09:15 〜 09:30
[SGD03-02] 客観的重み決定法による地殻変動速度場クラスタリング手法の高度化
キーワード:クラスタリング、GNSS、速度場、ブロック境界
地球の表層は大局的には10数枚のプレートに覆われており、局所的にはより細かな地殻ブロックに分けられる。このブロック境界の同定はその地域のテクトニクスや地震・火山活動を考える上で重要である。ブロック境界は地質学的な情報に基づいて検討されているが、それらの情報とは独立な方法として地殻変動速度場のクラスタリングに基づく手法が提案されている。クラスタリング手法は階層型クラスタリングと非階層型クラスタリングに大別される。階層型クラスタリングを用いた手法では、速度ベクトルを直接比較することで局所地域の地殻ブロックについて議論している(Simpson et al. 2012, Takahashi et al. 2019)。しかし、オイラー極が対象領域の近くにある場合は剛体運動を考慮する必要がある。 一方、非階層型クラスタリングを用いた手法では、物理的な拘束である剛体運動を考慮した手法が提案されているものの、非階層型クラスタリングの性質上、微小な地殻ブロックの同定が不安定で、また計算時間の問題から安定性の評価に限界がある(Savage and Wells 2015, Takahashi and Hashimoto 2022)。
上記の問題点を考慮して、Takahashi et al. (2025) はクラスタリングの距離指標として、球の効果を考慮した速度ベクトルの非類似度(Parallel Translation; PT)と剛体運動(Euler Vector; EV)の項の重み付き線形和を用いた、階層型クラスタリング手法を提案した。開発手法をITRF2008(Altamimi et al. 2012)と台湾(Tsai et al. 2015)の速度場に適用し、全球から局所地域まで適用可能であることを示すと共に、クラスタリングの安定性評価を行った。しかしながら、クラスタリング指標の2項の重みを主観的に1:1に決定していた点、また距離が遠い観測点同士が同じクラスタに分類されるといった点が課題として残っていた。
そこで本研究では、速度場クラスタリングを用いたブロック境界の同定の際のクラスタリング距離指標に含まれる各項の重みの客観的な決定に向けて、UMAPを用いた重み決定法を提案する。この際従来のEV、PTを用いた距離指標に加え、観測点間の大円距離(Great circle distance; GC)を考慮した距離指標で階層型クラスタリングを行う。
提案手法ではまずEV, PT, GCの3つの項の大きさを計算する。次に各項の重みを仮定し、重みを考慮した各項の大きさに対して、UMAPを適用する。この時、UMAPで得られた2次元の特徴量に対して、階層型クラスタリングを行う。ここで、UMAPを用いて特徴量を低次元に圧縮することで、圧縮後の低次元空間においてクラスタが凝集する効果が得られるため、潜在的なクラスタ構造がより明確になり、クラスタリング性能の向上が期待される。同様の解析を、重みを変えて行い、各重みに対して階層クラスタリングを再度適用し、デンドログラムを作成する。このようにして得られるデンドログラム間の距離をRobinson-Foulds距離(RF距離)を用いて比較しその変化率から、最適な重みを決定する。
解析には、ITRF2008のデータをより長期間にし、精度が向上した全球データであるITRF2020(Altamimi et al. 2023)を用いた。この際、系全体の並進運動を考慮して剛体運動を推定した方が、残差が小さくなることから、Altamimi et al. (2023)で推定された系全体の並進運動を、データからあらかじめ差し引いて使用した。
まず、新たに導入したGCの項の重みを決定することを目的として、EVとPTの重みを1:1に固定し、それに対するGCの重みを0~1.0×10-5まで0.1×10-5刻みで変化させた。その結果、EV:PT:GC=1:1:0.4×10-5の場合にRF距離の変化率が大きくなることが分かった。実際にこの重みを用いてITRF2020の速度場クラスタリングを行ったところ、Altamimi et al. (2023)で示されたブロック境界と概ね調和的なクラスタリング結果が得られた。また、GCの項の導入により、離れた観測点が同じクラスタに属する課題が解消された。
今後は、GCだけでなく、EV、PTの重みも変化させて3項の重みの最適化を検討する。また、重み決定時にUMAP適用を用いない場合の結果と比較することで、UMAPによる低次元圧縮の効果を検証する。それぞれの重みの変化に合わせて安定性評価を行う。これらを通して、提案手法がより客観的に速度場をクラスタリング可能な手法であることを検証する。
上記の問題点を考慮して、Takahashi et al. (2025) はクラスタリングの距離指標として、球の効果を考慮した速度ベクトルの非類似度(Parallel Translation; PT)と剛体運動(Euler Vector; EV)の項の重み付き線形和を用いた、階層型クラスタリング手法を提案した。開発手法をITRF2008(Altamimi et al. 2012)と台湾(Tsai et al. 2015)の速度場に適用し、全球から局所地域まで適用可能であることを示すと共に、クラスタリングの安定性評価を行った。しかしながら、クラスタリング指標の2項の重みを主観的に1:1に決定していた点、また距離が遠い観測点同士が同じクラスタに分類されるといった点が課題として残っていた。
そこで本研究では、速度場クラスタリングを用いたブロック境界の同定の際のクラスタリング距離指標に含まれる各項の重みの客観的な決定に向けて、UMAPを用いた重み決定法を提案する。この際従来のEV、PTを用いた距離指標に加え、観測点間の大円距離(Great circle distance; GC)を考慮した距離指標で階層型クラスタリングを行う。
提案手法ではまずEV, PT, GCの3つの項の大きさを計算する。次に各項の重みを仮定し、重みを考慮した各項の大きさに対して、UMAPを適用する。この時、UMAPで得られた2次元の特徴量に対して、階層型クラスタリングを行う。ここで、UMAPを用いて特徴量を低次元に圧縮することで、圧縮後の低次元空間においてクラスタが凝集する効果が得られるため、潜在的なクラスタ構造がより明確になり、クラスタリング性能の向上が期待される。同様の解析を、重みを変えて行い、各重みに対して階層クラスタリングを再度適用し、デンドログラムを作成する。このようにして得られるデンドログラム間の距離をRobinson-Foulds距離(RF距離)を用いて比較しその変化率から、最適な重みを決定する。
解析には、ITRF2008のデータをより長期間にし、精度が向上した全球データであるITRF2020(Altamimi et al. 2023)を用いた。この際、系全体の並進運動を考慮して剛体運動を推定した方が、残差が小さくなることから、Altamimi et al. (2023)で推定された系全体の並進運動を、データからあらかじめ差し引いて使用した。
まず、新たに導入したGCの項の重みを決定することを目的として、EVとPTの重みを1:1に固定し、それに対するGCの重みを0~1.0×10-5まで0.1×10-5刻みで変化させた。その結果、EV:PT:GC=1:1:0.4×10-5の場合にRF距離の変化率が大きくなることが分かった。実際にこの重みを用いてITRF2020の速度場クラスタリングを行ったところ、Altamimi et al. (2023)で示されたブロック境界と概ね調和的なクラスタリング結果が得られた。また、GCの項の導入により、離れた観測点が同じクラスタに属する課題が解消された。
今後は、GCだけでなく、EV、PTの重みも変化させて3項の重みの最適化を検討する。また、重み決定時にUMAP適用を用いない場合の結果と比較することで、UMAPによる低次元圧縮の効果を検証する。それぞれの重みの変化に合わせて安定性評価を行う。これらを通して、提案手法がより客観的に速度場をクラスタリング可能な手法であることを検証する。
