09:00 〜 09:15
[SGD03-01] 物理情報深層学習による三次元地殻変動解析
プレート運動や地震に起因する地殻変動は、断層の変位食い違いモデル(dislocation model)により記述され、これまで解析解や差分法・有限要素法などの数値解法によるモデリング手法が発展してきた。近年、neural network (NN)により偏微分方程式(PDE)系を解くphysics-informed neural network (PINN)が提案され(Raissi et al., 2019)、自然科学の各分野に応用されている。地殻変動解析において、Okazaki et al. (2022)はPINNを横ずれ断層の二次元モデルである面外問題における地震時変動の順解析に適用し、Okazaki et al. (2025)は正・逆断層の二次元モデルである面内問題における順解析および模擬データによる逆解析に拡張した。
本研究では、PINNにより三次元構造における地震時地殻変動の順解析および実データの逆解析を実施した。基礎方程式(つり合いの式と構成法則)は変位と応力を変数として記述されるが、弾性体では応力は変位から一意に定まる。そこでまず、順解析においてNNの出力変数を「変位のみ」「変位・応力」とする2種類の表現を検討した。変位表現は3自由度で構成法則が厳密に満たされるが、2階微分を含むためPINNにおいては微分計算に時間がかかり、損失関数の複雑度が大きい。一方で変位・応力表現は9自由度で構成法則が近似的にしか満たされないが、1階微分のみのためPINNの最適化が容易となる。半無限均質媒質において比較すると、変位・応力表現のほうが効率的かつ高精度の解が得られた。よって以後は変位・応力表現を用いた。
順解析では剛体運動を取り除くため無限遠に境界条件(変位とその微分が0に収束)が必要であり、PINNでは解析領域を十分に広く取りその外部境界で近似的に課される。この条件が解の精度に及ぼす影響を調べるため、代わりに領域4点で変位の真値を教師データとする解析と比較した。その結果、教師データを与えると外部境界条件を課すよりも推定誤差が数分の一に減少した。これは順解析における誤差の主要因が内部変形より剛体運動の拘束にあることを示唆する。PINNにより地震時変動を順解析する際の課題であるが、逆解析では変位データが離散的に得られるので問題とはならない。
逆解析ではGNSS変位データから設定した断層面上のすべり分布を推定した。まず数値実験を実施し、観測点数の減少・観測誤差の増加に伴い最大すべり量などの推定精度は下がるものの、地震モーメントは。次に2008年岩手宮城内陸地震の地震時変動を解析した。GEONETのF5解を51観測点使用し、均質半無限媒質において断層面を小沢ほか(2008)に基づき設定した。左横ずれ成分を含む逆断層すべりが推定され、最大すべり量4.49 m、地震モーメント1.58×1019 Nm (Mw = 6.73)と、既往研究と整合的だが小さめの値が得られた。さらに全国1次地下構造モデル(暫定版)(Koketsu et al., 2012)を用いて現実的な地下構造モデルにおける解析を進めており、その結果も併せて紹介するつもりである。
本研究では、PINNにより三次元構造における地震時地殻変動の順解析および実データの逆解析を実施した。基礎方程式(つり合いの式と構成法則)は変位と応力を変数として記述されるが、弾性体では応力は変位から一意に定まる。そこでまず、順解析においてNNの出力変数を「変位のみ」「変位・応力」とする2種類の表現を検討した。変位表現は3自由度で構成法則が厳密に満たされるが、2階微分を含むためPINNにおいては微分計算に時間がかかり、損失関数の複雑度が大きい。一方で変位・応力表現は9自由度で構成法則が近似的にしか満たされないが、1階微分のみのためPINNの最適化が容易となる。半無限均質媒質において比較すると、変位・応力表現のほうが効率的かつ高精度の解が得られた。よって以後は変位・応力表現を用いた。
順解析では剛体運動を取り除くため無限遠に境界条件(変位とその微分が0に収束)が必要であり、PINNでは解析領域を十分に広く取りその外部境界で近似的に課される。この条件が解の精度に及ぼす影響を調べるため、代わりに領域4点で変位の真値を教師データとする解析と比較した。その結果、教師データを与えると外部境界条件を課すよりも推定誤差が数分の一に減少した。これは順解析における誤差の主要因が内部変形より剛体運動の拘束にあることを示唆する。PINNにより地震時変動を順解析する際の課題であるが、逆解析では変位データが離散的に得られるので問題とはならない。
逆解析ではGNSS変位データから設定した断層面上のすべり分布を推定した。まず数値実験を実施し、観測点数の減少・観測誤差の増加に伴い最大すべり量などの推定精度は下がるものの、地震モーメントは。次に2008年岩手宮城内陸地震の地震時変動を解析した。GEONETのF5解を51観測点使用し、均質半無限媒質において断層面を小沢ほか(2008)に基づき設定した。左横ずれ成分を含む逆断層すべりが推定され、最大すべり量4.49 m、地震モーメント1.58×1019 Nm (Mw = 6.73)と、既往研究と整合的だが小さめの値が得られた。さらに全国1次地下構造モデル(暫定版)(Koketsu et al., 2012)を用いて現実的な地下構造モデルにおける解析を進めており、その結果も併せて紹介するつもりである。
