高を得るためには楕円体高から標高の基準となるジオイドまでの高さであるジオイド高を差し引く必要がある。国土地理院では、近年の航空重力測量の実施により高精度な重力ジオイドの構築が可能となり、ジオイド高を与える新しいモデルである「ジオイド2024 日本とその周辺」(以下「ジオイド2024」という。)を令和7年4月1日に公表する。電子基準点を用いた衛星測位とジオイド2024を基盤とした新しい標高体系への移行により、累積した地殻変動や従来の水準測量の誤差の影響等による標高の不整合が解消されることが期待される。
 古屋ほか(2024)では、衛星測位による周期変動の影響等を考慮し、2024年6月1日を標高の元期として決定した。本講演では、電子基準点の新成果に基づき計算される三角点の新標高の計算とその手法について紹介する。

データと方法
 三角点の標高成果を改定する手法は、従来の三角点の標高成果改定(小門ほか、2014)と同様の手法とし、約1km間隔(緯度方向30秒、経度方向45秒間隔)グリッドの標高変換パラメータを構築した。標高は楕円体高とジオイド高の差で得られることから、パラメータの構築に必要となる新旧標高の差は、新旧楕円体高と新旧ジオイド高のそれぞれの差からさらに両者の差を取って得られる。
まず、測地成果2024及び従来の測地成果2011の電子基準点楕円体高のうち、利用可能な1313点の楕円体高差を計算した。次に、これらを入力値としてクリギング補間により各グリッドでのパラメータ化を行った。
 新旧ジオイド高の差については、約2km間隔グリッドのデータが公開されている「日本のジオイド2011」(Ver.2.2)(以下「ジオイド2011」という。)及びジオイド2024から、バイリニア補間を用いて約1km間隔で算出したジオイド高の差を取った。
 最後に楕円体高差及びジオイド高差のパラメータについて、両者の差を取ることで三角点の標高変換パラメータとした。標高成果の改算は、三角点から最も近いパラメータのグリッドの格子点4点の補正量からバイリニア補間により当該三角点の改定量を取得し、現在の標高成果に足し合わせることで、全国10万点を超える三角点の新標高成果を得た。

結果と考察
 新旧楕円体高差から得られるパラメータからは、東北地方を中心に大きな較差がみられる。宮城県牡鹿半島周辺では最大約+70cmの変化量が生じ、2011年東北地方太平洋沖地震の余効変動などの経年の地殻変動の影響が含まれている。
 新旧ジオイド高差のパラメータからは、東北地方北部から北海道にかけて較差が+20cmを超過する。これは、楕円体高と水準測量による標高の差から得られる実測ジオイドと重力ジオイドを組み合わせて作成されたジオイド2011に水準測量に起因する誤差が含まれていることが一因として考えられる。
 上記2つのパラメータから構築された三角点の標高変換パラメータからは、標高改定量が全国的に負の値を示しており、楕円体高差の大きかった東北地方など一部地域では正の標高改定量を示すことが分かる。パラメータにより標高改算した三角点の平均改定量は約-13cmとなっており、改定量は概ね±40cmの範囲に収まる。その一方で、局所的には牡鹿半島周辺で最大+60cm近くの標高変化を生じるほか、ジオイド高差の大きかった知床半島周辺で最大-70cm近くの変化が生じる。
 また、日本の主要な山岳標高の多くは三角点の標高により決定されており、一部の山の標高が今回の三角点標高成果改定により±1m変化する見込みである。今後標高改定量の大きい地域や電子基準点の入力データが疎らな地域などで標高値を実測し、今回の標高改定パラメータの精度について外部評価による検証を検討している。