日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD02] 測地学・GGOS

2025年5月25日(日) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:松尾 功二(国土地理院)、横田 裕輔(東京大学生産技術研究所)、三井 雄太(静岡大学理学部地球科学科)

17:15 〜 19:15

[SGD02-P05] 2015年桜島膨張イベント時の地上重力変化の数値計算:不均質構造の影響について

*小濱 瑞希1風間 卓仁1 (1.京都大学大学院理学研究科)


キーワード:重力変化、有限要素法、桜島、ダイク、不均質構造、地殻変動

地殻変動観測や地上重力観測といった測地学的観測は、地震火山活動に関連する地球内部変動を把握するのに有効である。これらの観測データを用いて地球内部変動現象をモデル化する際には、断層運動に関する解析解(Okada, 1992; Okubo, 1992)が頻繁に用いられる。しかし、これらの解析解は均質等方な半無限媒質を仮定しているため、地表形状・媒質不均質・地球曲率などの寄与が無視できない状況でこれらを用いると、ソースパラメータなどの推定結果にバイアスが乗る可能性がある。この問題点を解決する手法として、地形や地下構造などの複雑性を取り入れて地殻変動や重力変化を計算することができる有限要素法(Finite Element Method; 以下FEM)がある。FEMで得られた変動場から重力変化を計算する手法は複数存在するが、中でも小濱ほか(JpGU, 2024)の手法は、他の手法が単純化している観測点移動に伴う重力変化を正確に計算できるという利点がある。

小濱・風間(日本測地学会, 2024)は、小濱ほか(JpGU, 2024)の手法を2015年8月15日に桜島火山で発生したダイク貫入イベントに適用して、地形を考慮してイベント時の地上重力変化を計算した。そして、計算結果と観測結果と比較することで貫入物質の密度を推定し、地形を考慮することで貫入物質密度の推定値が大きく変化することを示した。一方で、重力変化の計算には媒質不均質も大きく影響することが知られている。そのため、貫入物質密度を正確に推定するためには、桜島の地形だけでなく不均質構造を考慮したモデルで地上重力変化を計算することが重要と考えられる。

そこで本研究は、桜島地下のP波速度構造(Miyamachi et al., 2013)に基づいた不均質構造をもつ有限要素モデルを作成して地殻変動・地上重力変化を計算し、ポアソン比0.25、密度2670 kg/m3の均質媒質モデルに基づく計算結果と比較した。その結果、不均質構造を考慮することで地表変位が変化し、それが主な原因となって地上重力変化も変化することがわかった。不均質構造を考慮した場合の地表変位は、均質媒質モデルに基づく結果と比較すると、最大振幅が増大する傾向が確認できた。これは、ダイク周辺の媒質のP波速度に比べて、ダイク上部に存在する媒質のP波速度が遅いためである。一方で地表変位の振幅が小さくなる場所も存在しており、地表変位は複雑な挙動をしていることがわかった。今後は、地形の効果と媒質不均質の効果を分離して、地表変位の物理的解釈を行う予定である。また、地殻変動の観測結果との比較を行い、仮定した不均質構造の妥当性についても検討していく予定である。