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[SGD02-P08] ITRF2020に準拠した電子基準点日座標値の精度評価
キーワード:GNSS、GEONET、F5
国土地理院では,1996年から,国土を覆うGNSS連続観測網であるGEONET(GNSS連続観測システム)を運用している.当初610点で運用を開始したGEONETは,2003年には1,200点に拡充され,現在約1,300点で構成される.これらを一貫した解析ストラテジで全期間解析した「電子基準点日々の座標値」は,位置の基準の維持・管理や地殻変動の監視のほか,測地学・地球物理学における基礎的なデータとして幅広く活用されている.近年では,準天頂衛星システム「みちびき」の高精度測位サービスであるCLASに利用されるなど,位置情報サービス事業における基盤としての活用も進んでいる.現在の解析ストラテジ(第5版)は基準座標系としてITRF2014に準拠しており,これによる日々の座標値は「F5解」(Takamatsu et al., 2023;村松ほか, 2021)と呼ばれ2021年4月から提供を開始した. ITRFについては、2022年にITRF2020が公表され、2024年12月にはITRF2020と一致した定義で最新の期間を実現したITRF2020-u2023が公表された。これらを踏まえ,基準座標系をITRF2014からITRF2020に変更した場合の座標値への影響について,評価を進めており,本研究ではその結果について報告する.
現在の解析ストラテジ(第5版)は,全球の観測データを基に国土地理院構内の電子基準点「つくば1」の座標値を求める固定点解析と,「つくば1」を固定して全国の座標値を求める全国解析の二つのステップからなる.本研究では基準座標系をITRF2014からITRF2020に変更したほか,衛星軌道はIGS最終暦を用い,解析初期座標値はITRF2020のGNSSによる実現系であるIGS20によるモデル値(速度,余効変動を考慮)により与えた.アンテナ位相特性モデルにおいては,汎用的なモデルはIGSによったが,国土地理院固有のモデルは試験用架台での観測結果を基に独自に構築し,ITRF2020への準拠を図った(手順は豊福ほか, 2009を参照).これら以外は現在の解析ストラテジ(第5版)に準じた設定とし,2023年1月~2024年12月までの固定点解析を行った.
図は「つくば1」におけるF5解と本研究で求められた座標値(便宜的にF5.1解と呼称)の時系列である.F5解では,最近1~2年で東西,南北成分のばらつきがやや増大しているが,F5.1解では比較的ばらつきが抑えられている.また,上下成分においては,限られた期間での評価ではあるが,2024年以降,F5解とF5.1解で速度が逆転している様子がうかがえる.絶対値については,水平成分で1 cm程度の乖離が見られるが,ITRF2014とITRF2020の定義の違いが及ぼす影響は,両者の変換パラメータから高々2~3 mmと考えられ,やや乖離が大きい.ITRF2020ではITRF2014公開後の不連続イベントが考慮されているため,より多くの観測点がITRF系に準拠した座標を保っており,そのことが上記に挙げた改善・差異に繋がった可能性がある.今後は全国解析も含めて,準拠する基準座標系の違いによる座標値への影響について評価を進めていきたい.
現在の解析ストラテジ(第5版)は,全球の観測データを基に国土地理院構内の電子基準点「つくば1」の座標値を求める固定点解析と,「つくば1」を固定して全国の座標値を求める全国解析の二つのステップからなる.本研究では基準座標系をITRF2014からITRF2020に変更したほか,衛星軌道はIGS最終暦を用い,解析初期座標値はITRF2020のGNSSによる実現系であるIGS20によるモデル値(速度,余効変動を考慮)により与えた.アンテナ位相特性モデルにおいては,汎用的なモデルはIGSによったが,国土地理院固有のモデルは試験用架台での観測結果を基に独自に構築し,ITRF2020への準拠を図った(手順は豊福ほか, 2009を参照).これら以外は現在の解析ストラテジ(第5版)に準じた設定とし,2023年1月~2024年12月までの固定点解析を行った.
図は「つくば1」におけるF5解と本研究で求められた座標値(便宜的にF5.1解と呼称)の時系列である.F5解では,最近1~2年で東西,南北成分のばらつきがやや増大しているが,F5.1解では比較的ばらつきが抑えられている.また,上下成分においては,限られた期間での評価ではあるが,2024年以降,F5解とF5.1解で速度が逆転している様子がうかがえる.絶対値については,水平成分で1 cm程度の乖離が見られるが,ITRF2014とITRF2020の定義の違いが及ぼす影響は,両者の変換パラメータから高々2~3 mmと考えられ,やや乖離が大きい.ITRF2020ではITRF2014公開後の不連続イベントが考慮されているため,より多くの観測点がITRF系に準拠した座標を保っており,そのことが上記に挙げた改善・差異に繋がった可能性がある.今後は全国解析も含めて,準拠する基準座標系の違いによる座標値への影響について評価を進めていきたい.