09:45 〜 10:00
[SGD03-04] 陸上GNSSデータと海域GNSS-Aデータを用いた日向灘におけるプレート間固着の推定
キーワード:GNSS、地殻変動、日向灘
1.はじめに
日向灘は、今後発生すると予想される南海トラフ巨大地震の想定震源域の西端に位置し、2024年8月8日にはM7.1、2025年1月13日にはM6.6の地震が発生した。スロー地震も多発するこの地域(例えば、Yamashita et al., 2015)において、将来の地震発生ポテンシャルを解明する上で、プレート間固着状況の推定は重要である。GNSSデータを用いた日向灘におけるプレート間固着に関する研究は、これまでに一定数行われてきた (たとえば、Wallace et al., 2009)。しかしながら、先行研究では、当時のGNSS観測点数が限られていたことや上盤プレートの内部変形などのモデル化に任意性があり、プレート間固着の推定には再検討の余地がある。2017年以降、日向灘沿岸から豊後水道周辺にかけて、京大防災研、九大、神戸大によりGNSS観測点が20点新設され、より詳細な地殻変動分布を明らかにすることが可能になった。そこで本研究では、この地域に展開されているGNSSなどの測地データを用いて、詳細な地殻変動分布を明らかにし、プレート間固着状況を推定することを目指す。
2.データ・方法
本研究では、2022年4月から 2024年4月までの2年間のGNSSデータ(国土地理院 と大学等の設置した観測点を含む)、および2021年10月から2024年9月までの海上保安庁から公開されている約3年間の海域GNSS-A データを使用した。使用したGNSS観測点は、九州地方、四国地方、中国地方、および近畿地方の一部の計430点であり、海域GNSS-Aデータは、日向灘から四国沖の計8点である。GNSSの日座標値データとして、京都大学防災研究所においてGipsyX(Bertiger et al., 2020)を用いて精密単独測位法で計算されたものを利用し、局所座標系に変換した。GNSS、GNSS-Aデータに対して、局所座標系の座標値データに最小二乗法で直線近似を行い、アムールプレートに対する各観測点での平均速度を推定した。次に、ブロック断層モデルを用いて、南海トラフから日向灘にかけての沈み込むフィリピン海(下盤)プレートとアムール(上盤)プレートの境界における固着状況の推定を行った。ブロック断層モデルとは、地表の地殻変動をブロックの剛体運動とブロック間の断層の固着による弾性変形の和で表したモデルであり、推定に使用した計算コードは、TDEFNODE(McCaffrey,2009) である。具体的には、解析領域の陸側プレートを九州南部とそれ以外の2つのブロック、海側プレートを1つブロックの計3つのブロックを仮定し、それぞれのブロック運動を推定した。ブロック境界の断層は、フィリピン海プレートと陸側ブロックの形状を6km×3kmの小断層に分割して表現し、断層上に12×17個設定したノード上での固着率を求めた。その後、推定された固着率をもとに、すべり欠損速度に変換を行った。
3.結果・考察
本研究で推定したプレート間固着分布(すべり欠損速度、Fig. 1)からは、日向灘では、北部と南部に一部強い固着が見られた箇所があったものの、全体としては、中程度の強さの固着が見られた。また、2024年8月8日に発生した日向灘の地震(M7.1)の発生場所は、プレート間固着の強さが変化する遷移域にあることが推定された。一方で、日向灘南部の沖合に見られる広範囲の強い固着は、陸域で対応した変動は見られず系統誤差の可能性が考えられる。次に、速度データの観測値と計算値の比較(Fig. 2)を行った。四国地方や九州南部はおおむね一致するものの、九州中部や海域はあまり一致しない結果となった。九州中部に関しては、九州中部付近の陸側プレート内運動と熊本地震の余効変動を考慮できていないことが要因と考えられる。現在、暫定モデルでは,すべり欠損速度の計算点であるノードの間隔が広く、また、プレートの形状が最新の研究成果(例えば、JAMSTEC, 2021)を反映したものではない。このことから、プレートの形状を更新し、ノードの間隔を細かくする予定である。
謝辞
本研究では国土地理院GEONET、および海上保安庁のデータを使用しました。ひずみ速度の計算とプレート間固着の推定には、岡崎智久博士及びRob McCaffrey博士作成のプログラムを使用しました。ここに記して、感謝いたします。
日向灘は、今後発生すると予想される南海トラフ巨大地震の想定震源域の西端に位置し、2024年8月8日にはM7.1、2025年1月13日にはM6.6の地震が発生した。スロー地震も多発するこの地域(例えば、Yamashita et al., 2015)において、将来の地震発生ポテンシャルを解明する上で、プレート間固着状況の推定は重要である。GNSSデータを用いた日向灘におけるプレート間固着に関する研究は、これまでに一定数行われてきた (たとえば、Wallace et al., 2009)。しかしながら、先行研究では、当時のGNSS観測点数が限られていたことや上盤プレートの内部変形などのモデル化に任意性があり、プレート間固着の推定には再検討の余地がある。2017年以降、日向灘沿岸から豊後水道周辺にかけて、京大防災研、九大、神戸大によりGNSS観測点が20点新設され、より詳細な地殻変動分布を明らかにすることが可能になった。そこで本研究では、この地域に展開されているGNSSなどの測地データを用いて、詳細な地殻変動分布を明らかにし、プレート間固着状況を推定することを目指す。
2.データ・方法
本研究では、2022年4月から 2024年4月までの2年間のGNSSデータ(国土地理院 と大学等の設置した観測点を含む)、および2021年10月から2024年9月までの海上保安庁から公開されている約3年間の海域GNSS-A データを使用した。使用したGNSS観測点は、九州地方、四国地方、中国地方、および近畿地方の一部の計430点であり、海域GNSS-Aデータは、日向灘から四国沖の計8点である。GNSSの日座標値データとして、京都大学防災研究所においてGipsyX(Bertiger et al., 2020)を用いて精密単独測位法で計算されたものを利用し、局所座標系に変換した。GNSS、GNSS-Aデータに対して、局所座標系の座標値データに最小二乗法で直線近似を行い、アムールプレートに対する各観測点での平均速度を推定した。次に、ブロック断層モデルを用いて、南海トラフから日向灘にかけての沈み込むフィリピン海(下盤)プレートとアムール(上盤)プレートの境界における固着状況の推定を行った。ブロック断層モデルとは、地表の地殻変動をブロックの剛体運動とブロック間の断層の固着による弾性変形の和で表したモデルであり、推定に使用した計算コードは、TDEFNODE(McCaffrey,2009) である。具体的には、解析領域の陸側プレートを九州南部とそれ以外の2つのブロック、海側プレートを1つブロックの計3つのブロックを仮定し、それぞれのブロック運動を推定した。ブロック境界の断層は、フィリピン海プレートと陸側ブロックの形状を6km×3kmの小断層に分割して表現し、断層上に12×17個設定したノード上での固着率を求めた。その後、推定された固着率をもとに、すべり欠損速度に変換を行った。
3.結果・考察
本研究で推定したプレート間固着分布(すべり欠損速度、Fig. 1)からは、日向灘では、北部と南部に一部強い固着が見られた箇所があったものの、全体としては、中程度の強さの固着が見られた。また、2024年8月8日に発生した日向灘の地震(M7.1)の発生場所は、プレート間固着の強さが変化する遷移域にあることが推定された。一方で、日向灘南部の沖合に見られる広範囲の強い固着は、陸域で対応した変動は見られず系統誤差の可能性が考えられる。次に、速度データの観測値と計算値の比較(Fig. 2)を行った。四国地方や九州南部はおおむね一致するものの、九州中部や海域はあまり一致しない結果となった。九州中部に関しては、九州中部付近の陸側プレート内運動と熊本地震の余効変動を考慮できていないことが要因と考えられる。現在、暫定モデルでは,すべり欠損速度の計算点であるノードの間隔が広く、また、プレートの形状が最新の研究成果(例えば、JAMSTEC, 2021)を反映したものではない。このことから、プレートの形状を更新し、ノードの間隔を細かくする予定である。
謝辞
本研究では国土地理院GEONET、および海上保安庁のデータを使用しました。ひずみ速度の計算とプレート間固着の推定には、岡崎智久博士及びRob McCaffrey博士作成のプログラムを使用しました。ここに記して、感謝いたします。
